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2008年8月18日 (月)

「遠い朝の本たち」

遠い朝の本たち (ちくま文庫)

お盆も過ぎてまだ暑いとうっとうしく思いながらも、すぎゆく夏をちょっととめていたい気になるこの頃。思い切ってテンプレートも「かき氷」に変えてみました。

 「生物と文学のあいだ」の中で、興味深いことを知りました。川上未映子さんが福岡伸一氏に好きな作家はと聞いたところ、「一人挙げろ、といわれたら須賀敦子さんですかね。僭越な言い方ですけれど、読んでいて私ならこう書く、という箇所が一か所もありません。完璧な文章です。」(「文学界」8月号195ぺージ)と答えています。なるほど、そう言われれば福岡氏のイメージ豊かな文学的文章は須賀敦子さんの香りがしないでもありません。

そこで今日は須賀敦子さんの「遠い朝の本たち (ちくま文庫)」を紹介します。

実はこの本は素敵なブログ仲間の点子さんからのおススメ本でした。出会えて嬉しい本です。

少しずつですが須賀さんの文章を読んでいくと、文が無駄ない言葉の芯をとらえるように、そして流れるように書いてあるのがわかります。のみこみの遅い私がそれをすぐにわかったわけではなく、折にふれて読む文章が辛抱強く教えてくれたのです。

この本も須賀さんの子どもの頃から大人へと成長していく多感な時期に読んだ本たちがあざやかな文で語られています―友だちとの本談義、父の読書心得、学生時代の思い出。

冒頭の「しげちゃんの昇天」は特にじんと胸に迫るものがありました。学生時代から何年も経ってしげちゃんに再会した時の言葉・・・

大学のころの話をして、ほんとうにあのころはなにひとつわかってなかった、と私があきれると、しげちゃんはふっと涙ぐんで、言った。ほんとうよね、人生って、ただごとじゃないのよねえ、それなのに、私たちは、あんなに大いばりで、生きてた。

 しげちゃんが、ただごとでない人生を終えて昇天したのは、それからひと月もしないうちだった。(「遠い朝の本たち」23ページ)

”ただごとでない人生”ということは齢を重ねないとわからないし、今のわたしもたぶん大いばりでブログを書いていたりします。この文の余韻がずっと本の最後まで残って、子どもの時の”ただごとでない人生”の記憶を書き綴っています。ひとつひとつが愛おしく懐かしく思える、今はほとんどが手元からなくなってしまった本たち。本たちの向こうには家族や叔父さん、いとこや隣のおじさんが、そして遠い国の書き手や教師たちが見えてきます。

最後にもう一つ、「葦の中の声」の章から引用を。

何冊かの本をとおして、アン(モロウ・リンドバーグ)は、女が、感情の面だけによりかかるのではなく、女らしい知性の世界を開拓することができることを、しかも重かったり大きすぎたりする言葉を使わないで書けることを私に教えてくれた。徒党を組まない思考への意思が、どのページにもひたひたとみなぎっている。(同114ページ)

”徒党を組まない思考への意思”なんて言葉がどこから生まれてくるのでしょうか。もうこの組み合わせしかないようなぶれない言葉です。つい大げさな言葉を使いたがる自分が小さく思えます。あっぱれだな~とあらためて思うのでした。

今度は須賀さんが惚れたアン・モロウ・リンドバーグの本、クレールという女性が出てくるクロード・モルガンの「人間のしるし」、ジョルジュ・サンド著の小さなファデットが出てくる「愛の妖精」も読んでみたいと思います。

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コメント

 須賀敦子さんの本読んでくださったのですね!嬉しいです。また拙いブログをご紹介いただきありがとうございます。恥ずかしい・・・
 しかし、ほんとうに須賀さんは素敵ですよね。実はもう一冊買って積読状態なんですけど・・・海からの贈り物もぜひ読んでください。英語はシンプルですが本当に深い味わいがあります。

投稿: 点子 | 2008年8月19日 (火) 17時37分

点子さん、拙いブログだなんて、いつもあじわい深い文を書かれる方だなと思って読ませていただいています。ことわりなしでリンクしてしまったのですが、是非他の方にもご紹介したかったんです。

Gift from the Seaも幸いにして図書館にあったので予約しました。翻訳(吉田健一氏)も素晴らしいということなのでこちらも後ほどみてみたいと思います。重ねての紹介ありがとうございました。

投稿: コニコ | 2008年8月19日 (火) 21時56分

この本の表紙の彫像は木なのでしょうか。
粘土なのでしょうか。

投稿: クーネルシネマ | 2008年8月21日 (木) 00時03分

クーネルシネマさん、表紙が目に留まりましたか。そうそう、クーネルシネマさんもご存知の舟越桂の作品、「木っぱの人形」「板きれの人形」というタイトルだそうです。実際、本を手にとると木肌がわかる素朴な木彫りです。

この本になかなかの味わいを加えていると思いますよ。表紙も含めて全部まるごとおススメの本です。

投稿: コニコ | 2008年8月21日 (木) 09時44分

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