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2009年11月 5日 (木)

巨人 ボルヘス

ボルヘスの北アメリカ文学講義 (ボルヘス・コレクション) だいぶ前に国書刊行会が出している「バベル図書館」シリーズでカフカの短編を読んだことがあります(このシリーズ、装丁がユニークですよ)。その本に序文を書いていたのがボルヘス。妙に印象的でした。何か、読書界のドンのような感じがして。コニコの頭の中にボルヘスという名前とそのイメージだけが残っていたのですが、先日まですっかり忘れていました。

もう2週間ほど前になりますが、「ボルへスと現代文学の可能性」というシンポジウムと講演会「ボルヘスと南北アメリカ」が東京のセルバンテス文化センターでありました。「おっ、ボルヘスだって!?」

山城むつみ氏の「ボルヘス文学における自己と他者性―ドストエフスキー『分身』との比較小考」と柴田元幸氏の「北米文学が読むボルヘス/ボルヘスが読む北米文学」が聴きたくて行ってきました。

しかし、さすがにほとんど名前しか知らずに講演会に行くのは無謀すぎました。ただ、キーワードが“反復”と“無限”というだけ頭に刻んだだけ。

その後、まずは柴田元幸氏が翻訳している「ボルヘスの北アメリカ文学講義 (ボルヘス・コレクション) 」(ホルへ・ルイス ボルヘス著、国書刊行会)を手に取りました。

一読して、「大学生の時にこの本を読みたかった~」と思った次第。200ぺージ足らずの書にアメリカ文学の起源から、この本が書かれた1967年まで淀みなくアメリカ文学の流れが解説されています。しかも足早な文学史紹介でありながら、本質を突く本の選択をしています。一見、至極正統派にみえますが、ボルヘスの思い入れのあるポーやメルヴィルについて踏み込んだ解説が深いものを感じさせます。フィッツジェラルドに関しても「グレート・ギャツビー」と「夜はやさし」を紹介し、「同世代のいかなる作家にも増して、スコット・フィッツジェラルドは第一次大戦後の年月の気分を代表している。」(122ページ)と的確に捉えています。

そして「物語作者たち」という章で、最大の賛辞を与えている作家がフォークナー。この本の中で唯一“天才”という言葉を使っています。「死の床に横たわりて」と「アブサロム、アブサロム!」は必読の書だとあらためて思いました。

思っていた通り、やはりボルヘスは読書界のドンだということを今頃知って、ようやく巨人を仰ぎ見る位置についた気がしました。ああ、知らないことが多すぎる~・・・

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