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2008年12月20日 (土)

「グレート・ギャツビー」読書会(4)

Photo 読書会も今回で今年は最後。ようやくChapter I が終わり、Chapter II に入りました。今回のメインはなんと言っても1章の最後。ギャツビーが闇夜の中に現れるシーンです。

左の絵はエドワード・ホッパーの「ガソリンスタンド」。ニックがキャラウェイ家から帰る途中で見かける「道路脇の自動車修理工場(真新しい赤い給油ポンプが明かりに照らされてぽつんと正面に立っている)」(村上春樹訳「グレート・ギャツビー」39ページ)を読んで、ふと思い出したアメリカの風景です。田舎の街道沿いにぽつんとしかいいようのない、こういったガソリンスタンドやダイナーはアメリカの原風景ともいえる気がします。

それはさておき、章ラストのところ、ニックの視点でギャツビーに出会うところがなんともうまいな~っと思います。がらんとした庭でひとり夜を味わっているニック。闇の中で自然が活き活きとにぎわい、生気を発散させている様子が感覚的に伝わってきます。

The wind had blown offf, leaving a loud bright night with wings beating in the trees and a persistent organ sound as the full bellows of the earth blew the frogs full of life.

風はもうあらかた収まり、あとににぎやかな明るい夜を残していった。樹木の枝のあいだに羽ばたきが聞こえ、蛙たちが盛大なオルガンの音をあたりに休みなく響かせていた。大地のふいごが蛙たちにここを先途と、たっぷり生命の息吹を吹き込んだのだろう。(同上39ページ)

ふと見ると、ニックは自分が一人でないことに気がつきます。そこにはひとり佇み、自分の世界に満たされ、と同時に何かを一心にふるえるほど憧憬するギャツビーがいました。そんな彼ををニックは静かに見守ることになります。そのギャツビーが追っていたものは、海の向こうのたったひとつ光る緑の灯火―小さい遠くの光―ギャツビーという人間の何かを暗示しているような幻想的な場面です。それでいて、限りなく映像的。ここではにぎやかだった蛙も羽音もすべてがミュートしてしまい、天空の星のスポットライトだけがギャツビーにあたっている感じです。

第2章の冒頭は愛人のいる場所が紹介されるのですが、これがまたValley of ashes(灰の谷間)と呼ばれるところで、その描写が読んでいて埃がたってきそうなすごいゴミ溜めです。さらにそこに置き去りにされた不気味なメガネの広告、Doctor T.J. Echleburg.の目。愚かな人間を見詰る証人のようにその視線がのしかかります。

今回の読書会はトムの愛人の夫、Wilson氏の登場までで終わりになりました。Wilson氏がやたらに生気がないということが強調され、それだけ奥さん(つまりトムの愛人)の漲るバイタリティが浮き上がっていました。

では、次回は来年。

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