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2012年6月 4日 (月)

「マージナル」(ネタバレあり)

2年前に読んだコミック「バルバラ異界」は衝撃的でした。今回も萩尾望都の世界へ一気にワープだわ。

「マージナル」は、壮大な長編小説を読むようなスケールの大きさ。終盤に向けて収束していく構成には圧倒されます。わたしは、もしかしたら萩尾望都さんの正当なファンじゃないかもしれませんが、この作品をノベライズしたら面白いんじゃないかなって思いました。

もちろん、望都さんの絵は幻想的で美しいのですが、以前読んだ「音楽の在りて」のように言葉だけで、この魅惑的な世界を描いたらどんな想像の翼を広げられるかって思ったりします。

休題閑話。さて、このコミックの連載が始まったのが4半世紀も前だということが驚異的。遺伝子レベルの研究が進み、今なら男が子どもを産むこともありうるといわれても驚かない時代ですが、この物語の先見性はすごい。しかも、“マザ”という象徴を置き、子どもを完全に管理する社会を作るという設定も惹き込まれます。理想の子どもを夢見たイワンと、子どもを怖がるアイリーンがなぜかリアルに思えてなりませんでした。女がいて、男がいて、家庭があって、子どもが生まれてという、今の社会で当たり前のことが、実は「他のどこか、いまでないいつか」では当たり前ではないという事実が説得を持って語られている点が、読み手を惹きつけていきます。

“マージナル”は男ばかりの不毛の世界、沈みゆく不毛の地球。その世界に大洪水を起こし地球の律動と同調していくキラ。このクライマックスの洪水シーンは、どこか聖書の世界を思わせます。それは、いままでの世界を全部リセットするノアの箱舟のような、そして人々を導いたモーゼのような地球規模のお話とシンクロしたり。

導かれていく“境界の果て――マージナル”の世界は、奥深いです。

追伸:ただ一つ、難点は…このコミック単行本は、フツーのコミックよりも一回り小さくて、それに合わせて字も小さいのです。近頃とみに目が悪くなったコニコには、その小さい字を読むのがしんどかったわ~。コミックも大文字本が必要ね。

マージナル (1) (小学館文庫)

マージナル (2) (小学館文庫)

マージナル (3) (小学館文庫)

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コメント

こちらに拝見しに来ました!
コニコさんさすが!
あの重層構造を簡潔に、見事に論評してらっしゃいますね~lovely
マージナル、結構、濃ゆいマンガですよね。

なぬ?文庫本の漫画が、ツライとな?!またまたァsmile

投稿: ゆう | 2012年6月 6日 (水) 21時37分

ゆうさん、こんばんは。またまた望都さんの漫画をお借りして楽しませてもらいました( ̄▽ ̄)ありがとうhappy01

彼女の漫画って、いつかまた再読したいなって思わせますね。その時はますます大きな文字でないと読めなくなりそうだわ~!ツライ辛いhappy02

投稿: コニコ | 2012年6月 6日 (水) 23時18分

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