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2010年6月27日 (日)

映画『高慢と偏見』(1940年版)

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6月24日で3カ月続いたラジオ講座「ジェイン・オースティンとイギリス文化」も終わりました。オースティン作品の時代背景や解説も楽しかったのですが、特に第12回「オースティン産業の発展」、第13回「オースティンの『後継者』たち」が興味深いものでした。ここ最近のオースティン作品のリメイクや翻案の裏事情を、オースティン風にマイルドなアイロニーの味付けで新井先生がお話して下さいました。

今日は、ラジオでも取り上げられていた1940年製作のMGM映画『高慢と偏見』を取り上げます。

1995年版BBC製作の『高慢と偏見』が好き過ぎて、他のヴァージョンには、つい厳しくなってしまいそう。この映画も存在は知っていましたが、未見でした。「ダーシ―が初恋の人」という友だちから、「このDVDを貸してあげるから是非観て」と言われ、ラジオでも話題になっていたことだしと、鑑賞。

「え~っと!?このラストって・・・」。

もちろん、ラストに至るまでもいろいろ???のところはあったのです。たとえば、ダーシ―のお屋敷ペンバリーが、チラリとも出てこないとか。でも、最大の驚きは、レイディ・キャサリンが、ダーシ―とエリザベスとの結婚を祝福している点。ダーシ―役のローレンス・オリヴィエがニコニコ笑って、レイディ・キャサリンと会話をしているなんて。

新井先生のラジオの解説によると、ダーシ―とエリザベスとの「階級差」が単純化され、特にアメリカにおける財力を基準とした「階級差」が強調されているということです。

この映画では、エリザベスは、家は貧しいがそれを恥じることのない、プライドを持った女性で、最初からダーシ―と堂々と張り合って(いき)、(中略)ダーシ―のおばで、原作では鼻持ちならないスノッブのレイディ・キャサリンでさえ、この映画では、エリザベスのものおじしない言動に感銘を受けて、二人の結婚を祝福するので、結果的にエリザベスの魅力が全面的勝利を占めるという結末になるのである。(ラジオテキスト166~167ぺージ)

この映画のエリザベスは、アーチェリーの凄腕を披露するなど、才気煥発さが際立っていましたし、本当に堂々としたエリザベスでした。リディアの駆け落ちなどの家族の恥の部分もたいして出てきませんでしたし、エリザベスの一人勝ちですね。

まあ、この映画は、グリア・ガーソンの美しさと、ローレンス・オリヴィエの麗しさを観るために作られたようなところもあるので、「オースティンの原作では、云々」を言いたてるのも、大人げないかも。その時代に求められた映画なのかな、という気もします。いや、だからこそ、1995年版の『高慢と偏見』は、オースティンの普遍性をきっちりドラマ化した素晴らしい作品だと再認識した次第です。

その他、オースティン作品ではない、オースティン絡みのもので、コニコがレビューしたものは以下の通りです。

映画「Bride and Prejudice」

映画「クルーレス」

「オースティンの読書会」

映画「オースティンの読書会」

映画「ジェイン・オースティン 秘められた恋」

ドラマ「オースティンに恋して」

などなど、カテゴリーの「ジェイン・オースティンを参考になさってください。

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コメント

コニコさん、偉い!
わたしはこのDVDをもらってもう数年経つのですが、まだ最初の数十分から先に進めないでいます。何回かトライしてるんですが。

でも、出来が悪いのかというと、オースティンじゃない、と思い込めさえすれば、面白い作品だと思うのです。少々平板な印象もありますが(なんて、ちょっとしか観てないないのに偉そうに言えないですよね)。

衣装が気になってしょうがないです。「風と共に去りぬ」みたいで・・・。

コリン・ファース版が出たときの、オースティンファンの喜びはたいへんなものだったでしょうね。

投稿: あけきち | 2010年6月28日 (月) 10時02分

あけきちさ~ん、共感できるコメントをありがとうございます。

そうそう、衣装が「風と共に去りぬ」みたいで、これは19世紀後半の衣装ですよね。映画「風と~」が1939年の公開ですので、1940年の「高慢と偏見」のヒロインはその路線で、何の問題もなかった、というか、スカーレット・オハラの華やかな衣装イメージをむしろ前面に出したかったのかもしれませんよね。

投稿: コニコ | 2010年6月28日 (月) 22時06分

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