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2012年8月の記事

2012年8月31日 (金)

聖ピエトロ大聖堂~イタリアの旅⑧

サンタンジェロ城からサン・ピエトロ大聖堂を目指して歩きます。

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聖堂の前は、円形の広場になっていて回廊によって囲まれています。ここをデザインしたのもベルニーニです。回廊の上部には、なんと140人もの聖人像が飾られています。壮観ですね。

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サン・ピエトロ広場に着いたのが午後11時前。観光客がパスでどんどんやってきて、入るのに長蛇の列。セキュリティがあるので、どんどん入るというわけにはいかないようです。待っている間、ヴァチカンの衛兵を見かけました。なんとカラフルでおしゃれな制服。炎天下を20分ほど待って大聖堂に入りました。

入口近くにあるミケランジェロの「ピエタ」(イタリア語で“慈悲”の意味)の前は人でごった返しています。コニコが学生の時にここを訪れた時は、「ピエタ」を見てさっさと引き上げてしまいましたが、今回は、ずずっと奥までいって、「聖ピエトロのブロンズ像」の足に触れてきました。巣鴨のお地蔵さんのように皆に撫でられて、足の指が消えかかっています。

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さらに進んでいくと、法王の祭壇があり、ベルニーニ作のブロンズの天蓋が見られます。この地下に聖ピエトロが眠っているとのことです。

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そして、最深部は、聖霊を表す鳩のステンドグラス。周りに神々しく光を放ち、惹きつけられます。その下にはこれもベルニーニ作の「聖ピエトロの椅子」がそびえ立ちます。なんとこの椅子の中には聖ピエトロが使ったとされる木製の椅子が組み込まれているんですって。

大聖堂内のいくつかの礼拝堂は、信者でないと入れないところもあって、まさにカトリックの総本山、祈るためにここに来る人が多くいることを実感しました。

さあ、次回はヴァチカン博物館!

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2012年8月30日 (木)

サンタンジェロ城~イタリアの旅⑦

旅行から帰って早一週間。せっせとブログを書いていますが、ローマの見処が多くて、夫や娘から「まだローマのこと書いているの~?」とあきれられています。

でも、もう少しローマ編のお付き合いをwink

さて、ボルゲーゼ美術館の他に、今回のローマのもう一つのハイライトはシスティーナ礼拝堂に行くことでした。こちらは、早々と2ヶ月前には日本語ガイド付きのツアーを予約しておりました。ローマ行きの飛行機で一緒になった団体ツアーの方は、「私たちがローマにいる間はあいにくヴァチカン博物館はお休みで、システィーナ礼拝堂にはいけないのよ~」と残念がっていました。コニコも休館日には要注意と聞いていましたので、下調べしたら、8月15、16日はお休みで、3日目になんとか見られることになったのでした。

まずは、ポポロ広場からテヴィレ川に沿って歩いていき、ヴァチカンへ行く途中でサンタンジェロ城を見学。テヴィレ川から城に渡る橋には、ベルニーニの天使が立ち並び、絶景の撮影ポイントです。ただし、この天使たちはコピーなんですって。この彫像を依頼したクレメンス9世が、あまりの美しさに本物を屋外において痛むのを嫌ったためとか。

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そして、ここは実は、135年に建てられたハドリアヌス帝廟でもあります。須賀敦子さんも、ここを訪ねて、ハドリアヌス帝が死の床で作ったといわれる詩を想った場所です。ハドリアヌス帝の他にも歴代のローマ皇帝の墓がここにあるのが不思議な気がします。自らを神格化したローマ皇帝の墓が、一神教のキリス教ト、カトリックの総本山のすぐそばにあるとは。

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この城の名前、サンタンジェロ城は“聖天使城”という意味です。590年にペストが流行った時に、この城の上で大天使が剣でペストを打ち払ったという伝説があります。

この城は、墓の他に、要塞や法王の住まい、牢獄などさまざまに使われたということです。16世紀始めのルター派新教徒を主とするローマ略奪の時に、法王はこの城に難を逃れたと歴史に記されています。しかも、ヴァチカン宮殿とは地下通路でつながっていたというのですから、この城は、まさに激動のローマの歴史の中にあったのですね。城の上まで行って、街を一望するとテヴィレ川が堀の代わりをして、堅牢な要塞だっただろうと想像できます。ローマが体験してきた何百年という時の流れを感じます。

