« マーシャ・クラッカワー先生、再び | トップページ | チケットをとるストレス »

2010年4月 2日 (金)

「The Commoner: A Novel」

The Commoner: A Novel The Commoner: A Novel

著者:John Burnham Schwartz
販売元:Nan A. Talese
Amazon.co.jpで詳細を確認する

遅くなりましたが、3月の原書「The Commoner: A Novel」のレビューです。このお話は日本の皇室にはじめて平民(commoner)から輿入れされた美智子皇后をモデルにしたもので、少女時代から、結婚後50年近く過ぎたころまでを綴った物語です。

面白いのは、わざわざタイトルの後に“小説(Novel)”とことわっていること。私は今まで気づかなかったのですが、結構洋書には、ノンフィクションではなく、作り物の小説であると明記しているものもあるそうです。

この話を読んで、「日本の皇室のドキュメンタリーなんだ」と思う人はいないと思いますが、かなり真実に近い部分もあるのではと思わせるスリリングな個所もありました。

美智子皇后にあたる主人公の名前はHarukoといい、彼女の一人称の語りでお話は進んでいきます。全体の構成は4部に分かれています。1部がこの本のボリュームの約半分を占め、戦前の少女時代から皇太子と出逢い、結婚するまでが描かれます。この部分がいちばんHarukoの気持ちが繊細に綴られていて、読み応えがありました。2部では結婚後、皇室の息苦しい生活に馴染めず、Harukoが声を失うという出来事が描かれ、3部からはHarukoが産んだ皇太子Yasuのお妃としてKeiko(雅子さまにあたる)も登場します。後半になるにつれ、読んでいて何か違和感を感じはじめ、特に最後では、ちょっとびっくりの結末で正直、戸惑ってしまいました。

この私の戸惑いは、どこからくるのか、私が日本人で雅子さまに贔屓だからなのか、歳を重ねたHarukoがどういう気持ちで皇室で生活していたのかよくみえなかったからなのか、複雑な想いです。

私は、この本の著者のことはあまり知らなかったのですが、アメリカでは人気の作家のようで、日本でも何冊か翻訳されているようです。が、はたしてこの本が翻訳されて日本で売れるかどうか、疑問です。どうしてかといわれると、はっきり言えないのですが。

英語は、時折Harukoの心情が揺れるときに、わかりにくい表現がありましたが、おしなべて皇室のニュースと重なっているので筋を追いやすく、351ページという長さですが読み切れるお話です。

最後に、世に出ている、この本の2種類の表紙を載せておきます。2つとも、菊のご紋が描いてありますが、芸者・ジャパンのイメージでげんなりする表紙。2008年出版で、皇室を描くのに未だこのイメージだとは、まるで「Memoirs of a Geisha」です。アメリカではどのくらい読まれたのか、ちょっと興味がありますね。

Commoner

|

« マーシャ・クラッカワー先生、再び | トップページ | チケットをとるストレス »

原書でキャンペーン」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/114487/34044282

この記事へのトラックバック一覧です: 「The Commoner: A Novel」:

« マーシャ・クラッカワー先生、再び | トップページ | チケットをとるストレス »