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2006年11月20日 (月)

大江健三郎から「外国語を学ぶこと」を学ぶ

「伝える言葉」プラス Book

「伝える言葉」プラス 著者:大江 健三郎 販売元:朝日新聞社

先日ジュンク堂主宰の講演会に行ってきました。大江健三郎の新刊「伝える言葉」プラスにサインしてもらえたのです。(人数が多くてなんだか大江さんが憂い顔で、気の毒になったのですが・・・でも自筆のサインはファンとして嬉しいですよね。)

池袋店では今年の6月から12月まで7階に「大江健三郎書店」というコーナーを設けています。それに合わせてシリーズで講演会をやっているわけです。

大江さんは私が密かにメンターとして尊敬している方です。

この講演は月刊誌「すばる」にも連載されているので、参加できなかった方もその内容を知ることができます。

今日は8月の講演会「『文体』とは何だろう」(11月号「すばる」掲載)から、感じたことを書きたいと思います。

それは、この文を読んで、私が上手く言い表せなかったこと―英語の本を読むことを何故するか―という疑問に大江さんは一つの答えを示してくれたからです。

大江さんは、生涯の師である渡辺一夫先生からの言葉を手がかりとして、外国語のテキストと優れた翻訳とを一緒に読むことで自分の言葉を見つけていったと語っています。

 (原書と翻訳の2つを)読み進みながら自分の心の中、あるいは頭の中で、つまり自分の言葉の世界で、いろいろな形で英語やフランス語の原典を反響させる。それを日本語に置き換えようとしていく。そのうちに、本当に新しい言葉に出会うものなんです。

 このようにして読む。外国語と日本語との間を自分で往復する。そうやって言葉の往復、感受性の往復、知的なものの往復を味わい続ける作業が、とくに若い人間に新しい文体をもたらす、と私は考えています。

英語を学ぶ、英語で本を読むことが自分の言葉探しにつながっていくという気持ち。この母語と外国語との往復作業をするために外国語の本を精読したいと思っています。村上春樹の文体も多くの翻訳で鍛えた「言葉の往復」作業から生まれたものだと確信します。

今、流行の外国語の速読も非常に学習効果は高いと思いますが、一方で原書を「精読」する作業も、自らの伝える言葉の力を鍛えるためには是非必要な気がします。

今日の言葉

 私は渡辺のユマニスムの弟子として、小説家である自分の仕事が、言葉によって表現する者と、その受容者とを、個人の、また時代の痛苦からともに恢復させ、それぞれの魂の傷を癒すものとなることをねがっています。

(大江健三郎著「あいまいな日本の私」より

 As someone influenced by his thought, I wish my work as a novelist to help both those who express themselves in words and their readers to overcome their own sufferings and the sufferings of their time, and to cure their souls of their wounds.

(Japan, the Ambiguous, and Myself ― Translated by Hisaaki Yamanouchi)

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