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2007年10月23日 (火)

「生物と無生物のあいだ」

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)

爆笑問題との語りですっかり福岡伸一ファンになってしまいました。早速今話題の本を読んでみました。

なんで話題かって?専門分野でもない、私みたいな根っからの文系人間も読みきれる面白さのある本。「科学とか数字とか、わたしにゃ、そんなの関係ない」という固定観念や既成概念を取っ払ってくれますから。爆問の太田さんにいわせるとしたらきっと「1回高みまで行っちゃって、それから皆のところに戻ってきてわかりやすくなっている」って感じです。

時々やることなのですが、今回はあとがきから読み始めました。つまりこの本では「エピローグ」。

そこで、「未知なるものに魅了される感性」とでもいう”sense of wonder”を持つ福岡少年に出会ってしまいました。蝶やトカゲの変化をみつめ、自然に畏敬する少年のこころがそこにはあります。このこころこそ、この本に通底するもの。この本の大きな魅力です。

そしてもう一つの魅力はアンサング・ヒーロー、ヒロイン(縁の下の力持ち)に手向けられた福岡先生の敬愛です。遺伝子の本体を求めたオズワルド・エイブリー、”ダークレディー”と呼ばれたロザリンド・フランクリン、そして動的平衡をみつけたルドルフ・シェーンハイマー。それぞれのドラマが淡々とした文体で語られながら、読む人にリアルに迫ってきます。

ここまできて、大きなテーマ「生命とは」に戻ります。

生物が生きているかぎり、栄養学的要求とは無関係に、生体高分子も低分子代謝物質もともに変化して止まない。生命とは代謝の持続的変化であり、この変化こそが生命の真の姿である。(164ページ)

生命とは動的平衡(絶え間なく壊される秩序)にある流れである(167ページ)

そしてその動的平衡は「時間」という名の解けない折り紙によって後戻りできない唯一一回性のものとしてあるわけです。自分も含めた生命にこんな深遠な神秘が織り込まれているとは不思議な気になります。

読後感は―「かけがいのない生命」というものを実感したといえます。

今日の言葉

unsung hero (歌われることなきヒーロー ―「日米口語辞典」『縁の下の力持ち』より)

dynamic equilibrium (動的平衡)

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