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2011年8月30日 (火)

「音楽の在りて」

以前「『バルバラ異界』に囚われる」という記事で、萩尾望都さんの世界の奥深さに惹き込まれたことを書きましたが、またまたすごい世界に出逢ってしまいました。

音楽の在りて 音楽の在りて

著者:萩尾 望都
販売元:イースト・プレス
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今度は漫画ではなくて、小説ですね。未来の社会、宇宙の世界、死者とのきずななど、読む人の空想の翼を果てしなく拡げていく短編たち。どこか既存の社会に馴染めない、他の人とは違った人(または異星人)が背負う運命のようなものを感じさせる物語です。

そして、圧巻が「美しの神の伝え」という150ページほどの中編です。

ここに繰りひろげられる世界は、まるで創世記。かつて神が創ったエデンの園をやり直したとしたら・・・どんな世界が拡がっていき、どんな生き物が存在するのか―その物語はかぎりなくみずみずしいタッチで哲学的に綴られています。

「愛する」という言葉が生まれる前に、生き物ミューたちがその気持ちをはじめて感じるようになっていく瞬間や、個という概念を持たずにいたものが皆と別のものであると考えるようになっていく過程が、聖書を読むような、余計な修飾語なしで語られていきます。

萩尾望都さんの漫画にみられる時や空間の自在さを、ここではことばだけでもっとスケールの大きく、深遠な世界にしているのには驚いてしまいます。

この本の豊かな想像力を、萩尾望都ファンだけが楽しむのはなんとももったいないです。漫画ファンだけでなく、多くの方に読まれますように。

そして、萩尾さんが漫画はもちろん、これからも小説を書かれますように。

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コメント

お久しぶりです!
コニコさんお元気ですか?
こうして、ブログ拝見するとこの夏、コニコさんの勉強量半端ないです。うかうか過ごした私は感嘆のためいきをつくばかりです。
新学期始まりましたね。

↑萩尾望都さんの小説!おもしろそう!
彼女のストーリー構成力は半端ありませんからね・・必然かも。
持ってらっしゃるのだったら貸してください!<こら

コニコさんの教養にあやかりたいゆうでしたv

投稿: ゆう | 2011年9月 5日 (月) 09時35分

ゆうさん、こんばんは。お元気でした?
この本、絶対に気に入ると思いますよ。あいにく図書館から借りて読んだのでお貸しできませんが、手元においてもいい本。

確かに彼女の構成力は、スケールが大きくそれでいて緻密ですよね。読んだら是非感想をお聞かせ下さいなhappy01

投稿: コニコ | 2011年9月 5日 (月) 23時05分

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