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2009年10月19日 (月)

「ファウスト・クラス」読書会(5)

Photo_2 10月の「ファウスト」読書会は第二部の第二幕。

ファウストは前幕の爆発で寝ていて、あまり出番はありませんが、第二部はなかなか印象的な幕といえます。

読書会では「?の連発だった」との意見が大半。今回はギリシア神話の予備知識があるかどうかが大事なポイントになりました。

ここに掲載の「レダと白鳥」(ダ・ヴィンチの模写)も、ファウストの想い人、ヘレナにまつわる神話の絵です。

神話の話に入る前に、「天上の高いゴシック風の狭い部屋」でゲーテが批判している当時流行っていたフィヒテのドイツ観念論哲学のことを少々。ゲーテは、件の哲学が説く”絶対の自我”というものを学士に朗々と言わせています。そしてメフィストにそれを痛烈にからかわせています。捨て台詞ではありませんが、メフィストは学士の出て行く姿にこんな言葉を吐いています。

イキがったのが鼻高々で出て行った。そのうち気がつくだろう、バカな考えであれ、賢明な知恵であれ、すでにきっと先人がとっくに思っていたことなのだ。ともあれ、ああいう手合いは何てこともないのだ。(129ページ)

次に、錬金術でできたような人造人間ホムンクルスの登場となります。ホムンクルスの第一声が「やあ、パパさん、ごきげんいかが?」です。これって、なんだか手塚治虫の鉄腕アトムが生まれたところみたいですよね。手塚さんは本当にファウストの影響を受けていたんだなとあらためて感じました。さてさてこのホムンクルスは肉体を持たないのですが、不思議な力を持っていて、夢の世界が見えるようです。その美しい場面がまさに神話の世界、絵画の”スバルタの王妃レダと白鳥に変身したゼウスの契り”となります。その後に卵から産まれたのがヘレナ。

第二幕の後半は、第一部で登場したドイツの「ワルプルギスの夜」がギリシアに舞台を移し「古代ワルプルギスの夜」となって、壮大な場面を展開します。ここからは神話の登場人物、神様、怪物のオンパレード。ドストエフスキーのポリフォニー(多声性)はよく言われることですが、この場面に登場するものの声も、色とりどりで鮮やかです。神話に馴染んだ当時の読者にはパノラマのようなシーンだったのでしょう。そんな醍醐味を少しでも味わおうと、第二幕、最後の「エーゲ海の岩場の多い入り江」をメンバー全員で朗読しました。月夜の海に泳ぐトリトンや歌うセイレーン。ラストで、人間になろうと願うホムンクルスが光となり、水と融合するシーンはハッとするくらい崇高な美しさを称えていました。

次回は第三幕。ヘレナの登場です。

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