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2009年2月 2日 (月)

「最後の授業」(The Last Lecture)

最後の授業 ぼくの命があるうちに DVD付き版

アメリカではずいぶん長い間ベストセラーだった本で、日本でも話題の本、「最後の授業 ぼくの命があるうちに DVD付き版」ランディ パウシュ+ジェフリー ザスロー著/ランダムハウス講談社)を読んでみました。

この本はDVD付き版と本だけ版の2種類があるのですが、お値段的にプラス500円程度でDVDがみられるので、私としては断然DVD付き版をおススメします。特にDVDをみてから本を読むと「最後の授業」をどんな体調、気持ちでやろうとしていたか、やったのかが明かされていて読むものの気持ちに迫ります。

表紙をみると、副題が”Really Achieving Your Childhood Dreams”(子供のころからの夢を本当に実現するために)となっていてゾウのイラストがついています。「おや、日本の『夢をかなえるゾウ』のようだわ」と思っていると大違い。夢を叶えることについてのお話は同じでも、ゾウが象徴することは全然別もの。この本では、無視しようのない明らかな問題―これがゾウ、著者ランディ・パウシュの場合は末期癌。これが目の前にあると、人は見て見ぬふりをしようとします。つまり、小さな部屋にゾウと一緒にいても、ゾウに気がつかないふりをして厳しい現実から逃れようとしてしまいます。あえて、ゾウを描いたのも、部屋の中にゾウがいるという現実から目をそらさずにいようという、ランディ・パウシュの強い意志からなのでしょう。

ランディ・パウシュ教授の「最後の授業」は、”もしこれが最後の授業になるとしたら?”というシリーズの講義のはずでした。しかし、末期癌に侵され、余命数ヶ月と宣告されたパウシュ教授にとって文字通り「最後の授業」をすることになります。そのいきさつから、授業内容、本当に伝えたいこと、家族のことをからりとした口調でユーモアも交えて語っています。

特に心に残った点を2つ。ひとつは「僕を導いてくれた人たち」の中でパウシュ教授が”本気がしかってくれる人”について語っているくだりです。

ある日、アンディ(パウシュ氏が学生の時の担当教授)に散歩に誘われた。彼は僕の肩に腕をまわして言った。「ランディ、きみがとても傲慢だと思われていることは、実に悲しい。そのせいで、きみが人生で達成できるはずのことが制限されてしまうんだからね」

いま思うと、彼の言い方は完璧だった。実際は「ランディ、きみはイヤなヤツだ」と言っているのと同じだった。でも彼は、僕が批判を受け入れて、憧れの人の言葉に耳を傾けるべきだと思わせるように話してくれた。厳しいことを素直に言う人を、「オランダのおじさん」と呼ぶ。最近はあえて苦言を呈する人はほとんどいないから、時代遅れの言葉になりつつあるし、通じないときもあるだろう(最高なのは、アンディが実際にオランダ人だということだ!) (89ページ)

何度も言われている教訓ですが、ユーモアを忘れずに、肝心なことをしっかり伝えています。今の社会ではまわりでも、本気でしかる人が少なくなりました。最近になって、私もしかること、しかられることの大事さを感じます。因みに「オランダのおじさん」=Dutch uncleを辞書で引くと:《口》ずけずけと〈きびしく〉批判〈説教〉する人、と出ていました。

もうひとつは「人生をどう生きるか」のの中の”「最初のペンギン」になる”です。

「パーチャル世界の創造のクラスでは学生に、むずかしいことに挑戦して失敗を怖れるなと励ました。そして学期が終わるときに、学生のグループのひとつにペンギンのぬいぐるみを贈呈した。最大のリスクをおかして新しいアイデアや技術に挑戦したが、当初の目標を達成できなかった「最初のペンギン賞」だ。いわば「名誉ある失敗賞」で、型にとらわれない考え方と、想像力を大胆に使ったことを称える。つまり「最初のペンギン」の受賞者は、あとできっと成功する敗者なのだ。

賞の名前には、捕食者が待ち構えているかもしれない海にペンギンが飛び込むとき、最初に飛び込むペンギンは新しいことに挑戦する勇気がある、という意味をこめている。(173ページ)

この考え方も科学者らしく「失敗は成功のもと」ということを言葉を代えていっているのですが、失敗に賞まであげてしまうという潔さが気に入りました。それもペンギンのぬいぐるみとは微笑ましい。何事も次につなげる活力が必要ですから、きっと、このぬいぐるみをもらった学生たちは、めげることなく明日の成功者を夢みて研究に励んでいることでしょう。

他にも有益なアドヴァイスはたくさんありましたが、それは読む人のお楽しみに。

最後に、パウシュ氏は亡くなってしまったけれど、彼が父母を誇りに思うように、パウシュ氏の子供たちも大きくなってきっと両親を誇りに思うことでしょうね。

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