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2009年8月15日 (土)

「硫黄島からの手紙」と「玉砕」

硫黄島からの手紙 [DVD]

今日は終戦記念日なので、旅行の記事は明日にすることにします。

今、映画「硫黄島からの手紙 [DVD]」を観終わったばかり。前から観たいと思っていた映画です。

強く印象に残ったシーンがあります。伊原剛志が演じるバロン西が、捕虜にしたアメリカ兵とことばを交わす場面。アメリカ人は鬼畜と言われ、味方がどんどん殺されている最中に、西はケガの手当てを命じ、捕虜となった彼をひとりの人間として接するのです。西自ら自己紹介をし、相手にも「どこの出身か?名前はなんというか?」と問いかける、初対面では当たり前のことが、こんなに胸を打つシーンになるなんて。戦争をしていても、国境を越えても人間として友となれるのだという敬愛の精神が底に感じられます。もちろん、亡くなったサムの残した母親の手紙もアメリカ人、日本人といったものを超えて家族を思う心情がみな同じだという、当たり前のことに気がつかされもします。

そして、さらにすごいのは、この裏返し。栗林中将がアメリカに駐在中に友人と交わすことば。友人であっても敵として相対する時は信念とともに(つまり彼の信念は国の信念)進むということをも描いています。過酷な状況下での栗林中将の、友と袂を分かつ苦渋の決断が一面にあります。

クリント・イーストウッドがこの映画を日米共同で制作した意図は、こんなところに滲み出ている気がしました。

昔、”戦争で敵味方にならなければ、バーで一緒に飲むいい仲間になれただろうに”というような詩を読んだことがあります。バロン西と捕虜になったサムは、硫黄島という場所で戦争という時でも、友だちとなれた奇跡、しかしその奇跡も長くは続かなかった悲劇。見応えのある映画でした。

玉砕/Gyokusai

もうひとつ、特筆すべきは玉砕の場面。このシーンも記憶に鮮烈に残るシーンです。この場面をみて、”あの本”と思ったのが「玉砕/Gyokusai」(小田 実,ドナルド キーン,ティナ ペプラー著:岩波書店)です。小田実の中篇小説をドナルド・キーンが英訳しティナ ペプラーが戯曲化して有名になった物語です。「硫黄島への手紙」の理解にも参考になると思います。

6世紀のことだが、中国の北斉時代に、並みの土くれの人生を生きるより砕かれた宝石でありたいと言った人がいた。不名誉な人生を生きるよりも、名誉ある死を選びたいという意味である。このような心情を表すことばとして、北斉のひとはGyokusaiということばを使った。Gyokusai.  Breaking Jewel. 宝石を砕く。花が散るように大海原に落ちてゆく・・・。(「玉砕/Gyokusai」 151ページより)

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コメント

コニコさん、こんにちは^^
TB&コメントありがとうございました。
アメリカ人の見地から、こういう風に捉えられる映画があって、それを全世界の人が観てくれたことに意義があるような気がします。
直接は関係ないですが、唯一の被爆国家としても!

投稿: cyaz | 2009年8月16日 (日) 21時53分

コニコさん、こんにちは~☆^^

戦争さえなければ・・と、いろいろ考えました。
戦争に正義なんてどこにもないのに、繰り返すんですよねぇ。

この映画の素晴らしさは、両面から、それも中立の立場を崩さないように描いてあるところですよね。
イーストウッド、凄いです。

「玉砕」とても良さそうですね。
是非今度読んでみたいと思います。

投稿: メル | 2009年8月17日 (月) 07時23分

cyazさん、こちらこそTB,コメントをありがとうございました。
外からの視点というもので、見えてくるものってあるのでしょうね。仰るとおり、本当に意義深い映画でした。
戦後に生まれた戦争を知らない世代として、こういう映画が作られ、見られたことは大事なことだと思いました。

投稿: コニコ | 2009年8月17日 (月) 09時41分

メルさん、イーストウッド監督のもう一つの作品「父親たちの星条旗」も是非観てみようと思っています。両面から客観的な視点を崩さずに撮り続けるということ自体、並大抵のことではないですよね。

でも、本当は戦争がなくてこういう映画も撮られない方がいいわけで・・・。”正義”を謳うものの裏をちゃんとみていきたいものですね。

投稿: コニコ | 2009年8月17日 (月) 09時50分

コニコさん、TBありがとうございました。
反応が遅くてごめんなさい。
こっちは、夏休みが終わるのがはやくて、宿題に追われてました。
今年が小学生最後なので、もうこの苦しみからも逃れられます・・。

さて、これ。
TBいただいて、自分の記事を探して、あれから2年以上も経ってることにまずびっくりでした。
渾身の2部作でしたが、力のある作品でしたね。
あれから、イーストウッドは、力を抜くことなく秀作を作り続けていることにまず敬服です。

見た人が中村獅堂が抱えた地雷が何なのか、わからなかった・・・というのが印象的に覚えてます。なんで水筒持って、寝てたのか・・とかって。
職業柄、このことは自分の力の続く限り、語り続けられるように、がんばります。

投稿: sakurai | 2009年8月19日 (水) 11時34分

sakuraiさん、戦争を知らない世代のわたしが言うのも偉そうですが、わたしたちの子ども世代は、千人針、地雷、手榴弾、玉砕も靖国神社の意味も、まったく分からない人もいると思います。歴史をさまざまな視点から捉えたこのような映画、貴重ですね。
昨日、「父親たちの星条旗」を借りてきました。渾身の2部作、アメリカ編も観てみます。

追伸:宿題のお手伝い、お疲れ様でした。もう夏休みは終わりになったのでしょうか?東京も朝晩少し涼しくなってきました。

投稿: コニコ | 2009年8月19日 (水) 22時56分

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