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2008年1月28日 (月)

原書「The Pearl」

Pearl 1月のペーパーバックはスタイン・ベックの中編小説「The Pearl」(1947)です。

まず読み終わって感じたことは、Kinoがみつけたこの世界一の真珠はトールキンのLord of the Ringsに描かれた指輪と同じだということでした。

真珠にしても指輪にしても、そのもの自体が価値を持つものといっても、それは単なるスイッチのようなものじゃないかと。皆が欲しがるもの―大きな真珠や、権力の指輪―が、誰でも持っている人間の内なる暴力と果てしない欲望というスイッチをオンにするものなのかなと感じます。そしてスイッチはオンになってからPearlが海に沈むまではオフになることなかったのです。

真珠と交換されるはずであったRifleは暴力の象徴。次から次へと出てくる欲望に、内なる悪がなだれのように声を上げます―詐欺、略奪、殺人、逃亡。

100ページもないチョット長い短編といえるこの文章は、本当にシンプルでストレートに綴られています。寓話スタイルでありながら、Kinoを追いかけるハンターたちの描き方は映画のようにリアルです。

冒頭の静寂な夜明けシーンを振り返るとKinoの家族の歌が切なく響きわたります。静かな生活を営む3人の家族がそこには確かにあったのです。

読後にしばらく深い余韻が残りました。メキシコの民話をもとに書かれたこの作品は長い年月語り継がれた人間という本質を抱いていました。

今日の言葉

―"A rifle," he said.  "Perhaps a rifle." It was the rifle that broke down the barriers.   This was an impossibility, and if he could think of having a rifle whole horizons were burst and he could rush on.  For it is said that humans are never satisfied, that you give them one thing and they want something more.     -from "The Pearl," page 25

(「ライフル」と彼は言った。「ライフルかな」仕切りを破るのはライフルだった。こんなものは考えもしないものだった。もしライフルを持つことを考えたら限界が吹っ飛んで突っ走ってしまうだろう。人間は決して満足することがなく、ひとつを与えられるとまたもっと別のものが欲しくなると言われているからだ。―「The Pearl」25ページより)

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