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2009年8月28日 (金)

「若きウェルテルの悩み」

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)

 今日はゲーテのお誕生日です。1749年にフランクフルトに生まれたということで、もしゲーテが生きていたら260歳になるんですね。そうか、つまり今年は生誕260周年に当たるわけです。

ゲーテが25歳の時に書いた「若きウェルテルの悩み (新潮文庫)」(1774年)を再読しました。はじめて読んだのは大学生のころだったかしら。

自分が若いときはすっかり「若きウェルテル」の入り込んでいたような気がしますが、あらためて読んでみるとウェルテル以外の人物が気になりました。ロッテはフィアンセがいながら、ウェルテルに思わせぶりな態度をとったり、結婚後もウェルテルが誤解をするような言動をとったり―思わずウブなウェルテルが気の毒になりました。特にロッテの夫、アルベルトのいない時にこんな会話を交わしているんですから、私がウェルテルの母親だったらもう「ロッテの家には行かせません」と怒ります。

 「あなたにも接吻させてやりましょう」こういってロッテは小鳥をぼくの方へよこした。――小さな嘴はロッテの口を離れてぼくの口に移った。ぼくの唇をついばむ感触は、愛情のこもった享楽のいぶき、予感のようだった。

 ぼくはいった。「この接吻は欲望を含んでいますね。食べ物が欲しいんだ、だからただ可愛がってやるだけでは不満のようですね」

 「わたしの口から餌を食べもするのよ」ロッテはこういった。――唇にパン屑を少しはさんでロッテが差し出した。無邪気ないたわりの愛情が限りない歓喜のうちにたのしく笑っているような唇だ。

 ぼくは顔をそむけた。あんなことはしてもらいたくない。そんな、天使のような純真さと浄福の表現でぼくの空想力を刺激してもらいたくない。(123ページ)

ロッテはウェルテルの純粋な恋心を知らないはずはないのにね~。

そして、後半に出てくるロッテを恋して免職になり気がふれた書記や、未亡人を愛して裏切られ殺人を犯した作男がウェルテルの言動、迷妄と重なり合ってきます。

この作品の構成も興味深いです。はじめの第1部、およそ100ページは、ウェルテルがロッテに出逢い、夫のアルベルトが登場するまで、書簡の形で綴られています。第2部は約50ページ、同じく書簡形式の構成で、ウェルテルの恋だけでなく、仕事も人間関係そのものも崩壊していく様が描かれていきます。その後、「編者より読者へ」という、今でいう雑誌の事件特集のようなものがあります。事件の顛末をウェルテル自身の書き残した書簡も織り交ぜながら、ウェルテルの最後のその時までが一気に書かれています。特に後半はゲーテの筆の冴えが感じられて、当時この作品がベストセラーになったのもうなずけます。

はたして、どれくらいこの本が今も若い人に読まれているかわかりませんが、これから秋に向かい、読書のよい季節になるので、是非恋する若人にもウェルテルの悩みを知ってもらって”悩む力”をつけて欲しいと思います。

余談ですが、ウェルテルがよく読んでいる本はホメロスでした。なるほど、ゲーテはこの頃からギリシアづいていたのですね。「ファウスト」にも「ギリシア神話」や「ギリシア悲劇」もどきの人物が出てきますから。

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