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2008年2月16日 (土)

「おひとりさまの老後」

おひとりさまの老後

おひとりさまの老後 (上野 千鶴子著、法研)を読む。

近頃人気の本で、近くの図書館で予約すると511人待ち。読書家のOさんからお借りした。

感想をひとことで言うと、「畏敬するけど、共感は難しい」かな。

その理由を書くことにする。

表紙に「おひとりさまの老後 東京大学大学院教授 上野千鶴子」とある。この本、なじみやすいタイトルで手に取りやすい。注目は著者の肩書き。名前だけで十分インパクトあるのになぜか肩書き付き。

本の冒頭でご自身のことをコーテーションつきの”負け犬”と呼んでいる。「負け犬」を結婚していない女性と定義すると、確かに上野氏も負け犬だが、言外に「わたしは結婚しようと思えばできたけれど、自ら選択しなかった」という誇りが見え隠れする。もっと社会が男社会であった時代を、「ペンと言葉」で闘ってきた上野氏の苦労と努力は相当なものだったと思う。それだから、なかなかなれない教授、それも東京大学大学院の教授になれたのだと思う。いわば、”負け犬”の中でも”血統証付きの負け犬”。そんじょそこらの「負け犬」とは違う。シングルの覚悟が違う。

そして女性としてみたら”負け犬”でも社会的にみたら”勝ち犬”。上野氏には学究生活の中で培われたいろいろな情報(介護資産に関する情報も含む)という財産とその情報を提供してくれる人的資産がある。可愛がってくれた先輩も、頼りになる友人、頼もしい教え子もいる。すごいことだと思う。

この本で、シニア向けの安心できる住処の紹介も充実している。駒尺喜美さんのつくられた「ライフハウス友だち村」などすばらしい。

先日拙ブログで紹介した本「南方熊楠」を書かれた鶴見和子さんの凛とした老後は、上野氏にとってもひとつのロール・モデルであったろうし、倒れてなおよい仕事を残しているというのも素直に尊敬できる。

でもです。教授でもない、フツーに結婚していて、将来老後をもしかしたら”ジャマ”するかもしれない子どももいるフツーの主婦のわたしは、この本のおススメする老後にもろ手を挙げては共感できない。というよりも、自分ではうじうじとしていろいろ割り切れないものをたくさん抱えて歳をとっていくんだろうと思ってしまう。

ひとつに経済的な問題をクリアしないと難しいものが多いという点。もうひとつには良質な情報を確実に知るネットワーク作りの年季が上野氏にはあるが、一般にはなかなかないという点。もしかしたら、お金の問題より、この情報(たとえば「どの施設に行けばこんなサービスが受けられる」というような)が生命線になってくることがあるから、この情報ネットワークの構築は本当に重要だと思う。

最後に、情報といえば、この本を読んで具体的に参考になったと思えるものをひとつ。上野氏が引用している「『孤独死』―ニーチェに学ぶ」(監察医、小島原将直)を紹介しておきたい。この講演についている別紙資料が生々しい。

今日の言葉

小島原将直氏が高齢者にすすめるアドバイス

1.生を受けた者は死を待っている人。よって独居者は急変の際早期発見されるよう万策尽くすべし。

2.みなに看取られる死が最上とは限らない。死は所詮ひとりで成し遂げるものである。

3.孤独を恐れるなかれ。たくさんの経験を重ねてきた老人は大なり小なり個性的である。自分のために生きると決意したら世の目は気にするな。

4.巷にあふれる「孤独死」にいわれなき恐怖を感じるなかれ。実際の死は苦しくないし、孤独も感じない。

5.健康法などを頼るな。

(前出 サイトから、「おひとりさまの老後」246ページより)

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