« 漫画「百物語」+手塚ファウストを考える | トップページ | 「ズーランダー」(Zoolander) »

2009年3月 6日 (金)

「橋本治と内田樹」

橋本治と内田樹

書店で見つけたときから”これは読まねば”と目をつけていた本、「橋本治と内田樹」(著者:橋本 治,内田 樹、筑摩書房)をウフフと読ませていただきました。

楽しかったですよ。この対談。普段は、読み手がつい内田氏の会話術に乗せられてなんだか妙に納得するようなムードになる対談集が多いでしょ。だって、内田氏は今や出版界のみのもんた的存在だし、「内田研究室」ブログの影響力も大したものだし。でも、この本は、そんな内田氏が敬愛している橋本氏にうろたえたり、突っ込んだりしているのが楽しい。

例えば、「橋本先生の文章って、試験問題に出ています?」って質問している内田氏に対するやりとりなど、大笑い。(以下引用)

橋本:いまはわりと多いです。でも昔、俺、ほんとに現代国語は苦手だったんです。

内田:苦手でしょうね。

橋本:「作者のいうことをまとめなさい」とか・・・・・。

内田:それ、できなさそう。

橋本:どうでもいいじゃんか、みたいな。

内田:どうでもいいじゃんか、ですか(笑)。

橋本:俺、これ書いた人嫌いだもんとか。

内田:僕は得意だったんですね、現代国語。「作者は何がいいたいか」にすぐシンクロできるんです。

橋本:作者はこういいたいんだけど、俺はそう聞きたくないと思っちゃう。自分は何を聞きたいかのほうが問題だから。

内田:先生、現代国語は「書いた人間」と、「出題した人間」と、「解く人間」の3人いるわけです。ターゲットはここ、「出題者」なんです。「書いた人間」のことなんか考えちゃいけないんです。「出題した人間」の頭に同調するんです。橋本さんは「書いた人間」のことを考えているんでしょ。

橋本:「書いた人間と出題者が、なんかよくわかる話をしているんだな。でも、俺、わかんないから」となる。

内田:(笑)でもね、出題者は書いた人より、頭の作りがシンプルですから。

橋本:そうなんですか。

内田:そこに照準すればいいんです。

橋本:そんなことできないですよ。だって俺、好きじゃない人に頭を合わせられないから(笑)。

内田:いろいろともう・・・・・・面倒の多い人ですね!(笑)  (204ページ)

とかね、和気藹々としながらも、破天荒なペースを炸裂している橋本氏も「いいな~♪」と思うし、そのペースに巻き込まれて内田先生が嬉しそうに合いの手を入れているのも「愉快だな~#」と思うのです。

一見、ダラダラとおしゃべりしているようで結構深い名言を言ったりするので、お二人の言葉に笑いながらもつい最後まで傾聴してしまいます。

橋本氏が全9千枚にのぼる「窯変源氏物語」の原稿を書いた後、マッサージに行ったら「右手筋肉ついてますね」って言われた話とかもすごいです。「ペンより重いもの持ったことない人間が、結局ペンで筋トレができるのかと思って、ちょっと唖然としたことがあった」(96ページ)なんていうのを読むと”書く”という行為が頭だけでなくて身体も全部全部をフルに稼動してやっていることなんだと実感したりね。

それと、どうやら橋本氏も内田氏も小津安二郎の映画がお好きなようで、「秋刀魚の味」のシーンを取り上げて、”観客や読者がリアリティーを感じる瞬間”について話しているんです。小津監督の大ファンとしては、それこそ私自身がこの対談の観客になって、その場に入り込んでしまいました。これ、やっぱりテクニックのある対談ですよ。

実はね、内田氏の対談集、どれも面白いのですが、ちょっと最近食傷気味だったのです。でも、この対談は、橋本氏的に言うと「俺、スキだから」ですよ~(笑)。橋本治の本、一冊も読んでないのですが、もう要チェックです。

|

« 漫画「百物語」+手塚ファウストを考える | トップページ | 「ズーランダー」(Zoolander) »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

面白そうですね。
私は、逆に内田さんがノーチェック。
橋本さんは、「桃尻娘訳・枕草子」ではまりました。
これはおススメですよ!

投稿: gamzatti | 2009年3月 7日 (土) 07時00分

gamzattiさん、お久しぶりです♪お元気?橋本治がお好きなら裏話的なところもあって、きっとこの本、満喫できますよ。わたしもまずは橋本治入門書として「桃尻娘訳・枕草子」を読んでみようかな~。源氏もそそられますがちと長いですよね。
内田樹のおススメ本は「下流志向」かな。

投稿: コニコ | 2009年3月 7日 (土) 11時43分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/114487/28500285

この記事へのトラックバック一覧です: 「橋本治と内田樹」:

» 本、養老と内田 [つき指の読書日記by大月清司]
逆立ち日本論 一期一会という言葉がある。出会いがあっても、必ずしもその関係が次の拡がりにはつながらない。 考え、視野の基盤が同じでも、同じ思考の回路では空転し、年齢、世代差よりも、互いに触発し、響き合い、新たな知的な刺激が小さな熾火のように生じないと、...... [続きを読む]

受信: 2009年3月 8日 (日) 06時42分

« 漫画「百物語」+手塚ファウストを考える | トップページ | 「ズーランダー」(Zoolander) »