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2011年7月18日 (月)

「スヌ-ピーたちのアメリカ」

4月からはじめた「コニコの英語カフェ」。月1回5シリーズで「アメリカのアイコン、ポップカルチャーを探る」(「原書で読む英米文学読書会― Scarlet Book Club」読書会とは別で)をやっています。

第1回はマクドナルド、第2回はディズニーランド、第3回はコカ・コーラときて、第4回目のテーマは、“チャーリー・ブラウン”。下調べでこの本を読んでみました。

副題は「A Journalist's View of America Through Peanuts(ジャーナリストが語るピーナッツを通してみたアメリカ像)」となっています。漫画のタイトル、ピーナッツやチャーリー・ブラウンよりもスヌーピーの知名度の方がはるかに高いので、日本では「スヌーピーたちのアメリカ」としたのでしょうね。

中味はちょうど300ページ。ジャーナリストらしい、鋭い視点で、ピーナッツの漫画がアメリカ人の気質や、もっと広い意味での人間の深遠性を描いていることを分析しています。

これまでちらりちらりと、ピーナッツの漫画を見てきた私ですが、この本で、あらためてそのセリフの哲学的なことと子どもたちの関係のユニークさに驚かされました。第1章のタイトルも、「人生についての大人の読み物」になっています。

特に“安心について”語っている漫画が印象的でした。ぺバーミント パティがチャーリー・ブラウンに悩みを打ち明けているものです。

ペパーミント パティ: 「近ごろ私、なにでもくよくよしてるみたいなの!」
P: Lately everything seems to bother me...

チャーリー・ブラウン: 「どういうふうにさ!」
C: How do you mean?

ぺ: 「安心って何だと思う、チャック?」
P: What do you think security is, Chuck?

チ: 「安心ねえ?」
C: Security?

チ: 「安心ってのは車の後ろの座席で眠ることさ!」
C: Security is sleeping in the back seat of the car...

チ: 「きみは小さな子どもで、お母さんやお父さんといっしょにどこかへ遠出したとする、あたりはもう夜だ、きみたちは車でうちへ帰るところさ、その時きみは後ろの座席で眠れる」
C: When you're a little kid and you've been somewhere with your Mom and Dad, and it's night, and you're riding home inthe car, you can sleep in the back seat.

(76ページ)

ゆったりと何の心配もなく両親に守られて安眠できるそのこと、それこそが「安心」というチャーリー・ブラウン。この普遍的な子どもの頃の懐かしい幸せな思い出が、グッと心に響きます。そして、思います。今回の震災で、突然、安心を奪われた子どもたちがいかに多かったか。大人でさえ、当たり前に続くと思っている「安心」は突然崩れる時がやってくるのですよね。それは、災害であったり、病気であったり、事故であったり。いろいろ考えさせられました。

また“移民で出来た国”という箇所では、チャーリー・ブラウンはドイツ系、そしてルーシーはオランダ系ということも知りました。ルーシーとライナスのファミリー・ネームはヴァンベルトということです。そういえばニューヨークのマンハッタン島を原住民から買ったのはオランダ人でしたね。ニューヨークこそアメリカの移民をイメージする街と思いきや、この本はこう語っています。

 ニューヨークのような大都会は、けっしてアメリカを代表していない。典型的なアメリカ風の生活を知りたければ、中西部の田舎町に住んでみることだとよく言われる。私は自分の生活体験にないアメリカの田舎町の生活というものを、「ピーナッツ」によってずいぶん教えられたような気がする。(192ページ)

「ピーナッツ」の作者シュルツはミネソタ州のセントポールで生まれ育っています。そこにもきっとたくさんのドイツ系移民、オランダ系移民の子孫がいたのでしょう。

漫画を通して、アメリカの文化、1950年代以降の時代を知ることができるなんて、楽しいですよね。そして、子どもたちが、大人も共感することをさらりと言っているのも深いです。書店で買うことは難しい本ですが、アマゾンではオークションで買えるようですし、図書館でも借りられると思います。

面白くていろいろトレビアもわかるおススメ本です。」

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