「平家物語」と「1Q84」
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今日、本屋さんに行ったら「1Q84 」がお店のいちばんいい場所に山積み平積みされていました。何版ぐらいになったのかな~と思って奥付をみると、11版。約1ヶ月でこんなにいくとは!出版業界では「春樹特需」なんて言葉も出ているとか。そうそう、ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』のCDも売れているそうですよ。これは、『BOOK1』の冒頭に出てくるから曲だから、とりあえず聴きたくなるのもわかります。 さて、音楽はおいといて、「平家物語」の話し。「1Q84 BOOK1」の後半で、ふかえりが記者会見で「平家物語」の一部を暗誦するという場面があります。 表紙写真は「平家物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)」(角川書店) |
『平家物語』の「ホウガンみやこおち」を暗誦したとしていますが、実際にふかえりが天吾の前で暗誦したのは「壇ノ浦の合戦」です。ふかえりの暗誦の後、こう続きます。
一一八五年に関門海峡で行なわれた壮絶な海上の合戦の有様が、そこに鮮やかに蘇った。平氏の敗北はもはや決定的になり、清盛の妻時子は幼い安徳天皇を抱いて入水する。女官たちも東国武士の手に落ちることをきらってそれに続く。知盛は悲痛な思いを押し隠し、冗談めかして女官たちに自害を促しているのだ。このままではあなた方は生き地獄を味わうことになる。ここで自ら命を絶った方がいい。(「1Q84 BOOK1」458ページ)
平家と源氏に分かれて繰り広げられる壮絶な戦い。その流れの中で命を落としていく多くの人たち。そこには単純に善い者と悪い者、勝者と敗者に分けられない物語があります。善と悪の枠を超えて展開していく物語世界は、世代を超えて日本人のDNAに引き継がれている気がして、この「1Q84」の中にも通じるものがあるとあらためて感じました。
これは先日NHK教育テレビで放送されている「Jブンガク」で『平家物語』の「敦盛最期」を取り上げた時に講師のロバート・キャンベル氏が言ったことと重なっています。つまり人をいいもん(hero)とわるもん(heel)にはっきり分けられない物語が昔から語り継がれている伝統が日本文学の中にあるということです。
今読まれるベストセラーに脈々と流れる日本の物語の力のようなものがこころに響きます。
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