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2010年9月30日 (木)

原書「Babette's Feast」(「バベットの晩餐会」)

Anecdotes of Destiny (Penguin Modern Classics) Anecdotes of Destiny (Penguin Modern Classics)

著者:Isak Dinesen,Karen Blixen
販売元:Penguin Classics
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今月も月末でなんとか原書で読了。Isak Dinesenの中編「Babette's Feast」を読みました。

この物語はずいぶん前に映画化されています。わたしも若い頃にTVの深夜番組で放送されたのを観たことがありましたが、こまかいところはすっかり忘れていました。

著者のIsak Dinesenは、何度かノーベル文学賞の有力候補になっていて、ヘミングウェイが1954年に「この賞は、本来はアイザック・ディーネセンに与えられるべき賞である」と語ったこともあるというのです。この逸話を聞いて、一度英語で読んでみたいなと思っていた作家。

「Babett's Feast」のあらすじは、敬虔な姉妹のもとにやってきたフランス人のバベットが、宝くじで当てた1万フランを惜しみなく使ってフランス料理の晩餐を作るというものです。

こう書くと何やらただのグルメを題材にした薄っぺらい話のようですが、これがなんと豊かなお話であったか、あらためて驚いてしまいました。読後感は、聖書のような民話とでもいいますか、一文一文が簡潔で明瞭なのに、その言葉が伝えることから拡がる世界が普遍的で奥深いのです。

バベットが作り出す晩餐を形容するなら、divine dinner(神が宿る晩餐)と言えるのではないでしょうか。まさに人を幸せにする食事。美食を貪る舌で食べ物や飲み物を褒めたたえるようなことは一切やめようと誓いあった敬虔な信者たちが、言葉を失うほど精神的にも肉体的にも幸せを感じることのできる晩餐だったのです。ラストの10ページは本当に読んでいるわたしまでが、その晩餐会にいるような豊かな気持ちになりました。

そしてバベットの担っている哀しみと料理人としての芸術家の誇りは、人間が持っている複雑さと気高さを感じさせるものでした。

ずばり、今日もおすすめ。是非原書の持つ豊饒な世界を味わってみてください。

P.S. ちなみに翻訳も出ています。

バベットの晩餐会 (ちくま文庫) バベットの晩餐会 (ちくま文庫)

著者:イサク ディーネセン
販売元:筑摩書房
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