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2009年7月 1日 (水)

「グレート・ギャツビー」読書会(7)

久々に「グレート・ギャツビー」読書会の報告です。3章の終わりと4章の半ばまで読みました。

3章のラスト数ページは、ニックが自分のニューヨークの生活を振り返っているところです。彼のニューヨークの描写が、フィッツジェラルドらしい流れるような文でセンチメンタルにならないぎりぎりのところで切ない都会の雰囲気をエレガントに醸し出しています。こういう文を読むとニューヨークにいますぐにでも行ってみたくなります。

  I began to like New York, the racy, adventurous feel of it at night and the satisfaction that the constant flicker of men and women and machines gives to the restless eye.  I liked to walk up FIfth Avenue and pick out romantic women from the crowd and imagine  that in a few minutes I was going to enter into their lives, and no one would ever know or disapprove.  Sometimes, in my mind, I followed them to their apartments on the corners of hidden streets, and they turned and smiled back at me before they faded through a door into warm darkness.  At the enchanted metropolitan twilight I felf a haunting loneliness sometimes, and felt it in others―poor young clerks who loitered, in front of windows waiting until it was time for a solitary restaurant dinner―young clerks in the dusk, wasting the most poignant moments of night and life. (p.61)

僕はニューヨークが好きになり始めていた。夜になるとあたりに漂うぴりっとした冒険気分、男たちや女たちや車の絶え間のない行き来が、僕らの好奇の目に与えてくれる満足感。五番街を歩きながら、人混みの中から夢をかき立てる女性を選びだし、さあ、これから僕は彼女の生活に入り込んでいこうとしているんだと、しばし想像するのが好きだった。誰に気づかれることもなく、誰に咎められることもなく。ときどき、あくまで想像のうちでだが、僕は人目につかない通りの角にある彼女たちの住居まであとをつけていった。そして彼女たちは、戸口を抜けてほんのりとした暗闇の中に消えていく前に、こちらを振り向き、意味ありげな微笑を僕に送るのだ。この魅惑的な大都市の黄昏どきに、ときおりそこはかとない孤独を感じとることもあった。あるいはまた、まわりの人々の姿にその投影を見た。ひとりぱっちの夕食をとるべく、レストランの開店を待ちながら、ウィンドウの前で所在なげに時間を潰している、懐の寒い若い事務員たち。淡い宵闇の中で、夜にとって、そして人生にとってもっとも印象深いものであるべき一刻を、ひとり切なく過ごしている若い人々。(村上春樹訳 93ページ)

その後、ジョーダンとのエピソードが書いてありますが、彼女のキーワードになるのが「lieとdishonest」。ニックは、そんな彼女に魅力を感じています。

そして4章。始めの数ページはギャツビーのパーティーに来た人のなが~いリスト。あらゆる人―セレブからその辺の酔っ払いまでEsat EggからもWest Eggからも来ています。この名前をみてニューヨークに住んでいる人は先祖がどこ系の移民でとか、成り上がりかどうかなんていうのもわかるかもしれませんね。

さていよいよギャツビーがニックに皆の謎だった彼の素性を話すところが出てきます。いやはやギャツビーは、アメリカらしくとても派手な車に乗り、派手に登場します。読書会で問題になったのが、彼の車。車体が長いということはわかるのですが、フロントガラスが幾層にもなって、ラビリンスのようだとか、ちょっとどんな車なのかわかりにくい。グーグルで調べたら、下の写真をみつけました。惜しいかなギャツビーの車は前半分しか写っていません。まあ、ともかく派手で目立つ車だったのでしょう。

で、始まったのが彼の生まれと育ちですが、まあ、これがウソっぽくてニックでなくても笑いを堪えてしまいそうです。インドのマハラジャのような暮らしと聞けば、「ちょっと冗談もええ加減に!」と突っ込みたくなります。でも、本当の話だという証拠として勲章まで見せられると、さすがのニックも信じる気になり始めます。ここの辺りの表現が微妙。ニック曰く  To my astonishment the thing had an authentic look.(意外にも、それは正真正銘の本物みたいに見えた。)その勲章は”本物だった”とは書かれずに”本物みたいに見えた”としています。これもあとの伏線の一部。

そしてクィーズボロ橋の情景の描き方も、そこを渡っていくと”何でもありの不思議な国”になるようなくだりがあり、いよいよGatsby, the Great―彼の魔法の舞台の始まり。

今回はいかにも怪しげなMr. Wolfshiemが出てきたところでお開きに。

お話しがずいぶんと動き出したので、次回からペースを上げていく予定です。

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