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2010年7月19日 (月)

「ボヴァリー夫人」読書会(2)

このところ、夏バテで、読書会のレポートがすっかりご無沙汰でした。「ボヴァリー夫人」の第1部を読んだ読書会第2回目のまとめをしておきますね。

冒頭の部分は読書会第1回目、導入でシャルルの子どもの時代からはじまっているところを読みましたが、その後、シャルルは母親の強い勧めで45歳の未亡人と結婚しています。実は、シャルルが未来のボヴァリー夫人、エンマと出逢うのは、シャルルにまだ奥さんがいる時だったんですね。注目すべきエンマの最初の登場シーンを皆で読んでみました(26~28ページ)

エンマがどんな女性か、具体的には何歳くらいかなど、読み手によってまちまちでした。朗読してみると彼女の登場のしぐさが官能的。エンマ嬢が父親の患部に当てるクッションを縫おうとして針で指を突いてしまい、「指を口に持っていっては吸った。」(27ページ)というところ。その後に続くシャルルの目を通したエンマ嬢の描写は、農家の仕事をしながらも、つややかに光る白い爪をしているなど、どこか田舎の生活に馴染まない目を引く女性として書かれています。

この時、エンマとシャルルはいくつくらいだったのでしょうか。はっきりと何歳とは書かれていないのですが、エンマは10代後半か、20、21歳。シャルルは20代終わりから30代前半でしょうか。

シャルルは、若いエンマに恋するようになり、都合良くといったら語弊がありますが、奥さんが亡くなり、めでたくエンマと結婚することとなります。

しかし、その結婚生活は、シャルルにはこのうえない幸福感を与えたのに対して、エンマには荒涼なる凡庸さ、退屈さを抱かせるものでしかなかったわけです。ここで特筆すべきは、エンマが少女時代からあこがれていた感動的でドラマチックなヒロインたち。6章で描かれるエンマを魅惑したジャンヌ・ダルクやメアリー・スチュアートたちにエンマは自分自身を重ね夢想、妄想の世界で自己陶酔する傾向があったわけです。

それが、侯爵邸でのパーティーに呼ばれたことで、その夢の世界、夢想する世界がしばし現実の世界になり、その後の膨大な退屈な現実の生活を過ごすことがエンマには耐えられなくなっていくという状況に陥ります。

“退屈な田舎暮らし、凡庸な夫”ということを書きましたが、読書会でも、今とは比べ物にならないほどの刺激のない当時の田舎の生活というものを話しました。19世紀後半の、片田舎の既婚女性に許される楽しみは、あこがれのパリの地図を取り寄せて妄想をし続けることくらいだったのかもしれません。そして大都会のパリへの想いは、ある意味、現実にはない夢の世界の象徴だったのでしょう。

ボヴァリー夫妻が新婚生活を過ごした田舎トストを見捨て、シャルルはエンマの神経性の病気療養のために田舎の村ヨンヴィルへと引っ越すことにします。はたして、退屈がたえられないエンマは、ヨンヴィルでどうなるのか。《第2部に続く》です。

余談ですが、「フランスでは、女性も男性と同じように貞節というものがゆるくて、既婚の女性も愛人が普通にいたのでは?」という意見も出ました。たしかに“コキュ cocu”(妻を寝取られた男)という言葉がフランス語にはありますが、はたして一般庶民の間で、それも保守的な田舎で不倫がとがめられずに行われたとは考えにくいと思うのですが、この辺は、もう少し調べてみたいと思います。

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コメント

英語だけでなく、仏語の原著もお読みなるのですね!す、すごい・・・(^o^)丿
映画や小説から、フランスの方々は大胆!? 特に恋愛に関しては、などと漠然と思ったりしていたのですが・・cocuと言う単語(響きはかわいいですね・・(*^_^*))があると教えて頂き、とても、おもしろく感じました。
追跡調査・・楽しみしています。(^^ゞ

投稿: MINA | 2010年7月20日 (火) 11時05分

MINAさん、こんばんは。「ボヴァリー夫人」は翻訳物での読書会ですcoldsweats01せっかく褒めて頂きましたが…。フランス語出来る人が羨ましいです。特にこの小説の原書は文体が魅力ということなので、なおさらフランス語で読めたらな~とあこがれますね~happy02

追跡調査、まだまだ続けます♪

投稿: コニコ | 2010年7月20日 (火) 23時44分

「ボバリー夫人」に夢中です。仏の友人の奥さんから読んでみろと渡されて、知らない単語ばかりで驚きました。私の語学力では歯がたたないので、生島遼一氏の訳本を参照させてもらっています。単語のカードを作っていたら、物語はまだ半分なのに厚さが30センチになっていて、最後には60センチの厚さのカード群になりそうです。

投稿: 13区 | 2011年3月13日 (日) 18時51分

13区さん、はじめまして。地震のため、またあらためましてコメントしますね。どうぞこれからもよろしくお願いします。

投稿: コニコ | 2011年3月16日 (水) 20時33分

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