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2011年12月27日 (火)

「アライバル」

以前ご紹介したショーン・タンの本「アライバル」をじっくりと読みました。

新天地にいくパスポートの写真は、どの顔も緊張してちょっと不安げ。そんな絵が表紙の扉に描かれています。その中の1枚は、タンさんのお父さんが実際にパスポートで使っていた写真を描いたものだとか。

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どこの家庭にもある古びて角がほころびたセピア色のアルバム、見覚えのある風景にみえますが・・・ひろがる世界、行き着いた世界は夢かまぼろしか。

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過去の思い出、踏み出した記憶は、セピア色の濃淡で豊かに描かれていきます。。

この本は、サイレント絵本のようでいて実はそこには文字があふれています。わたしたちがまったくの異国に行った時に、わからない文字を“文字”として認識できずに、何やらわけのわからないデザインにしかみえないということは体験したことがあるはず。この本の主人公の男性も、孤軍奮闘。身ぶり手手ぶりでコミュニケーションを図ります。そして、少しでも早く故国に残してきた家族を迎えるために貧しくても苦労してお金をためていく様子がコラージュのように描かれます。

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そこで出逢ったのが、何という動物かわからないけれど、主人公の味方であることは確かの生き物。

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この生き物や、異国にいろいろな理由で流れついた人々に助けられて主人公は、だんだんと異国の土地に馴染んでいきます。

ラストは、ほっこりとしますよ。

この本を読むとアメリカに行った時のこと、ニューヨークのエリス島で見た移民たちの写真や体験を思い出します。映画「ブリューゲルの動く絵」ではありませんが、この本も絵が動いているような、絵巻物物語のようです。

今年読んだ絵本の中で最高の作品。「アライバル」、ぜひ手に取ってみてください。

 

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