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2010年1月22日 (金)

「グレート・ギャツビー」読書会(13)

Pap_0167 今年はじめての読書会が先日ありました。

「グレート・ギャツビー」読書会も13回目。今年もフィッツジェラルドの世界を堪能します。

今回は6章のラストから7章を10ページほど読み進みました。

まずは「You can't repeat the past. (過去を繰り返せない)。」というニックの言いようにギャツビーが“そんなことをいうなんて信じられない”と反駁するところから。

"I'm going to fix everything just the way it was before."

(まったく元通りに直そうと思っている 小川高義訳)
(すべてを昔のままに戻してみせるさ 村上春樹訳)
(わたしは、何もかも、前とまったく同じようにしてみます 野崎孝訳)

ギャツビーは昂然と言い放ちます。“fix”という言葉が曲者。ウルフシェイムがかつてワールド・シリーズをfixしたように過去が“fix”できると信じて寸分も疑わないギャツビーは傲慢でありながら、何か痛々しいものを感じさせます。そして、その“元通り、昔、前”と言われている過去がどんなであったか、この後幻想的に語られるのです。これぞ、フィッツジェラルドの美文調。彼が“キスをするその瞬間”、確かに何かが失われ、デイジーという花が肉体をもった一瞬だったというシーン。並木道に敷かれた秘密の道をひとりで登っていけば、この後のギャツビーはたしかに別の人生を歩んでいったのだろうと思ってしまいます・・・

he couldd climb to it, if he climbed alone, and once there he could suck on the pap of life, gulp down the incomparable milk of wonder.

(もし一人だけでそこに登ろうと思えば、上ることができる。そしていったんそこに上がってしまえば、生命の乳首に吸い付き、比類なき神秘の乳を心ゆくまで飲みくだすことができる。 村上春樹訳)
(もし彼がひとりで登るならば、そこまで彼は登って行ける。そしていったんそこへ行きつけば、生命の糧を吸収し、たぐいない驚異の乳をとくとくと飲むことができるのだ。 野崎孝訳)

ここで使われている“pap”という言葉は元は乳を吸う音に由来して“女性の乳首”という意味になったそうです。読書会では「なんだかフロイトかユングなどの心理学的解釈もできそう」という意見も飛び出しました。

さて、7章はお話で言えば、「起承転結」の転に入って、いよいよ物語が大きく展開し始めるところです。今までの逐語訳をやめて、一気に読み進みたいところ。ギャツビーがニックを誘ってデイジーの家を訪ねるシーンです。このさわりの描写は夏のジリジリとした暑さが強調され、ニックの乗った電車の車掌さんが5回も“hot”を繰り返えします。いいかげん読み手もやっていられない暑さを感じてきます。

読書会で注目したのが、デイジーの声。彼女の声を“full of money”ときっぱりというギャツビー。お金がチリンチリンとなるような声。わたしは、ここでこの声に象徴されるもの―アメリカの富を感じます。ギャツビーはその声がお金を意味するものと本質的に聞き取っていたのでしょう。

トム、デイジー、ニック、ミス・ベイカーの一行はやがてマンハッタンへ出かけ、ウィルソンのところでガソリンを入れるところまで読みました。

掲載したイラストは以前、わたしがギャツビーをイメージして描いたピンク・スーツの彼です。

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