« 家でやろう!? | トップページ | 上野の杜 韻松亭 »

2009年12月 9日 (水)

「ファウスト・クラス」読書会(7)最終回

Pap_0136 今年の5月から始まった「ファウスト・クラス」読書会も昨日で最終回。第二部、第四幕と第五幕を読んで読了しました。

「むずかしい」と頭を抱えながらも読み進んだ第二部。前回の続きからで、雲に運ばれてファウストがやってきたは高山。去っていく雲がヘレナにも、とっくに失ってしまった若いころの、うっとりするような姿にも見え、という場面から始まります。これは、第一部のグレートヒュンを示唆したもので、ファウストがメフィストによって忘却させられている恋の残照のようです。ここでファウストがおぼろげにもグレートヒュンを思い出すことが大団円へのつながりになっていくのでしょう。ゲーテが第一部と第二部の関連を苦心して書いたところといえるでしょう。

(写真は、本の最終ページを飾る山本容子さんの銅版画)

第四幕では、ファウストは、メフィストの妖術を味方につけ、皇帝の戦いを勝利に導いたことで海岸一帯を頂くことになります。

そして、いよいよ事業家として干拓を進める第五幕の最終幕へ。今回は、クライマックスになる第五幕夜ふけ(「ファウスト 第二部」池内紀訳 390ページ)から、おわり(同上434ページ)まで一気に皆で朗読しました。

ここではいくつかのアイロニーが語られています。塔守りのリンコイスが「目でみる幸せ」を謳う後に、ファウストが“憂い”によって盲目にさせられること、目の見えなくなったファウストが干拓の事業がうまくいっていると妄想している時、実はメフィストが死霊にファウストの墓を掘らせていることなど、人生の喜びと哀しみが交錯する喜悲劇を感じさせます。

ファウストの人生はタイトルに銘打っているように悲劇だったのかと問われたら、これだけやりたいことを時空を越えて行なってきたことを考えると、全く悲劇ではなかったように思えます。しかし、彼の行いの渦に巻き込まれて、信心深いグレートヒュンが刑死したり、干拓地の老夫婦が焼け死んだりしたのは、彼が原因でその負い目、大いなるマイナス面はありました。ゲーテは、そんないろいろあったファウストの魂を天使にメフィストの手から奪いとらせ、慈愛に満ちた聖母によって救っているのです。“かつてグレートヒュンとよばれた女”に導かれ、ファウストの魂は天にのぼっていくエンディングから、この一大劇が人間まるごとの肯定を謳っているという印象を強く受けました。

「このように読まなくてはいけない。」という正解のない読書の世界。わかる、わからない、正しい、間違っているということではなしに、メフィストを相棒にして歩んだファウストの超人生(若返ったり、神話の世界に行ったり、普通ではできない人生)になんとかついていって、彼の最期を見届けた達成感がありました。

そして、今回もう一つ感じたことは、再読の重要さ。それもできれば複数の翻訳を読むことの大切さ。池内紀氏の翻訳は、読みやすいのですが、時々もう少し解説して欲しいなと思うところがあり、手塚富雄氏の訳を読んで理解を深めることが多かったのです。柴田翔氏も翻訳を出していますが、機会があれば是非読んでみたいものです。

とにもかくにも、「ファウスト・クラス」の皆さん、本当にお疲れさまでした。

|

« 家でやろう!? | トップページ | 上野の杜 韻松亭 »

ゲーテ」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コニコさん、「ファウスト・クラス」読書会、どうもありがとうございました(*^_^*)
私が最後までたどり着けたのもコニコさんのおかげですm(__)m
この達成感は、たしかに、ファウストの最期を見届けた!達成感だったのですねぇ~。
私も、いつの日か再読をしたいと思います。老後の楽しみかな~(笑)

投稿: ブラボー | 2009年12月10日 (木) 19時46分

ブラボーさん、名前ばかりは知っていてもなかなか読まない本って、ホントに沢山ありますが、「ファウスト」もその代表みたいな本でしたよね。それがこうして皆さんと一緒に読めたというのは“コニコの今年の10大ニュース”に入りますデス。
こちらこそありがとうございましたhappy01

投稿: コニコ | 2009年12月10日 (木) 23時59分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/114487/32542665

この記事へのトラックバック一覧です: 「ファウスト・クラス」読書会(7)最終回:

« 家でやろう!? | トップページ | 上野の杜 韻松亭 »