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2009年2月15日 (日)

「大人のいない国 成熟社会の未熟なあなた」

大人のいない国―成熟社会の未熟なあなた (ピンポイント選書)

去年の話だが、高校生の娘が都内にある在住ドイツ人高校生が通う学校を表敬訪問した。帰ってきて一番に言ったことばが「みんな、すっごく大人っぽいのよ~。」フムフム、その言い方も子どもっぽいのだが、自分たちを客観的にみることは大事。「今の若者は幼稚で」という意見が言われて久しいが、最近は、そう言われている若者の方から、「今の大人ってやばくない?」と言われている気がする。

大人のいない国―成熟社会の未熟なあなた (ピンポイント選書)」(鷲田 清一/内田 樹著)は、ニッポンの大人がどんだけ未熟かを語っている本。

気づいてみれば、みんなで「こんな日本に誰がした」を大合唱。誰も「こんな日本に私がした」とはゆめゆめ思っていない。老いも若きも「責任者を出せ!」と騒ぐクレーマー天国で、絶滅危惧種「本当の大人」をめぐって二人の哲学者がとことん語ります。

扉にはこんな言葉。巻頭の内田氏と鷲田氏の対談「『大人学』のすすめ」は正味30ページ。お二人の、未熟度のキーワードになるのが”クレーマー”と”自己責任”。以下は印象的なお言葉の抜粋です。

鷲田:昔だったら、大の大人がそんなことで…と言われるような些細なことに、いちいちクレームをつける。クレーマーって、堂々と自己主張をして一見アクティブに見えるけど、本当はすごく受動的な態度じゃないかなあ。だって責任はとれないわけでしょ。自分はいつも問題が起こってるシステムの外側にいて、「ひどいやないか、何とかしろよ」と言っている。(クレーマー天国「失われた責任者を求めて」 11ページ)

内田:「自己責任」「自己決定」にあまりこだわるものだから、決めるからには初めから最適な選択をしなくてはいけない、という強迫観念がある。余人をもっては代え難い仕事、余人をもっては代え難い人生を送るためにね。

鷲田:そんなこと、年をとってもわかりませんよね。死ぬ間際にやっと「オレの人生って何だったんだろう」って思うくらいで(笑)(「妥協しない生き方」の落とし穴 20ページ)

そうなんです。大声でクレームを言っている人はすごくアグレッシヴに見えるけど、自分の要求を叶えてもらいたいという「くれない族」なわけで、「こうならないのならこういうふうにしよう」という提案はほとんどなく「どうにかしてくれ」になってしまいますよね。(わたしも他人事にように書いているけれど気をつけなくっちゃ。)

それから、自己責任も度が過ぎると何も出来なくなってしまうのではないかと思ってしまうこの頃です。病気になるのも「自己責任」、結婚できないのも「自己責任」、仕事がないのも「自己責任」って何か変。(「おひとりさまの老後」にもどこか「自己責任」のにおいがしてあんまり共感できなかったし)

対談の他は、お二人の評論エッセイが5本載っています。

中でも6章の「もっと矛盾と無秩序を」(内田樹)は、興味深いものでした。2年ほど前に「矛盾は力、断絶は成長そして…」という記事の中で「おじさん論」(この場合の”おじさん”は親戚の”叔父”とか”伯父”ということ)を書いてくれないかなといっていたのが、実現した感じで嬉しかったですね。映画「リトル・ミス・サンシャイン」でも、おじさんのもっている価値観が引きこもった青年の心を開く役割をはたしていて「こういうの、大事だな」と思っていたんです。ただ、最近は核家族で親戚はうっとうしいだけのものだと思っている人が多いし、一人っ子が多くなっているのでおじさん、おばさん自体が消滅していくのではと心配です。

ともかく、大きな字でページ数も100ページくらいなので、さくさく読んでフムフムと考える本。そして自らの俯瞰も忘れないように。

あ~、大人のいない国はどうなるのか~・・・未熟なわたしでした。

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コメント

おはよーございます(^^)
”大人のいない国”今回の中川さんYopparai会見でしみじみと痛感しております。は~っ…

投稿: クーネルシネマ | 2009年2月18日 (水) 07時15分

クーネルシネマさん、”大人のいない国会”という本がそのうち出るかもしれません(笑)もし解散、選挙ということになったら是非、絶滅危惧種「本当の大人」の候補者を選ばなくてはね~(≧∇≦)

投稿: コニコ | 2009年2月18日 (水) 20時27分

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