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2008年9月23日 (火)

ふたたび「心にナイフをしのばせて」―コメントからはみ出したもの―点子さんへ

心にナイフをしのばせて  点子さんへ―

いつも拙ブログに立ち寄っていただいてありがとうございます。貴ブログでも紹介していただき痛み入ります。

「心にナイフをしのばせて」(点子のブックカフェ)の感想を拝見しました。この本に中で、加害者である少年が過剰だと思われるくらい保護されているのに対して、被害者は家族が悲しい思いをするだけでなくマスコミに晒され、長い間苦しみ続けるという矛盾が描かれています。

「更正」の問題も少年法の論議を呼ぶところ。この本の中では実際に加害者だった元少年を丹念に追跡することはしていないので、はっきり「更正」していないとはいえないと思います。が、書かれている限りでは彼は「更正」することなく、なんの罪も問われることなく暮らしているという理不尽さを読み手はどうしても感じてしまいます。法的に難しいでしょうが、この本の著者に是非加害者のその後を書いてほしいと思います。

少年犯罪者が更正するかどうかも考えさせられましたが、この本を読んでから私には2つの疑問が残りました。「人は人をなぜ殺すのか(または殺さないのか)」そして「人はなぜ人を憎むのか(または憎まないでゆるせるのか)」です。

さまよう刃フィクションではありますが、先日読んだ「さまよう刃」は少年犯罪と犯罪者への復讐を扱った小説でした。娘を蹂躙され、殺された父親が犯人である未成年犯罪者を追うというストーリーです。読後は・・・すっかり考え込んでしまいました。犯人のあまりの残虐さに思わず「更正」ということはありえないと思ってしまいます。父親の「犯人に復讐したい」という気持ちにいつのまにか同調している自分。「罪を憎み、人を憎まず」なんてことができるのか。でも、「心にナイフをしのばせて」の家族は犯人に対して復讐したいというような気持ちはなかったと書いてあったと思います。犯人に向かう気持ちよりも悲しみの方が深かったということでしょうか、正直わかりません。

そして「ヒトは狩人だった」という本の、妄想にはまった人間が犯す猟奇的犯罪の症例を読んでいくと、「更正」ということのむずかしさを感じてしまいます。

こんなことをいろいろ書いていてもどこか頭でっかちなことばかりのような気がします。でも、この先もこの問題を考えて感じていきたいと思います。

コメントをいただいて返事を書いていたら、どんどん長くなってしまったので記事にしました。本を取り上げていただいて嬉しく思います。ありがとうございました。

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コメント

コニコさん、またお邪魔させていただきました!私もちょうど少年犯罪についての小説の記事をUPしようとしていて、偶然に少し嬉しい気持ちです。被害者の立場、加害者の立場、色んな立場から考えなくてはいけないんだなあと思いました。こちらの本もぜひ読んでみたいです!そして、私のブログでコニコさんの記事を、事後申告で申し訳ないのですが、紹介させていただきました。ぜひ気が向いたら、覘いてみていただければと思います。

投稿: niko | 2008年9月25日 (木) 12時57分

nikoさん、毎度。早速遊びに行かせていただきました。拙ブログの紹介していただきありがとうございます。友人間で同じような本をたまたま読んでいることって結構ありますよね。そういう時は「実はね~」とう具合にコメントいただくと、こちらも「あら、まあ嬉しい」という気持ちになります。

投稿: コニコv | 2008年9月26日 (金) 06時59分

ゆきまろちゃん事件や、闇サイトで知り合った3人が金銭目的で無差別に女性を狙った事件など、これら犯人にどうして国の税金を使って更生させてゆく必要があるのだろうか、と思わずにはいられません。被害者の親の立場であったら自分は一体どうするだろう。きれいごとを言っていられないほどの怒りが湧き上がってくるはずです。
「さまよえる刃」読んでみたいですね。

投稿: クーネルシネマ | 2008年9月26日 (金) 09時04分

クーネルシネマさん、「さまよう刃」是非読んでみて下さい。理不尽な子どもの死に対して親が「ゆるす」という行為ができるか、少年犯罪者が「更正」できるのかを深く考えさせられました。ご意見、お聞きしたいわ。

投稿: コニコ | 2008年9月26日 (金) 21時09分

 記事でのていねいなお返事、ありがとうございます! 難しい問題で上手に言語化できないのですが・・・コニコさんの提示される二つの大きな疑問はもちろん私にもあります。でも今はそこまでしっかり考えられないのです。少年犯罪といえば私には子供のとき知った永山則夫とその境遇がよく思い浮かぶのですが、このごろは富裕な層も含めて様々なケースがありますよね。それで最近よく思うことは、同じような悩みを抱えながらも、犯罪に走る子とそうでない子の違いはなんだろう、ということです。小さい疑問と思われるかもしれませんが、子育てをしながら感じてきたことです。
 それから、この本に関して言えば、コニコさんんの仰るとおり、加害者の側に立って突っ込んだ取材はなされていないので、ある意味フェアでないともいえます。それから、ノンフィクションと銘打ちながらも被害者の家族の一人称で語られる部分が多く、そこがまた読みやすく感情移入もしやすかったのですが、やはり客観性を欠くかも知れないとも思いました。それをさしひいても、やはり私は被害者の人権についてはもっと考えてもらいたいと常々思っています。拙い感想でごめんなさいね。東野圭吾氏の作品はこれまた重そうで、またいずれ、気持ちが向いたとき、にとっておきますね。

投稿: 点子 | 2008年9月26日 (金) 23時16分

点子さん、この記事でかえって気遣いさせてしまったようで…。一言「お返事はなさらなくていいですから」と断っておけばよかったですね。点子さんは、「返事を書かないと悪いし、簡単に書くのには考えがまとまらないし」と思われ、悩まれたのではないでしょうか。
でもこうしてお返事をいただいて言葉にできない思いをお互いに少しずつ推し量れた気がしました。(永山則夫のことは全然知りませんでした。)

点子さんが小さな疑問とおっしゃるものは、わたしの疑問とつながっているのだと思います。今の社会を思うとき、これから子どもを育てる親は、ちょっと間違えば自分の子どもが加害者、被害者になってしまうという不安を強く抱えていくのかもしれません。

続けて重い本を読むのは正直しんどいのもわかります。こうしてコメントいただいたことで、もう有難いと思っています。

投稿: コニコ | 2008年9月27日 (土) 21時08分

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