絵本「ファウスト」
昨日の映画「パコと魔法の絵本」が子ども向けというより、大人の映画だったように、今日ご紹介する絵本も大人の絵本。いつか読みたいと思っている「ファウスト」の絵本があったことをつい最近知りました。それも大好きな本「クリスマスの思い出」(トルーマン・カポーティ作、村上春樹訳)で挿絵を描いている山本容子が絵を担当し、新訳で話題になった池内紀さんが文を書き下ろしています。
ゲーテのオリジナルは全1万2千余行。それをけずってけずって作った絵本だとか。イメージだけでも味わおうと思って、ページをめくると・・・
ファウストの顔がゲーテの顔、そっくりにびっくり。彼の肩にたんこぶみたいにくっついている悪魔メフィスト。ずっとずっとファウストにとりつくメフィスト。ファウストの若くなった肉体にメフィストの芋のような身体がどのページにもある。マルガレーテと愛を契る時も離れることのない恐さ。一心同体の2人、いえ1人の周りには、天使が飛びかい、いろいろな時空が飛びかっている。女性は儚く浮き草のよう。そして人もうつろう。
おぼろげながら、絵をながめ、文をたどっていくと静かに伝わってくるものがありました。
山本さんが「おわりに」でこう書いています。
「ファウスト」という作品は、一見荒唐無稽な世界が拡がっているようだけれど、結局はひとりのささやかな人間の傷つきやすい気持ち、哀しみ、心の動きがこういう壮大な物語を生んでいると感じたのです。
それでなるべく静かな感じにしたいと思い、色調を淡くやさしくしました。
いかにも大事件的なドラマチックな色、ラインは全くなく、淡々と描かれた中に存在感を感じました。おぼろげなイメージを言葉で埋めてみたい、絵本でない「ファウスト」を読みたいと思った次第です。
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