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2011年7月 2日 (土)

「ワタクシハ」

「ワタクシハ」 「ワタクシハ」

著者:羽田 圭介
販売元:講談社
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一見、人型ロボットが並んでいるような表紙ですが、これは就活に励む太郎たちなんですね。ボチボチ就活がはじまると聞いて、○十年前のことを思い出しながら、この本「ワタクシハ」を手にとりました。

著者の羽田圭介さんは、18歳で小説家デビューしたホープ。タイトルが、就活の時に、面接でいう、取って付けたみたいなカタカナの「ワタクシ」になっているのが、若い感覚で新鮮。

高校生の時に、天才ギターリストと騒がれた太郎が、かつての栄光を懐かしみながら、周りの友だちに流されて、就活に奮闘する話です。読み終わって、羽田さん自身が抱えている悩みと重なるのではないかと思えて、面白かったです。

中でも、なかなか内定が決まらない太郎や大学の友だちに、いち早く内定を複数決めた高木がいうことばが胸に響きます。

「マッチョに情報ばかり確保するくせ、君たちは嘘すらつけない。嘘には力がいる。それができない君らは、生きる力が弱いよ。ゴミをあさって満足している薄汚いカラスみたいだ。ただ時間と体力を浪費。それでも君らは止められないんだろうね、積極的なアクセスを。アクセス、なんて呼んじゃっているからなまじ厄介だ、ただ貪っているだけなのに。本当はゴミ袋なんかつっつきたくもないのに、つっついていればそれなりの遣り甲斐が発生するから仕方がない。この行いは確かに自分の人生を前進させている、と。遣り甲斐、それは麻薬だね。ゴミさえ、そしてゴミをあさるという無益な行為さえおいしく感じられてしまう」(222ページ)

あふれる情報を駆使して就活でがんばる学生は、友だち同士、持てる情報を交換し、お互い焦りを募らせる。昔も今も変わらない心理です。でも、今の方が情報戦といわれる位、惑わされるインフォメーションは多いはず。

かつて有名人だったはずの太郎が、内定が取れずに苦戦し、悩む姿は今の大学生をリアルに浮かび上がらせています。この本を読んで、特に、泣いたとか感動したとかではないけれど、読後感はさっぱりとしていて、ギターへの夢も捨てていなかったんだと素直に応援できるお話でした。たまに本でも読みたいな~と思う若いあなたにぴったりかも。

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