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2007年11月10日 (土)

オシロモ本「キャラクター小説の作り方」

キャラクター小説の作り方 (角川文庫) キャラクター小説の作り方 (角川文庫)

 著者:大塚 英志
 販売元:角川書店

 大塚英志の「物語消費論」という本を読んだのはもう○十年前になりますか。オモシロい本を書く人だと印象に残っていました。

そして最近文庫本になったこの本を手にしてまた、あの時のオモシロさがよみがえってきました。大塚さん、再びこんにちは!

いろいろなところでも教えられているそうで、すっかり先生らしくなられて。この本の作りは、講義形式になっていてまるで大学で教わっているみたいです。こんな授業だったらまた大学生になりたいです。

と、脱線はここまで。第2・3講は、いかに物語の中のキャラクターを作っていくか、オリジナリティを求めるよりもキャラクターはパターンの組み合わせに注目っていう論調で具体的な例をまじえてキャラクターを紹介していきます。これがなかなか面白いです。左右の目の色が違うキャラクターの発展の仕方とか。

手塚治虫のキャラクターも実はパターンの組み合わせであるという考え方で描かれているというのです。全くのオリジナリティでできたキャラクターはないとしながらも、第3講の終わりではもう一つひねって、でも手塚治虫のキャラクターには「確かにパターンの組み合わせの中に『オリジナリティ』を発生させています。」と結んでいるんです。そこにはキャラクターを作っていく過程の奥深さ、表現の可能性みたいなものが感じられました。

そしてキャラクターだけでなく、お話自体にもパターン(法則)があって、今語られている作品も昔話などの展開を拝借してアレンジしているものが多いという話も具体的なだけにどこをどう変えているか、驚いたり感心したりでした。

その具体的な例とは次の3つ。

昔話「姥皮」―継母に追われた美しい娘がある婆さまの助けを借り、試練に耐え、幸せな結婚をする。

「伊豆の踊子」―孤児である学生が孤独な旅に出て、旅の一座に会い、淡い恋心を抱くが別れの時がきてしまう。

「千と千尋の神隠し」―千尋は両親がブタになってしまい、独りぼっちになる。ハクに助けられ「油屋」で働き、千尋はハクのおかげで自分の名前を取り戻し、両親も助かる

微妙に違いながら主役、脇役がそれぞれのオリジナリティを出しています。こうしてキャラクターや物語は出来ていくんですね。

これから小説や映画に接する時にこういって視点を参考にキャラクター、物語を緒って生きたいと思います。

今日の言葉

How to make "the character novel" (キャラクター小説の作り方)

そうそう、ここでキャラクター小説っていっているけど、辞書を引いても載ってません。大塚氏の説明ではこうなっています。

「キャラクター小説」とは、出版界においてライトノベルズ、ジュニア小説、ティーンズノベルズ、ジュヴィナイル、ヤングアダルトなどと呼ばれていつつ、もう一つ「総称」が定まらない小説ジャンルのことを意味します。具体的には「スニーカー文庫」とか「電撃文庫」とか「コバルト文庫」とか、アニメコミックふうのカバーで刊行される文庫本の小説を言います。

コニコにはあまり馴染みのない分野だったので、かえって新鮮でした。逆に純文学というようなジャンル分けの限界みたいなものも見えてきて考えさせられたところもあります。あえて大塚氏は最終講で「近代文学とはキャラクター小説であった」とし、これからのキャラクター小説に「文学の」の将来性を見出しているようです。

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Todos están hablando sobre felicidad.Pero casi nadie saben lo que es.(トドス エスタン アブランド ソブレ フェリシダッド ペロ カシ ナディエ サベン ロ ケ エス) [続きを読む]

受信: 2007年11月14日 (水) 13時43分

» キャラクターのことならここ! [キャラクターのことならここ!]
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受信: 2007年11月16日 (金) 21時51分

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