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2012年3月11日 (日)

「原子力と人間」

東日本大震災が起ってから1年。今日は、あの天災の地震から起きた人災の原発事故について大いに考えさせられた本をご紹介します。

高校の物理の先生をしてこられた著者が、ひとりでも多くの人に原子力について知ってもらおうという思いからうまれた本です。理系の話題についていけない私でも、対話方式のやさしい説明で最後まで投げだすことなく、読み切りことができました。

また、著者の一方的な原子力反対意見を押しつけることなく、これまでの事実をマスコミのように煽ることなく、冷静に語っていく文章にひじょうに好感が持てました。読み手の私たち自身が、現代の“闇を生む光”である原子力をみつめ、考えていくガイドとなると思います。

これまでに起った原子力事故のうち、チェルノブイリとスリーマイルは知っていましたが、旧ソ連のウラルの事故やタイの被ばく事故など、この本を読むまではまったく知りませんでした。起るはずのない事故、それが世界各地で、そして日本でも起ったのが原発の事故です。

この本の終章には、強く心に残った、こんなことばがありました。

核に関する人間の歴史が無知の連続だということ。
 「放射能」を知った初期の科学者たちの「無知」に始まり、核実験の犠牲者など教育を受けないまま被ばくした人は数え切れない。(165ページ)

初刷の2005年時点で、地震が日本の原発事故につながることを深く懸念した記述もあり、著者の鋭い洞察も驚かされます。

生活に欠かせないエネルギー、電気の問題を考えるとき、私たちは自分の生活スタイルも見直していく必要があるんですよね。そして、その身近な問題が原子力の問題でもあると教えてくれるのもこの本です。

中学生くらいから理系音痴の大人まで、多くの人に手に取ってもらいたい本です。

原子力と人間―闇を生む光

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