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2009年11月27日 (金)

ユリイカ特集「母と娘の物語」

ユリイカ2008年12月号 特集=母と娘の物語 母/娘という呪い

クリムト作「女の生の三段階」の表紙に惹かれて手に取ったユリイカ、ちょっと古い一年前の特集ですが、なかなか興味深い2本の対談が載っていました。

ユリイカ2008年12月号 特集=母と娘の物語 母/娘という呪い

著者:萩尾 望都,斎藤 環,信田 さよ子,上野 千鶴子,吉野 朔実,川上 未映子
販売元:青土社
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まずは精神科医の斉藤環 x まんが家の萩尾望都の「少女まんがと『母殺し』の問題」と題する対談。 斉藤環氏は「母は娘の人生を支配する なぜ『母殺し』はむずかしいのか」という本(未読ですが)を書いていますし、萩尾望都さんも「イグアナの娘」という母娘ものを描いているということで、斉藤氏が萩尾さんのまんが「イグアナの娘」について聞くというところからお話が始まっています。だんだんと萩尾さんと萩尾さんのお母さんとの関係になります。お母さんは萩尾さんがまんが家で生活しているということが未だに理解の範囲外であるそうで、よく「(まんが家を)そろそろやめたら」っていうそうです。まんが家になるために生まれたような萩尾望都に対してこんなことをいうなんて、すごいお母さんです。

萩尾さんは、ご自身の作品には『母殺し』がよく出てくるのも、理解されていない想いなど、母に対して自分の中に何かがあるんだろうと思うと話しています。それを時間をかけていろいろ考えていくと、娘の罪悪感だの、親の責任感だの、もうしょうがないんだと思うようになったそうです。つまり娘は母親を引き受けるしかないということ。この“しょうがないけど、引き受ける”っていうのが、実感としてわかる気がします。萩尾さんの「イグアナの娘」、読んでみなくては!

もう一本が「スライム母と墓守娘」と題して、社会学者、上野千鶴子さんとカウンセラーの信田さよ子さんとの対談。こちらは、共感できない意見もあったのですが、時代や世代によって娘と母親の関係が変化してきたという時系列的な分析は興味深いものがありました。特に墓守娘への言及で、上野さんのこの意見は鋭い。

わたしが『墓守娘』の議論に付け加えることがあるとしたら、晩婚化・非婚化・少子化という背景のもので女性がシングルのまま長期にわたって娘のステータスにとどまり続けることが『墓守娘』の背景にあると書かれていますが、既婚女性も娘のステータスを生涯降りられなくなったと思いませんか?

たしかにシングルの女性が親の墓守をするだけでなく、結婚してももはや実家を継ぐこどもは娘しかいない家も多いですよね。結婚の有無とは関係なく、娘が墓守をするという状況はこれからも多くなっていくでしょう。

この2本の対談の他に、巻末に「母と娘の物語ブックガイド小説篇」と「マンガ篇」が付いているのもこの特集の魅力です。

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コメント

今日は楽しかったですねv
何年もの時間を透過してまた再び友と遭う愉しみ・・・しあわせでしたv
「イグアナの娘」はマンガならではの表現で綴られる、ある意味残酷な、しかし哀しくもユーモアに満ちた・・・母と娘の物語。萩尾マンガの傑作の一つです。
今日の写真と一緒にお送りしましょうか?
手元に文庫版があります。

投稿: ゆう | 2009年11月29日 (日) 00時24分

ゆうさん、こちらこそご一緒させてもらって嬉しかったです。時を忘れておしゃべりして満足でした。
お借りしたマンガ、読むのが楽しみよ♪「イグアナの娘」は図書館に予約してありますから、大丈夫!
また、感想を交換しましょうね。

お土産も今日、ご飯の時、いただきました。おいしかったわriceball

投稿: コニコ | 2009年11月29日 (日) 22時02分

了解しましたvうふふ。

投稿: ゆう | 2009年11月30日 (月) 20時23分

まずはお借りしたマンガから!望都ワールド、楽しみです♪

投稿: コニコ | 2009年11月30日 (月) 23時36分

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受信: 2011年6月 6日 (月) 19時14分

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