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2012年7月16日 (月)

「それでも三月は、また」

今年の3月11日に出た本です。

日本、アメリカ、イギリス同時刊行された本でもあります。私が読み終わったのは、日本版の「それでも三月は、また」です。

同時刊行された本書の著者印税相当額/売り上げの一部は震災復興のため寄付されるそうです。

17人のことばのプロたちが綴った「あの日」を想ったアンソロジーです。

一年経って、まだ「あの日」のことをどう語っていいか迷いがある表現者はたくさんいると思います。時がうつろう中でいろいろな想いが熟していく時がくるのかもしれません。

この一年は、短いようで長かったともいえるし、長いようで短かったともいえます。この本の著者たちは、その時間の中で、そして、この本の中でとてつもなく“真摯”に言葉をつむいでいったと思います。

それぞれがそれぞれの言葉で。谷川俊太郎は「言葉」という詩で。多和田葉子は「不死の島」という小説で。バリー・ユアグローや村上龍はエッセイという形で。

印象に残ったのは、川上弘美さんの「神様 2011」のあとがき。

1993年に、わたしはこの本の中におさめられた最初の短編「神様」を書きました。
熊の神様、というものの出てくる話です。(中略)2011年の3月末に、わたしはあらためて、「神様2011」を書きました。原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性をもつものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。(78ページ)

この先もずっと続く日常という時間。日常の中に起きた想定外の2011年3月11日という非日常がこれからもずっと私たちの生活に“何か”の影響を与えていくのでしょう。その言い知れぬ“何か”がこの本の中にあるような気がしました。

それでも三月は、また

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