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2011年9月28日 (水)

「人質の朗読会」

人質の朗読会 人質の朗読会

著者:小川 洋子
販売元:中央公論新社
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久々に小川洋子さんの本を読んだ。

テロリストの人質になって死んでいった人々が、その人質生活の中で、それぞれ自分のお話を紡いで朗読会をしていたという不思議な設定だ。

人質8人による8夜にわたるお話は、どれもどこか奇妙さを漂わせ、日常の世界とちょっとだけずれた世界が見えてくる。お気に入りは第3夜の「B談話室」だ。“危機言語を救う友の会」に紛れ込んだ“僕”は、咄嗟に思いついた“吹き込み役の言葉”なるものを作りだし、口走る。なぜか、その会の皆が耳を澄ませ、じっと深く聴き入るその風景が心に残る。それは、言葉が意味をもつ前の音の祈りのようだ。

小川さんが綴る記憶の行進は、まるで小川のせせらぎのように静かで慎み深い。声なき声――祈りの流れだ。

少しもあらぶる事がなく、それぞれのお話は流れていき、それぞれの亡くなった人の職業、年齢、旅の目的がひっそりと記されていた。

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