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2008年12月26日 (金)

「できそこないの男たち」

できそこないの男たち (光文社新書)

「生物と無生物のあいだ」ですっかりお馴染みになった福岡伸一氏が出した新刊は、「できそこないの男たち (光文社新書)」。

今回は女と男、つまり「雌と雄のあいだ」のことを語った本ともいえるでしょう。

この本のプロローグで、ボーヴォワールの有名な言葉、「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」を引用しています。本が進むにつれ福岡氏はこう言い換えています。

生物学的に見て明らかに誤りである。生物はすべて女として生まれる。だから、女はもともと女として生まれた。ボーヴォワールはもう少しリラックスすべきだったのかもしれない。彼女の言葉はむしろこう言い換えられるべきなのだ。

人は男に生まれるのではない、男になるのだ

あるいはこうもいえるだろう。

アダムがその肋骨からイブを作り出したというのは全くの作り話であって、イブたちが後になってアダムを作り出したのだ。自分たちのために。(「できそこないの男たち」185ページ)

なんとも男性には面白くないお言葉でしょうね~。アダムよりイヴが先なんてね。女性の側からしてみると結構納得できたりします。実感としても、いざとなったら逞しく生きていくのは女性の方だし、産む性の方が先だったというのは説得力がありますね。(って急にえばってどうする!)

前半の遺伝子の話はちょっとむずかしくて読み飛ばしてしまいましたが、第6章「ミュラー博士とウォルフ博士」、第7章「アリマキ的人生」、第8章「弱きもの、汝の名は男なり」は、読んでいて痛快だし、でも男性性というものがちょっと切なくなったりで惹き込まれました。

「生物と無生物のあいだ」に共感できた方は、きっとこの本も楽しんで読めると思いますよ。あらためて福岡氏の文は文学的だと唸りました。

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コメント

「できそこないの男達」衝撃的でしたね。科学の力で人間の「性」の謎を解き明かすと、代わりに「ジェンダー」の概念が覆されるというか。個人的には「産む性が先」という事実を何となくすんなり受け入れられてしまったのは、私が女性だから、産む性だから?かしら?男の人には屈辱的な話?でも人間はアリマキとは違って女性のみで子孫は残せないのだから、生物学的には男性と女性の役割は対等ですよね。それにしても突然変異や進化などの自然の摂理は誰が操作しているのでしょう!やはり科学を超えた、神様の手に思えてなりません。

投稿: 友達のI | 2008年12月28日 (日) 12時16分

友達のIさん、この本を紹介していただいてありがとうございました。福岡氏の文章はとても文学的で、難しい論理もなんとか読み通すことができました。それにしても、やっぱり遺伝子の部分は難しかったですが。

コメントいただいてあらためていろいろ思いをめぐらしました。「できそこないの男たち」というタイトル自体にちょっと囚われた読み方をしちゃったかなと反省。福岡氏自身ももっと生物の根本の不思議を追っていましたものね。

仰るとおり、男性と女性のジェンダーの問題とは別の部分で、生物の性の摂理というものがあって、そこには侵しがたいものがある気がしますね。そもそも”性”というもの自体がどうしてあるのか、不思議ですよね。

ずいぶん前の「爆笑問題のニッポンの教養」でこの世に”性”ができて、死が生まれたというようなことを言ったいたことがありました。性ができて、生命の誕生が意識された時に死という概念も生まれたという風に。そして結合なくして分裂がないと同じように、ある程度進化した生物には”性”という不完全なものを創造する必要があったのではということを考えてしまいます。そしてその創造にはやはり人智を超えた介在があった思えますね。科学の最先端は哲学に通じるようです。

投稿: コニコ | 2008年12月28日 (日) 14時55分

コニコさんのコメントの「科学の最先端は哲学に通じるようです。」私もまさにそう思います!!

確かに生命科学の研究が進めば、生命体の事実がどんどん解明され、自然界における生命体の「不可能」を「可能」に変えることができるようになるのはすばらしいことですよね。人の手で新しい種や生命を作り出したり、病を治癒したり・・・。

でも、生命体自体も常に地球環境の影響を受けながら進化していて、その進化によって新たな病と遭遇することもありますね。つまり病も生命体とともに進化している・・・)。
また、性の仕組みを理解したとしても、私達は自分の意思で性を選んで生まれてくることは出来ないのだし、遺伝的にプログラムされている「死」を先延ばしにすることは出来ても、それからは決して逃れられないのです。(少なくとも今の医学では?)

こうして考えると、いかに人智が優れても、神様のような絶対的な存在による私達の運命操作には追いつけないという気がしてしまうのです。

そういう点において私達は、生命の謎に、「何か神秘的なもの」、「侵してはならない神聖さ」を感じてしまうのではないでしょうか?そういう部分で哲学に通じる・・・という気がしてなりません。

投稿: 友達のI | 2008年12月29日 (月) 14時43分

友達のIさん、お忙しい中、度々コメントをありがとうございました。

限りなくミクロの世界を追う分子生物学が内包するものに、宇宙的な世界を感じます。その宇宙的な世界には決まった秩序があって、「性」や「死」のプログラムがセットされているんですよね。本当に不思議、というかIさんの仰る「侵してはならない神聖さ」が存在するような…でも、それを誰もが神聖ととるかどうか問題で、そこに倫理、哲学を学ぶ大切さがあるのでしょう。科学は科学者だけの問題ではないとあらためて思います。

投稿: コニコ | 2008年12月30日 (火) 20時53分

男性ですが衝撃ですね。本読んでみようかな。
結構女性の方は優越感あるのでは?
いくつかブログみたけどそんな感じでした。
近頃女性が優秀という番組やデータありますしね。
NHKでも男性は絶滅するという内容の番組が放送されたようです。

投稿: まる | 2009年10月 5日 (月) 23時55分

まるさん、はじめまして。確かに男性にはショックの大きい本かもしれませんね。でも、女性も男性も一蓮托生のところがあるので、どちらが偉いとか言ってもね~、という気がします。
是非読んだ感想をお聞かせくださいね。
NHKテレビ「女と男」第3話はまさに「男性が絶滅の危機」の話でした→記事はコチラ
http://konikoscafe.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-bd71.html

投稿: コニコ | 2009年10月 6日 (火) 23時31分

コニコさん、お返事有り難うございます。
コニコさんからみて男性にはショックの大きい本なのかな?
女性も男性も一蓮托生のところがありますが、
生物学的にも男はパシリということになるのかな?
謙遜なさってますがやはり女性としてはさらに自信がついたのでは?
他にも身体や精神、生命力、痛みにも女性の方が強いとされてるし、
我慢強い、根性あるとされてるのかな。
各種試験でも女性に男性ははじき出されているようです。
最近、脳でも今後の社会で求められる同時処理能力、マルチタスクなのが女性の脳らしいですね。コニコさんは自分から話しながらタイミング打つなどの同時処理ができますか?僕は厳しいですね。
本読んでみたいです。ここに書いて良いのかな。メールでお返事いただければ感想書いてもっと語ってみたいです。
ブログの記事ありがとうございます。今から読ませて頂きますね。

投稿: まる | 2009年10月 9日 (金) 22時29分

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