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2008年5月12日 (月)

あの3人のお母ちゃまが書いた「千住家の教育白書」

千住家の教育白書 (新潮文庫)

千住博といえば、友達から「あの素晴らしい3人の芸術家を育てたお母さんの本、面白いわよ。」と進められていたことを思い出しました。タイトルはちょっと堅めの「千住家の教育白書 (新潮文庫)」(千住 文子著)。中身の方は・・・

いきなり「メガラッパ」。千住文子さんは「おとぎの国のようなわが家、千住家」を活き活きと語り始めます。

第1章は「私は子供たちのガキ大将だった」。その中の”狸のお母さん”は楽しくて愉快。こりゃ、子どもの目はもうキラキラしちゃうますよ。その一節を

 ”我が輩はタヌキだぞう”といって、ポンポコポンと腹鼓を打ちながら、子どもたちを笑わせていた。鼻の下に紙のひげ、お尻にはストッキングで作った尻尾をぶら下げて、私は部屋の中を闊歩していた。

 さあ、家中が大変なことになってしまった。ひげをつけ、尻尾をつけた子狸も部屋を駆け回った。(本文28ページ)

幼稚園の親の出し物で大好評だったお母さんタヌキは、子供たちの輝く目を温かく見守っています。

そして第2章「千住家のはじまり」。文子さんと千住鎮雄氏とは出逢いから敬愛に満ち、お互いを信頼しているのがよくわかるものでした。そして生まれた3人の子供たち。小さい時からこの夫婦の強い絆を毎日みて育っった彼らは家族の信頼を確かに築いていき、自分の才能を開花させていったのでしょう。ヒロシの絵への情熱、アキラの音楽への粘り強さ、マリコのヴァイオリンの集中力―それぞれが父と母の厳しいけれど、ゆるぎない信頼に支えられています。そこにはいわゆる雑誌に書かれているような”英才教育”メソッドは見当たりません。

文子さんの使命は、3人の子供たちの子育てでも余りあるのに、両親を看取り、ご主人を自宅で見送るということもされています。

この本は若い子育て世代向けだけではないようです。老いていく親を持つ世代も教えられることがたくさんあると思います。文子さんの献身的な看護をみて、3人の子供が家族をどんなに愛おしく思ったことでしょう。家族の語り合う言葉は強くやさしく。

最後に、巻末解説を書かれた重松清の言葉を今日の言葉としたいと思います。

 「ダイヤモンドというのは磨かないと光らないんだよ。そして傷をたくさんつけるんだ。そうするときらきら輝きはじめる。無数の傷がダイヤモンドの価値になっていくんだ。磨いていないダイヤモンドが砂浜にあっても誰も気づかない。でも、毎日毎日ダイヤモンドだと信じて磨いていたら、いつの日か輝いて、誰かが必ず見つけてくれる」

 真理子さんが、壁に直面した不安や寂しさから「でも、それがダイヤモンドじゃなかったら、一生光らないじゃない」と反論すると、鎮雄さんはおだやかに、こう言った。

「お父さんもお母さんも、真理子がダイヤモンドだと信じてるさ・・・」

両親―それは、”両信”でもある    『シリーズ人間』からの引用(本文278ページ)

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