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2010年10月22日 (金)

「存在の美しい哀しみ」

存在の美しい哀しみ 存在の美しい哀しみ

著者:小池 真理子
販売元:文藝春秋
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秋は旅の季節でもありますね。旅の道連れにこんな本を携えてみてはいかがでしょうか。久しぶりに小池真理子さんの小説を読みました。プラハ、ウィーンが舞台になっています。

母、奈緒子から父の違う兄がいることを突然知らされた榛名が、プラハでチェロを勉強しているその兄に会いにいくというのが大まかなあらすじです。

重いテーマであるのに、淡々と流れる感情表現も、旅に向いているかもしれません。舞台になるプラハやウィーンのさりげない街の描写も、旅心を誘うもので魅せられます。

この本の面白いところは、主人公の榛名、そして母親の奈緒子、異父兄の聡が一人称で語る章の他に、それぞれの関係者をワンクッションおいた人物に語らせている点です。

たとえば、奈緒子の仕事仲間が奈緒子のやさしさ、強さを語る章があったり、奈緒子の夫、後藤信彦を同じ会社の女性に、彼の、妻を失う辛さを語らせたり、一歩引いたスタンスを取っているのが面白いところです。

ラストシーンは、映画「第三の男」で有名なウィーンの観覧車があるプラター。晩秋のヨーロッパに想いを馳せて、本を閉じました。

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コメント

今まで小池さんの本は読んだことがありませんでたが、コニコさんのブログを契機に早速図書館で借りて読みました。本流にはその流れに沿って幾本もの支流がありますが、その支流から見る景色も取り巻く環境もそれぞれ
違って存在しているけれど始まりはひとつの流れから・・・。私がウィーンへ旅行した時もとても寒い時期だったので焼き栗を売っている人とか寺院とか靄がかかった通りとか観覧車とかが、鮮やかに目に浮かぶようです。もう一度行ってみたいな。最後の2~3ページは数回読みました。ありがとう。

投稿: G線上のパンケーキ | 2010年11月 8日 (月) 18時09分

G線上のパンケーキさん、この本、読まれたんですね。小池さんの本は、私も最近までまったく読む機会がなかったのですが、小川洋子さんの紹介で、「無伴奏」を読んでから、新作も読んでみたいな~と思っていました。
プラハ、ウィーンの描写がパノラマのように目の前に映し出されますよね。私にもあこがれのウィーンです。

こちらこそ楽しんでもらえて嬉しいわnote
ついでにパンケーキのことですが、赤坂サカスにあるマキシム、コート・ド・ルージュでパンケーキメニューがあるのを発見。またパンケーキを食べる会をしましょうねrestaurant

投稿: コニコ | 2010年11月 9日 (火) 23時11分

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