« 出だしでわしづかみのドラマ「流星の絆」 | トップページ | ”本が売れる理由” »

2008年10月20日 (月)

「グレート・ギャツビー」読書会(2)

The Great Gatsby

今回は「グレート・ギャツビー」読書会の2回目。「The Great Gatsby」(F. Scott Fitzgerald)原書は、Scribner社のものを使います。

Matthew J. Bruccoliが序文を付けたこの版は、何バージョンかある原稿の中から、フィッツジェラルド自身が最終原稿としてまとめたもの。つまり、彼自身、原稿を何度も何度も書き直しているということであり、この本こそ彼の最終原稿であるということらしいのです。

さて、ここで「グレート・ギャツビー」読書会(1)の復習を少し。第1章の冒頭はナレーターになるニックが自分がどんな人間であり、どういう信条をもっているかなどが書いてあり、これからの語りの信頼性を計る上でも大事なところ。読者は彼の視点でこれからの展開を追っていくことになります。そして一見控え目で冷静なニックがはじめてギャツビーを語り始めるところも興味深いところ。

Gatsby who represented everyhing for which I have an unaffected scorn.  If personality is an unbroken series of successful gestures, then there was something gorgeous about him, some heightened sensitivity to the promises of life, as if he were related to one of those intricate machines that register earthquakes ten thousand miles away. (p.6)

実のところギャツビーは、僕が「こんなものは絶対に我慢ならない」と考えるすべてを、そのまま具現したような存在だった。もし人格というものが、人目につく素振りの途切れない連続であるとすれば、この人物にはたしかに驚嘆すべきものがあった。人生のいくつかの約束に向けて、ぴったりと照準を合わせることのできるとぎすまされた感覚が、彼には備わっていたのだ。(村上春樹訳9ページ以下訳はすべて村上氏)

現在のニックの語りから、いよいよ時は1922年の春に戻り、舞台はニューヨークに移ります。彼が住むことになった場所が、これまた重要でロングアイランド海峡に突き出た2つの卵形のウェスト・エッグとイースト・エッグ。ニックはイーストと比べるとおしゃれさには欠けるウェスト・エッグに住んでいて、お隣さんがギャツビーということになります。ここでギャツビーのお屋敷が「it was a factual imitation of some Hotel de Ville in Normandy (ノルマンディーあたりの庁舎として使われている館を、寸分違わず模倣して作られたような屋敷)」としているのが面白いですね。そこにはauthenticなものを求める余り逆にfake,imitaionさが際立ってしまうようで、ギャツビーの住む屋敷にもその主人の面影が映し出されているようです。

対してニックの遠い親戚デイジー夫妻の住むイースト・エッグ(高級住宅地域)のお屋敷は「a cheerful red and white Georgian Colonial mansion overlooking the bay (うきうきするような赤と白のジョージ王朝風コロニアル様式の屋敷)」。一見瀟洒にみえるこのお屋敷も”匂い立つバラ”など何か毒をもった雰囲気が漂います。

そして読者は、重要な登場人物トム・ブキャナンの"cruel body(容赦を知らぬ肉体)"、”a gruff husky tenor (しゃがれたテノールのどら声)”を知ることとなります。彼になかば強引に案内されたニックが部屋に入ると、白くプカプカ風でなびく風船のような2人の女性に出会います。それがデイジーとジョーダン・ベイカー。デイジーの演技のような大げさな挨拶は原書で読むと一層大仰。

”I'm p‐paralyzed with happiness." (私ね、幸福すぎて身体が、ま、マヒしちゃった)

トムと同じくデイジーの声もとても特徴的。

Her face was sad and lovely with bright things in it, bright eyes and a bright passionate mouth - but there was an excitement in her voice that men who had cared for her found difficult to forget: a singing compulsion, a whispered "Listen," a promise that she had done gay, exciting things just a while since and that there were gay, things exciting things hovering in the next hour.

(彼女の顔は切なげで愛らしく、そこにはいくつかの輝かしい部分があった。輝かしい瞳、そして熱を含んだ輝かしい口もと。しかしなんといっても、彼女を憎からず思っている男にとってまことに忘れがたいのは、その声に伺える心の高ぶりだった。歌うがごとき無理強い、「ねえ、聴いて」という囁き、彼女がつい先刻このうえなく楽しい何かを終えたばかりなのだというしるしそしてまた、別の愉しくわくわくするものがこれから、一時間ばかりは近くに控えているはずだという示唆。)20ぺージ

なんとも人工的に作った感じの声だと想像します。少女のように甘く、熟女のように妖しくといった声でしょうか。

今回はここで時間切れ。次回は1章の終わりまでいけば上出来とします。 

|

« 出だしでわしづかみのドラマ「流星の絆」 | トップページ | ”本が売れる理由” »

原書でキャンペーン」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

英米文学」カテゴリの記事

コメント

こんにちはー。

Great Gatsby

から来ました。面白いブログですねー。私も丁度great gatsbyとJack Londonについて最近少しだけ触れたので、良ければブログにお越し下さい。大した内容ではありませんが。

プロフィールも含めて参考にさせて頂きました。自分もKonikoさんの様に読める様になれればいな、と望んでいます。

現在立場は英会話とTOEICの講師なのですが、社会人で大学の英米学科で小説を読み始めた所です。大変ですが頑張りますhappy02

Tsu

投稿: Tsu | 2012年9月18日 (火) 00時04分

Tsuさん、はじめまして。Gatsbyからの検索でいらしたんですか。光栄ですheart

貴ブログに遊びに行って見ました。ギャッツビーは宿題だったのでしょうか。美文調がとっつきにくいかもしれませんが、なかなか好きな作品です。

これからもどうぞよろしくお願いします。お互いに頑張りましょう。

投稿: コニコ | 2012年9月18日 (火) 23時00分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/114487/24337594

この記事へのトラックバック一覧です: 「グレート・ギャツビー」読書会(2):

« 出だしでわしづかみのドラマ「流星の絆」 | トップページ | ”本が売れる理由” »