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2009年1月28日 (水)

「家守綺譚」

家守綺譚 (新潮文庫)

年頭に梨木さんの小説が読みたくなると書きました。それで「家守綺譚 (新潮文庫)」を読んでみました。

本題に入る前に、梨木さんの本のタイトルって、なんだかなぞなぞみたいだと思いませんか?「西の魔女が死んだ」もエッ魔女って誰?と思ったし、「ぐるりのこと」って何のこと?とか。そして今回の「家守綺譚」ってなんじゃいの~?と思ってしまいました。

綺譚は「世にも珍しい面白い物語」で、そうそう村上春樹も「東京奇譚集」なんてのもおもしろかったけど。”家守(いえもり)”とは?

綿貫征四郎なる駆け出しの物書きが、事故で亡くなった親友の親に「家の守をしてくれないか」と頼まれたことから、物語は始まります。つまり、家が朽ちないように風を入れてくれまいかということ。

木々の芽吹く春に引っ越してきた征四郎を待ち受けていたのが、奇天烈なものたち。恋するサルスベリに、サギと河童の仲介役を買って出る犬のゴロー、死んだ親友の高堂(幽霊)、河童やら山寺の和尚さんが自然体で登場しています。犬好きな隣のおかみさん、奇天烈界(そんなものがあるとすればですが)の物識り、謎解き屋さんは、頼もしくてファンになりました。

四季を彩る花や草が目次に季節順に並んで、まるでカレンダーで暦をたどるようです。「木槿(むくげ)」「都わすれ」や「セツブンソウ」「リュウノヒゲ」など、声に出してどんな花なのか想像するだけでも楽しくなります。その花たちは単なる花でなくもう動き出しそう。

面白いのは征四郎が家の守をしているつもりが、実は家や山の生き物たち(幽霊含む)に振り回されっぱなしになっていることです。そしてそんな彼が最終章「葡萄」で、きっぱりとした態度と律儀なところをみせた時、鼻の奥がじーんとしてきました。なんて印象的な終わり方でしょう。心地よい清涼感が残ります。季節が一巡し、征四郎は豊かな物語を手に入れて、物書きとして生きていくのでしょう。

参考:「優しい時間」というブログで家守綺譚(いえもりきたん)の植物たちを紹介していました。

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コメント

コニコさん。素敵なレビューで読みたくなってしまいました。家守って面白いテーマですね。私も何年前か帰国したときに「西の魔女が死んだ」を買いました。自然やモノにつく霊とか、そういうものを大切にするのが日本の文化だと思いますので、それを心温まる形で描いた作品が大好きです。

投稿: 渡辺 | 2009年1月29日 (木) 19時35分

渡辺さん、いらっしゃいませ。この本の家の辺りはなんだか、「となりのトトロ」に出てきたところみたいでした。不思議なものが出てきても、おかしなことが起こっても平気な顔で、「そうか、そうか」という感じでみんな自然体なんです。ものに霊が宿っているのを感じ、それと一緒に暮らしていく―そんな心温まる、そして懐の深い雰囲気が日本文化にはあると思ったりもしています(だんだんと薄れてはいますが)。

かなり気に入った本です。

渡辺さんもお読みになったら是非感想を聞かせていただければ嬉しいです♪

投稿: コニコ | 2009年1月29日 (木) 21時24分

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