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2009年4月15日 (水)

「ジョゼと虎と魚たち」

ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)

ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)(田辺 聖子著、角川書店)
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小川洋子さんのオススメ本の中で、まずは短いものから読んでみました。表題が魅力的ですね。

前に「モーツァルトとクジラ」という映画を観たことがありますが、こういったシュールなことばの組み合わせは、コミカルでこころを弾ませるものがあります。はたして「ジョゼと虎と魚たち」が繰り広げる物語はどんなものでしょうか―クミ子、自称ジョゼと恒夫の恋物語。

クミ子、アタイ、ジョゼ、読書好き、市松人形、車椅子、25歳、天涯孤独

そんなジョゼのキーワードをいくつ重ねても、彼女を表すひとことはもう、”可愛い女(ひと)”に尽きます。可愛くて可愛くて・・・すねていばっていてさびしがり屋で、素直で切なくて甘えて・・・可愛いのです。

そんなジョゼのいいところをカンのいい恒夫は、ちゃんと感じ取っていて彼女に嵌まっていくのです。ジョゼの”細い人形のような脚が異様にエロチック”な色気。好きな人のために”長いことかかって料理をつくり、上手に味付けをする”ジョゼの一途さ。

ジョゼと恒夫の会話は、プッと笑ってやがてこころがほんわかするようなものです。ジョゼのおばあちゃんが亡くなって、引っ越した先に恒夫が訪ねたシーンは胸を打つベスト・ラヴ・シーンの中のひとつです―「帰ったらいやや」というジョゼ。本当に”可愛い女(ひと)”です。

そして、物語のエンディングにジョゼは、(アタイたちは死んでる。「死んだモン」になってる)(204ページ)といっています。その意味がどういうものかは読んでのお楽しみ。最後の文章に豊かな余韻を残し終わっています。

この文庫には、表題作の他に8つの短編が載っています。その短編のどのタイトルもしゃれています。「お茶が熱くてのめません」とか「荷造りはもうすませて」とか。そして、中味もしゃれていました。中でも「男たちはマフィンが嫌い」と「雪の降るまで」は、お気に入りのお話になりました。しっとりとした女の気持ちと男の気持ちのずれ、重なりとを描いていて熟れている文章です。はじめて田辺聖子さんの本を読んだのですが、色気と食べ物、つまり食い気の描き方に引き込まれました。どの短編も読後に元気が出てくるから不思議です。この不思議な魅力は、ちょっと古風な言葉遣いと軽妙な関西弁のバランスがちょうどいいからかもしれません。

田辺聖子さん手作りのご馳走のような小説、もっと読みたくなりました。

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コメント

コニコさん、映画もとっても良いですよ。
最初、ちょっとR指定なのでお嬢さんと観ないほうが良いと思いますが・・・(^^;)
私も本読んでみたくなりました。

投稿: クーネルシネマ | 2009年4月18日 (土) 20時34分

クーネルシネマさん、お元気?
やっぱりいいですか、これ。観たいと思っているんですよ。妻夫木クンがとってもいいと噂を聞きましたし。では娘には内緒でこっそりみちゃおうかしら、なんてねhappy01

投稿: コニコ | 2009年4月18日 (土) 21時51分

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