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2010年3月21日 (日)

「今日の風、なに色?」

今日の風、なに色?―全盲で生まれたわが子が「天才少年ピアニスト」と呼ばれるまで 今日の風、なに色?―全盲で生まれたわが子が「天才少年ピアニスト」と呼ばれるまで

著者:辻井 いつ子
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いや~、昨晩はすごい風でしたね。桜がまだ咲いてなくてよかったわ。満開だったら全部散ってしまいますものね。

「あの風の色は、なに色?」とたずねられたら、あなたは何と答えるでしょうか?

先日行った「世界ラン展」のトークショー「才能という“花”の咲かせ方」の記事の時に登場していただいた辻井いつ子さんが書かれた本、「今日の風、なに色?」を読みました。タイトルから連想して、嵐の風はなに色が似合うかななんて想像しちゃいました。

さて、この本は、いつ子さんの息子さん、ピアニスト伸行くんの誕生から、11歳までの子育てを語ったものです。出版は2000年ですので、ちょうど10年前に話題になった本。その時、伸行くんは“盲目の天才少年”という書き方をされていたようですが、今やプロのピアニストとしてりっぱに成長されました。

この本を読むと、親子でいろいろな苦しみと喜びを噛みしめてきた子育ての過程が見えてきます。母親がこどもに、夫が妻に、こどもが親に気遣い、見守る温かい姿勢が伝わってきます。そして、その子育てというものが、人に支えられて親も育てられているものだということを教えられます。

いつ子さんが「勇気」をもらった全盲の福沢さんとの出会い、たくさんの素晴らしい音楽の先生との出会い、そして盲目のピアニスト梯剛之さんとの出会い―それぞれの出会いが血となり肉となり、辻井親子を育てていった様子がわかります。この出会いもただ待って訪れたものでなく、いつ子さんのたゆまない努力と積極性があったからこそ。本当に大変な毎日だったろうと思います。わが家でも、娘の小さい頃にヴァイオリンとピアノを習わせていたことがあって、レッスンをこなすだけでもてんてこ舞だったことをふと思い出しました。

“この子らしい生き方を求めて”、いく子さんは伸行くんの音楽の才能の芽をつぶさず、“花開かせる覚悟”をしていったわけで、ヴァイオリンを習う時も、いく子さんも一緒に習ったり、ピアノの譜読みをしたり、相当な苦労をされたと思います。でも、読み進んでいくうちにいく子さんの気持ちが「前」を向いていくのがわかってきます。「ああ、こうした気持ちの先に、先日みた素敵な笑顔と今までやってきたことへの自信があるのだなあ」と思えました。

最後には、いく子さんと息子に向けた“夫の言葉”がありました。

 正直にいえば、私は子どもの教育は家内にまかせっきりです。ピアノに関しても、どんなに人にほめれても「町内会の野球大会程度なんじゃないの」と冷めているところがありました。が、モスクワで先生にほめられ、去年ピティナで金賞を取ったあたりから、見方がかわりました。また家内の努力には、頭が下がる思いです。(中略)
 伸行には、この世に生まれてきてよかったと思える人生を歩んでほしい。そのためにも、ぜひオリジナルな存在になってほしい。今ではそれが、私自身の夢でもあります。(205ページ)

まさにお父さんの夢は叶い、伸行くんはオリジナルの“ピアニスト辻井伸行”として大きな花を咲かせています。そんな伸行くんを支えたいつ子さん、そしてご主人に乾杯です。

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