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2011年1月31日 (月)

「徹底比較 日本神話とギリシア神話」

徹底比較 日本神話とギリシア神話 (学びやぶっく) 徹底比較 日本神話とギリシア神話 (学びやぶっく)

著者:大脇 由紀子
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いろいろなものを比べて、その違うところや同じところみる楽しみってありますよね。同じ題材の映画を比べたり、同じ物語をオリジナルと翻案で読み比べたり、面白さいろいろです。

そんな比べる楽しみにぴったりなのが、“神話比べ”のこの本、「日本神話とギリシア神話」。

肩凝らないジブリ映画のたとえ話(「千と千尋の神隠し」などの映画)で、気楽な読み物として楽しめました。特に私はギリシア神話に興味があるので、「古事記」や「日本書紀」に出てくる神様とギリシア神話の神々が似ていたりすると、純粋に驚かされます。

第2章の「神々の類似性」の冒頭では、ギリシア神話の“世界最初の神、カオスから生まれた大地の女神、ガイア”と、日本神話の“天地創造の神、イザナミ(イザナギとともに日本列島を創ったといわれる)”が比べられています。イザナミについては、桐野夏生さんが「女神記」で激しい女神ぶりを描いていましたが、ともかく、ガイアもイザナミも尋常でなき怒り、恨みを持つ女性。それぞれの夫への報復は、神とは思えない赦しのないものです。恐ろしや~。

それから、日本神話の中の“蘇民将来”(他者を思いやる心が、自分を助けることになるということを教えてくれる伝説的人物)と、ギリシア神話の“デウカリオン”(プロメテウスの息子で、「ノアの箱舟」のノアにあたる人物で、心根の良い人とされる)も、面白い比較でした。「情けは人の為ならず」は、こんな神話からきているのでしょうか。余談として、旅人に変身したゼウスとヘルメスを神とは知らず温かくもてなした老夫婦(フィレモンとパウキス)の話もでていましたが、なんとゲーテの「ファウスト」で、最後に死んでしまう老夫婦が同じ名前でした。「なるほど、この名前もギリシア神話からとってものであったか」と膝を打ちました。文学にもしばしば引用される神話、オリジナルの話を知っていると、また深みを増します。

そうそう、神話は文学の世界だけでなく、美術でも格好の題材ですよね。昨年、人気だった「オルセー美術館展」でモローの魅惑的な「オルフェウスの首を抱くトラキアの娘」も出品されていましたが、禁じられたこと―振り向いてはいけない―をしたものとして伝説の詩人オルフェウスの話も出ていました。

Photo

神話自体が持つ物語の魅力はもちろん、今も語り継がれた時を考えると、時空を超えた力強さと不思議さを感じます。

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