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2011年10月11日 (火)

「それ自身のインクで書かれた街」(「Street in Their Own Ink」)

それ自身のインクで書かれた街 それ自身のインクで書かれた街

著者:スチュアート・ダイベック
販売元:白水社
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読書の秋、「シカゴ育ち」を書いたダイベックの詩集などを読んでみました。翻訳は柴田元幸氏です。

ちょっと難解でとっつきにくいものもありましたが、中でひとつ気に入ったものがありました。

晩鐘

それは鳥さえも絶対音感を失う
金属的な時間。
三階上のベランダで、
高架電車に面した
銅の窓の前に立つ
サテンのスリップ姿の女と
彼女が水をやっているゼラニウムが
黄金に変わる。

街路の下 転轍機の青い舌が
トンネルの中で揺れる。
何ブロックも先で クレッシェンドが
自分のエコーに追いつかれ、反響が
他人同士のあいだを通り抜けていく。
影が板金のように震える。
ハイヒールが 鍵盤上を動く片手みたいに
プラットホームを下っていく。

毎晩 ひとつの音が打たれる、
毎晩少しずつ長くなってゆく、
騒々しく聞こえるのは単に 沈黙に囲まれているから。
新聞スタンドの小銭のチャイム、ベッド際の
椅子の上に放り出された 鍵やコインが入ったズボン、
髪をかき上げる彼女の腕で
ちりんと鳴るブレスレット。
(54ページ)

「晩鐘」というと、ミレーの作品を思い出しますが、この詩では、夕暮れの都会の街が雑多な音とともに目の前に浮かびあがってくるようです。 喧騒という名の晩鐘は、東京に住むコニコにも聞こえてきそうです。

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