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2008年2月28日 (木)

「謎解きフェルメール」で謎を解く?

謎解き フェルメール (とんぼの本)

ミステリアスなフェルメールの絵の本を読んだついでに「謎解き フェルメール (とんぼの本) の扉を開いていましょう。

いきなりフェルメールの名作と思いきやそれは「デルフトのランベルト・ファン・メールテン博物館内に設けられた”フェルメールの部屋”」だそうでびっくり。フェルメールの絵におなじみの左側にある内開きの窓とテーブルのタペストリーライオンの頭が飾りに付いたスペイン風の椅子、そして柔らかな蜂蜜色の光―Honey Light―生活の中のひとときの平安が静かに存在するようです。

Cimg0402あらためて、その絵の世界が最小限のものだけで、余計なもののない世界なのだと感じます。そこには微かな音さえも消えてなくなった静けさがあります。

この本の編者である小林頼子氏は「フェルメールはどこがどう凄いのでしょうか?」という章でこう解説しています。

(フェルメールは)自分の絵の見せどころがよくわかっていた人なんだと思います。やろうと思えば何でもできる技術を持っていたのに、求める絵画世界の実現に必要なだけの才能を自分のなかから取捨選択し、それをコントロールして使うことができた。同時代のほかの画家たちは自分の才能を全部吐き出すんですよ。だから総花的な、まるで技巧のショールームみたいな絵になる。それとは対照的な”引き算の美学”がフェメレールの魅力でしょう。―本文6ページ

引き算していって残ったものの中に際立つ色と光が神聖さを放ちます。「牛乳を注ぐ女」も壁に何か掛かっていたら、牛乳を注ぐ手が何か乱されそうな気がします。

フェルメールの絵が凄いということは納得ですが、この本の面白さはその「凄くないところ」も明かしている点。「翳りゆく晩年」の章は黄金の蜂蜜色の光がただの蛍光になってしまったことがわかり、ちょっと切ない気持ちになります。

そしてフェルメールの絵にまつわる「世紀の贋作事件」と「アート・テロリズム、盗難史」の章も意外。現実に起こったことと思うと、これらの絵自体にドラマ性があるのだなあと感じました。こういう歴史的背景がフェルメールの絵にはあったから、Girl in Hyacinth Blueのような小説が生まれたのでしょう。

蛇足ながら96ページに載っている「あれあれ、こんなフェルメール、あったっけ?」の合成絵画はまさにGirl in Hyacinth Blueの意図していたところかもしれません。「青衣の女」のような青のスモックを着た少女が「レースを編む女」のようにレースを編む手を止めて、「真珠の首飾り」のように外をみている絵があったとしても、不思議ではない気がしてきます。

この本、「謎解き」といいながら、フェルメールの絵をもっと謎めいたものに感じさせています。いやはや、面白い。

今日の言葉

Johannes Vermeer or Jan Vermeer (baptized October 31, 1632, died December 15, 1675) was a Dutch painter who specialized in domestic interior scenes of ordinary life.―from Wikipedia "Johannes Vermeer"

(ヨハネス・フェルメール、またはヤン・フェルメールともいう(1632年10月31日~1675年12月15日)。彼はオランダの画家で、室内での市民生活の風俗画を主に描いた。 ―ウィキペディア「フェルメール」より

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コメント

コニコさん、こんにちは。
ご無沙汰してます。

日本でフェルメールを見ようとすると、大混雑してたりして大変ですが、結構頑張って見にいってます。

「Girl in Hyancinth Blue」は積読しておりますが、最近小林頼子さん翻訳の「私はフェルメール 20世紀最大の贋作事件」を読みました。「謎解き…」にもおそらく登場したかと思いますが、贋作者ファン・メーへレンの伝記でなかなか面白かったです。

コリン・ファース主演の映画「真珠の耳飾りの少女」はご覧になりましたか?フェルメールの絵画そのもののような素晴らしい映像美で、溜息が出るようでした。。。

投稿: 青猫 | 2008年3月 2日 (日) 23時09分

青猫さん、お久しぶりです。「真珠の耳飾の少女」の記事を書いていたところでこのコメントを頂き、びっくり。”溜息の出るような映像美”とは正に私も感じていたので。

さっそくI Was Vermeerを注文しました。すぐに読めるかどうかわかりませんが、面白そうです。フェルメールの絵、いつかゆっくり観たいものです。空いている美術館でというと、いつになるやら・・・。

投稿: コニコ | 2008年3月 3日 (月) 22時07分

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