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2011年5月27日 (金)

「井上ひさし 希望としての笑い」

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著者:高橋 敏夫
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この本は、井上ひさしの「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく・・・」という言葉から出会ったものです。

読んでいたら、先日聴いた小曽根さんの弾いた『信じて走れ』の歌詞が載っていました。

この歌は、「蟹工船」の作者、小林多喜二を描いた劇『組曲虐殺』の中で、彼が歌う歌。

愛の綱を肩に/ 希望めざして走る人よ/
いつもかけ足で/ 森をかけぬけて/
山をかけのぼり/ 崖をかけおりて/
海をかきわけて/ 雲にしがみつけ/
あとにつづくものを/ 信じて走れ
             (「井上ひさし 希望としての笑い」41ページ)

この本の著者、高橋 敏夫さんは、この歌をこう解釈しています。

多喜二の希望は、虐殺のあと「つづくものを 信じて走れ」ではなく、いまここで人々にひらかれ、共有される。「あとにつづくもの」は、「つづく」のではなく、すでにともに走りだしている。希望はあるかもしれない未来に突然あらわれるのではない。希望がいまとここに胚胎するからこそ未来はある、といってよい。
         (「井上ひさし 希望としての笑い」48ページ)

希望というかけ橋に、時間の断層をつくらない、今現在この場所で、すでに起こっている希望を『信じて走れ』ということなんですね。震災のことを思うと、この“あとにつづく者たち”が未来になってから走るのではないことを痛感します。今の震災後の社会につながる歌だと思います。

この他、井上ひさしの面白そうなお話をこの本で知りました。小説「不忠臣蔵」(1985)と戯曲「イヌの仇討」(1988)は、特に読んでみたいものです。赤穂浪士の忠臣蔵が日本の国民性をあらわす代表選手のような顔をしていますが、実は、討ち入りに参加した赤穂藩の家臣は、全体のわずか6分の1だったそうで、参加しなかった方が大多数ということになります。これをヒントにして描いたものだというのだから、さて、井上ひさしさんがどうつづっているのか、知りたくなります。

「父と暮らせば」について描かれた章も、“死者は生きつづけねばならない”という力強い言葉が印象に残ります。

新書なので、読みやすく、よく知らなかった井上ひさしさんの考えや書いたものを網羅的にわかりやすく書いてあるので、とまることなく読めました。

今度、井上ひさしさんが書いた戯曲、生の舞台を観てみたい。

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