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2009年10月26日 (月)

原書「Reading Like a Writer」

Reading Like a Writer: A Guide for People Who Love Books and for Those Who Want to Write Them (P.S.) 先日、洋書の森に行って借りてきたのがこの本、「Reading Like a Writer: A Guide for People Who Love Books and for Those Who Want to Write Them (P.S.)」(著者:Francine Prose、販売元:Harper Perennial)。
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2006年にアメリカで出版され、評判になった本らしいのですが、翻訳は出ていないようです。表紙には"A Love letter to the pleasures of reading" ―USA Todayなんていうコピーがついていたから、つい手が出ちゃいます。

総頁数268ページのうち、たぶん3分の1は、著者Proseさんのお薦めする名著からの引用です。きら星のごとくに光る実際の名作の中のパッセージ(引用は切れ切れでなくかなり長い)がてんこ盛りです。「ごちゃごちゃ説明するよりこれを読んで!わかるでしょう。」という風で、実践的。引用される本に馴染みがない場合は、ここで状況を把握するのに英語がやっかいになりがちでした。引用以外の英語も結構難しい。

”書き手のように読む”ってできたら本当に理想だなって思うのですよね。この本は、そんな理想の読み方を指南する本です。須賀敦子さんのように書き手に尊敬と愛情をもって読んでいくと、その本の世界に入り込んで書き手の気持ちがズンと響いてくる感じになれるような気がします。もちろん、相当な集中力と想像力がないとできないことでしょうが。

章立てが"One: Close Reading," "Two: Words," "Three: Sentences," "Four: Paragraphs"といった具合に整然としていて"Creative Writing"の先生然としています。まずは丹念に読んでみようということがスタート。最初の引用がフラナリー・オコナーやジェイン・オースティンだったりして嬉しくなります。全編を通して本への愛情に満ちていて最後の方で、思わず"Ten: Learning from Chekhov"とか"Eleven: Reading for Courage"なんていう熱い想いが伺えます。「チェーホフ、全然読んだことがないな~、いろいろな本にもっと出会いたい」という気持ちになりました。そうそう、そういえば「1Q84 」の中でもチェーホフの「サハリン島」が引用されていたし、映画「愛を読む人」でもチェーホフの「犬を連れた奥さん」を朗読していましたっけ。

この本の10章では、特にチェーホフの「犬を連れた奥さん」を多く引用し、さらにウラジミール・ナボコフが残したこの短編の考察の要旨を載せています。

All the traditional rules of storytelling have been broken in this wonderful story of twenty pages or so.  There is no problem, no climax, no point at the end.  And it is one of the greatest stories ever written. ―Vladimir Nabokov

この言葉のあと、7項目にわたってこの作品のすばらしさが最上級の賛辞で述べられています。

というわけで、この本を読んで学んだことは、精読の大切さとチェーホフを読むべしということです。まずは「犬を連れた奥さん」から、チェーホフのように読めたらな~。

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コメント

こんにちは、コニコさん。

アメリカでよくWriter's writerと呼ばれる作家がいますよね。そんなに売れていないけれど作家仲間からすごく尊敬されている作家のことです。つまり「これはうまい!私には書けない」と思わせる文章力なのでしょうね。この本を読むと、そんな観点で本を読めるようになるかもしれませんね。

コニコさんの記事を読んで、そんなことを思いました。

投稿: 渡辺 | 2009年10月27日 (火) 22時03分

こんばんは。
ご無沙汰しています。先日ご紹介されていた「洋書の森」ですね。いいなあ...といってもわが家にも「積読の森」があるのでそっちが先なんですけど。
いつもブログの記事は楽しく読ませていただいています。私はTVをあまり見ないので番組を見逃すことが多く、先日の須賀敦子さんも残念!でした。でもその前にご紹介くださっていた池澤夏樹の世界文学は、さっそくテキストを買って録画してみています。アンテナをしっかり張っておられるコニコさん、すごいです。それにまた書評を書いたり、講演会を企画されたり!これからもどんどん私に知的刺激をくださいね!

投稿: 点子 | 2009年10月27日 (火) 22時12分

渡辺さん、Writer's writerって言葉があるんですか。知らなかったので、なんだか得した気がします。ありがとうございました。玄人好みというよりズバリ作家に好まれる作家なんですね。カフカなんかもそうでしょうか?(でもわたしが知らないだけでカフカは結構売れているのかしら。)

アメリカでどのくらい話題になったかは別として、結構”読書する時の注意点”が書いてあって参考になりました。

投稿: コニコ | 2009年10月28日 (水) 20時14分

点子さん、わが家も積読ハウスになりつつあって、いつか崩れそう、トホホ…。
こちらこそ、NHKラジオのイギリス児童文学の番組、教えていただいてありがとうございました。聴いています。アリス、面白かったですね。

これからもボケないようにお出かけしていろいろ書きますね。ボケないように夫から薦められた嫌いな計算ドリルはいつの間にかやめてしまいましたが、本と映画で記憶力を保持できればもうけもんですねcoldsweats01お互い刺激しあいましょう!

投稿: コニコ | 2009年10月28日 (水) 20時22分

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