「のぼうの城」
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のぼうの城 上 (小学館文庫) 著者:和田 竜 |
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のぼうの城 下 (小学館文庫) 著者:和田 竜 |
「王様のブランチ」で太田光が絶賛していた「のぼうの城」、気になって気になって仕方なく、ようやく読みました。
上巻の表紙は、“のぼう”こと成田長親、下巻の表紙は石田三成。
著者の和田竜氏は、最初にシナリオライターでデビューしたとのことですが、その実力のほどが読んでいるとひしひしと伝わってきます。
何といっても、登場人物のセリフに活き活きとした表情、スピード感、心情があふれていて、次はどうなるかとついついページをめくってしまいました。
2日で、一気に読了。爽快な読後感です。
時は戦国時代。天下様を目の前にした豊臣秀吉の家臣、石田三成が攻めるは、関東の雄・北条家の支城、武州・忍城(おしじょう)。その城代は、領民からさえも「のぼうさま」(“木偶の坊”の“のぼう”という意味)と呼ばれるばか殿、成田長親。周囲を湖で取り囲まれた「浮城」の異名を持つ難攻不落の城ではあるが、石田三成の軍勢は約2万に対して、長親方は僅か五百。敵からも家臣からも開城を迫られて、「戦いまする」と言い放つ長親。その後の戦は戦慄極まるものとなるが・・・のぼうは愚君か名君か、敵も味方も惑わされて・・・
最後に出逢うのは、長親のけた外れの笑顔です。柴崎和泉、酒巻 負らなど、この“のぼう様”の癖のある家臣たちも魅力的です。また、読者は沈着冷静な家老、正木丹波の視点で読み進んでいきますが、彼の揺れる心にもまた感情移入できます。
そして、随所に入る「その時、歴史は動いた」的な適切な解説も、400年以上昔と現代とを結ぶ橋わたしのようなもので、戦国の事件を身近に感じることが出来る仕掛けになっています。
歴史活劇人間ドラマを味わわせて頂きました。
余談ながら、来年この小説は映画化されるそうです。脚本は和田竜。シナリオライターの本領発揮となりますね。楽しみ楽しみ。
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