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2009年4月 7日 (火)

「旅人 湯川秀樹自伝」

旅人―ある物理学者の回想 (角川文庫ソフィア) 旅人―ある物理学者の回想 (角川文庫ソフィア)

著者:湯川 秀樹
販売元:角川書店
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新しい学期を迎え、進路を決められず「自分が学ぶものは何か」という難題に悩まされている学生が少なからずいることでしょう。

今日は、そんな悩める若い人、そしてその若者たちを見守る親、先生たちにもお薦め―湯川秀樹著「旅人」をご紹介します。

去年は国中が日本人のノーベル賞受賞に大いに沸きましたが、湯川秀樹氏は1949年、今から60年前に日本人初のノーベル賞をもらった方です。受賞は湯川氏が42歳の時の出来事です。この本は50歳の時に書かれたものですが、内容は、氏が生まれてから27歳数ヶ月、中間子理論をみつけるまでの旅を綴ったものです。

「はじめに」に書かれている淡々とした文章が、余計な言葉を足し算も引き算もしない冷静な科学者を感じさせます。といっても冷徹なところは感じられず、その謙虚で率直な文に引き込まれてしまいました。

湯川氏が自分の性格を非常に客観的にみて、幼い頃、口数の少ない子であったことを思い返しています。面倒なことは「言わん」のひとことですました逸話(52ページ)が楽しいこと。そんな当時のあだ名が「イワンちゃん」。なんとも微笑ましくまた一徹ぶりもあらわしていることでしょう。思春期の父への反発や、孤独を愛し、些細なことに対する厳密性の要求など、自らの中にアンバランスなところ、混沌とした思いが吐露され、共感が持てます。

やがて成長するにつれて、素晴らしい友人、師に出会っていき、青年だった湯川氏の混沌とする学問への道がどんどん定まっていく過程も見逃せません。彼は決してはじめから物理の道に進むことを決めていたわけではなかったのです。

そして結婚についても、湯川氏が、自らの孤独を好む性格ゆえに独身のままだろうと思っていたのに、それが結婚によっていろいろな意味で転機になったというところも、人生とは面白いものだと思わせるところです。

先日行った京都旅行で、京大のキャンパスも歩いてみました。かつて湯川秀樹氏が学んだところ。感慨深いものがありました。

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