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2009年1月30日 (金)

「われらがアウルズ」

われらがアウルズ (ハヤカワ・ノヴェルズ) 先日、「Simple Gifts」の訳を引用させていただいた翻訳家、光野多惠子さんが訳された「われらがアウルズ (ハヤカワ・ノヴェルズ)」(ロバート・B・パーカー著/早川書房)を読みました。

洋書では充実しているヤングアダルト向け(思春期の中高校生向け)の本です。わたしは全然知らなかったのですが、ロバート・パーカー氏は探偵ものの大家で、この作品は彼が若い読者のために書いた最初のものだそうです。

主人公のボビー・マーフィーは14歳。時は第2次世界大戦が終わってまもなくのこと。アメリカのボストンに近い小さな町に通う8年生(日本だと中2)が、コーチなしのバスケットチーム、アウルズ(つまりチームの名前が「ふくろう」)をつくり奮闘しながら、友情、淡い恋、約束、大切なものについて考えて成長していくお話です。でも、そこには、あるサスペンスがあり、スパイスがピリリと効いています。オバサン読者のコニコも、思わず危なげなボビー、アウルズ、がんばれと声援を送ってしまいました。

こういうストーリーを読んでいると、子どもの頃に宝物のような時期があったのを思い出します。その時期は、人によっては1年であったり、ひと夏であったりするわけですが。夢中で遊んだ仲間がいて、その友情は永遠に続くと思え、毎日が”事件”(たわいのないことのようであっても)に満ちていて―という日々。ボビーも14歳という、成熟な子どもと未熟な大人を抱える時期に、かけがえのない友達と最高に”やばい”経験をしてアウルズは輝いていました。

ボビーたちのチームとしての活躍もさることながら、やっぱりこの時期の甘酸っぱい初恋も見逃せません。ボビーとジョウニーの音楽堂での会話は面映くもあり、ボビーの自分でも思いがけない発言に驚いたりでした。特に37章のジュークボックスを聞きながらの2人の会話は映画の一シーンのようでセピア色のノスタルジーを感じました。きっと、1945年頃にティーンエイジだった大人にもたまらないシーンでしょう。

軽快な文章で、きっと原書も読みやすいのではと思います。こんな本が学校の英語の副読本だったらいいのに、なんて思ってしまいました。翻訳を読みながらでも英語の力はつくと思います。

Edenville Owls 原書の表紙は翻訳本とどう違うかなっと思ってみてみました。「Edenville Owls」(Robert B. Parker/Puffin)
ずいぶん翻訳本と印象が違って面白いです。原書ではRobert B. Parkerの方が本のタイトルよりかなり大きく、それだけパーカー氏の名が著名なことを物語っているのでしょう。

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コメント

『われらがアウルズ』を読んでいただき、ありがとうございます。
この作品の楽しさがすごくよく伝わるレビューで、うれしかったです。

> ジュークボックスを聞きながらの2人の会話は映画の一シーンのようで

そう、作者も「セピア色のノスタルジー」を狙って、自分でも楽しみながら書いている感じですよね。わかっちゃいるけど、のせられてしまう(笑)。
こういうところが、ロバート・B・パーカーの上手いところです。
ほかの作品(とくにスペンサー・シリーズ)も、機会があったら読んでみてください。
エンターテインメント性の強い作品ですが、意外にフィッツジェラルド的なところもあって、いろいろな意味でおもしろいですよ。

投稿: t-mitsuno | 2009年1月31日 (土) 10時51分

t-mitsunoさん、こちらこそコメントをありがとうございます。作家との出会いとなる本って大事ですよね。パーカー氏のスペンサー・シリーズもトライしてみたくなりました。きっとこの本とは違った面白さがあじわえるのかしらと思います♪

でも、その前に「最後の宝」を読んで「Simple Gifts」がどういうふうに出てくるかを知りたいと思っていますhappy01

投稿: コニコ | 2009年1月31日 (土) 21時41分

> でも、その前に「最後の宝」を読んで「Simple Gifts」がどういうふうに出てくるかを知りたいと

ぜひぜひ、読んでみてください。
ロバート・B・パーカーはミステリ界の有名作家で、その手練れ(てだれ)がこれだけの初々しい作品を書いたというのがすごいと思いましたが、『最後の宝』はパーカーに比べると新人に近い作家が、全力投球したという感じです。
それでいて、この作家の文章には、ある種の息吹きのようなものが感じられました。
邦訳でそれが出ているかどうかは、また別の問題ですが(笑)。

投稿: t-mitsuno | 2009年2月 3日 (火) 09時07分

t-mitsunoさん、いらっしゃいませ。「最後の宝」、図書館でみつけました。結構厚い本なんですね。読むのが楽しみです。

久しぶりにヤングアダルトの本を読んで、児童文学の新鮮さを思い出しました。ありがとうございました♪

投稿: コニコ | 2009年2月 3日 (火) 20時45分

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