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2008年3月20日 (木)

シンポジウム「世界文学はこうしてつくられる」

先日の「ミセスが選ぶBOOK大賞」では、受賞作品の著者だけでなく編集に関わった方も多く参加されていました。その方々のコメントを伺い、よい本を世に出していくためには、著者だけでなく、いかに出版社や編集者の力が必要かということを感じました。

例えば、「おひとりさまの老後」を出版した法研の編集者は「この本ができるまで5年かかりました。上野先生といろいろ調べて話し合い、作り上げていった本です。」とおっしゃっていました。また驚異的なロングセラー、栗原はるみさんの「ごちそうさまが、聞きたくて。」も文化出版局の方が本当に熱心に営業をしていました。

Publisher (Picador)

そこで今日は、そんな出版者の中でも世界的に有名な出版者(実はわたしは最近まで全然知らなかったのですが)、トム・マシュラー(Tom Maschlar)氏のことを書きます。彼はその名もズバリ、「Publisher (Picador)」(Tom Maschler)という本を書かれています。「パブリッシャー―出版に恋をした男」というタイトルで翻訳も出ています。

なんとこのお方、驚くなかれ、13人ものノーベル賞作家を世界に送り出した出版人。そのリストにはガルシア-マルケスやD・ウォルコットなど、お国も多彩な作家ばかり。しかもイギリスだけでなく世界的に有名なブッカー賞の創立者でもあるそうなんです。

そのマシュラー氏が、東大・本郷キャンパスで行なわれた今日のシンポジウム「世界文学はこうしてつくられる―イギリスにおける文芸出版文化の現場から」に参加。この会は2部に分かれていました。

第1部 トム・マシュラー講演〈わたしが出会った作家たち〉

第2部 シンポジウム〈世界文学はこうしてつくられる〉

パネリスト:トム・マシュラー、ジェイ・ルービン、柴田元幸

実は第1部は通訳なしで聴いたので、ほとんどわかりませんでした。無念。時々出てくる「ヘミングウェイ」や「ベケット」、「トム・ウルフ」などを聞き取るのがやっと。ともかく多くの無名の作者と知り合い、ガンガン書かせたと言うようなことをいっていたと思います。話の口調からもなんとなく彼のカリスマ性が伺えました。

そしてシンポジウム。なんとパネリストが豪華です。あの村上春樹を英訳されているルービン先生(元ハーバード教授)と、翻訳家として第一人者であるばかりでなく、アメリカ文学者の柴田先生が編集者としてのマシュラー氏と語りました。

ルービン先生も柴田先生も「翻訳の持つ二重性」、つまり限りなく翻訳者の自我を消していくことと、作品を翻訳する過程で限りなく自分の解釈を訳することの裏腹さを話していて、そこでマシュラー氏が「気が付かなかったけれど編集者も同じ境遇だ」と言っていたのが印象的でした。3人とも"自分が好きなもの"しか翻訳しないし、出版しないと言い切っていました。

会場からの質問は、現場の編集者の方もおられて、「自分が面白い作品か、読者が面白いと思う作品か、どうやってよい作品を選ぶか?」という質問にきっぱりと「自分の判断に迷いはない、自分が面白いと思うものを選ぶ」と断言。こういう自分の直感を信じるところがこれまでの結果を出している所以だと感じました。

また「扱いにくい著者だけれども作品がすばらしい人と、作品に多少文句はあるけれどとてもいい人である著者とどちらを選びますか」という質問には答えは一言。あくまでも「作品の素晴らしさ」を追求するとのこと。これは当然ですね。

「翻訳を目指している人に何か?」というような質問に、ルービン先生が"To have another job!"とアドヴァイスしていたのには会場が爆笑。翻訳はもうからないんですね。

と、その他もろもろありましたが、今日のシンポジウムではたくさんの著者や本の紹介があり、またまた読みたい本が増えてしまいました。

特に読む気ムンムンになったのが、ムービン先生と柴田先生おススメのCity of Word (Tony Tanner)です。でもやはりむずかしそう・・・。

英語が聞けなくてボロボロだったのですが、なかなか刺激的なシンポジウムでした。

今日の言葉

It is hard to find books to be worthy of publication.  (出版に値する本をみつけるのはむずかしい。)

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