それにしても、暑い(;´Д`A ``` 日本よりももしかしたら暑いイタリア。とてもサングラスなしでは歩けません。ミネラル・ウォーターは必需品だわ~。

ちなみにこのサンタンジェロ城は、9月9日までライトアップされているそうです。太陽が沈んだあと、のんびりと訪ねてみるのもロマンチックですね。

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2012年8月29日 (水)

ボルゲーゼ美術館 ~イタリアの旅⑥

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(絵はがきより)

この美術館は、旅行直前まで行けるかどうか心配したところでした。事前に予約が必要なことはわかっていたのですが、あんまりにも私の好みでスケジュールを組んでしまったので、ローマ滞在中に「また美術館?!」と家族から顰蹙を買いそうで・・・

でも、やっぱりローマまで来て、ボルゲーゼを見ない手はないと決心し、滞在ホテルから、当日朝、予約が取れるか聞いてもらいました。な、なんと、最終午後5時の回の予約が取れました。ラッキーこの上なし。

予約の時間少し前に集合を守って、タクシーで来館。完全予約制のようで、厳重な手荷物検査がありました。貴重品を入れる小さなバッグ以外は受付クロークに預けなければいけません。カメラも禁止。娘の小物を入れていたポーチは大丈夫かしら。最初は英語でOKと言っていた係の人が、やっぱりNOと言い出し、何だか厚味があるからダメとか、急にイタリア語でまくし立てられ、没収。イタリア語のわからない人になぜイタリア語?あらまあ~。

ともかく、予約制が徹底しているせいか、鑑賞するにはちょうど良い空き具合で、入口から階段を上がって行きます。日本人とおぼしき人も見かけません。

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(絵はがきより)

最初のお部屋中央にベルニーニの彫刻が、まさに今行われている舞台の一シーンのように目に飛び込んできます。冥界の王プルトン(ハーデス)がプロセルビナを拉致する瞬間を描いた「プルトンとプロセルピナ」です。いやがるプロセルピナの叫び声が聞こえてきそう。生々しいのは、拒否するプロセルピナの太腿に食い込むプルトンの右手。この柔らかな皮膚が、とても大理石でできているとは思えません。

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(絵はがきより)

そして、またもやベルニーニの作品。彼が描いたギリシャ神話の傑作「アポロとダフネ」。追いかけるアポロの腰布が旗めき、今まさに月桂樹に変身しつつあるダフネの髪がたなびいています。彼女の手は幹に、足は根に変わっています。これが大理石の彫刻だなんて、風を感じさせ、重力を感じさせないこの躍動感。ローマに来て、“ボルゲーゼ美術館を見ずして帰ってはならない”って唸ってしまいます(私が勝手に思いついた言葉ですが・・・)。

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(ペルニーニの作品集より)

そして、別の部屋にもベルニーニ作「ダヴィデ」像。この作品は、なんと25歳の彼が制作したもの。巨人ゴリアテに石投げ機で立ち向かうダヴィデの、石を投げる緊張の瞬間をとられています。ミケランジェロもすごいけれど、日本ではあまり有名でないベルニーニのすごさをびしびし肌で感じました。最初は、お付き合いでやって来た夫も娘もベルニーニの彫刻に魅せられたようです。

ボルゲーゼ美術館の魅力は、ベルニーニだけでなく、カラバッジョ、ダ・ヴィンチ、ラファエロもあり、もう美のフルコース。最後にティツィアーノの「聖愛と俗愛」を見て素晴らしいひと時が終わってしまいました。

でも、まだミュージアム・ショップがあります。店員さんに、「マダム、あと5分でお店を閉めます」と言われるまでふらふらして、ベルニーニの作品集とガイドや絵はがきを選んできました。やはり…ここにもクリアファイルなし。代わりにと言ってはちょっと違いますが、ベルニーニの「アポロとダフネ」をイメージした音楽CDを買ってきました。コーラスやリュートの曲など入って、ベルニーニが生きた17世紀に想いを馳せました。

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ローマに行って、お時間が取れるなら、コニコの一押しはボルゲーゼ美術館です。
ただし、予約はお忘れなく!

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2012年8月28日 (火)

またまたローマ ~イタリアの旅⑤

コロッセオを後にして、ローマのランドマークであるヴィットリアーノ(1911年に出来たイタリア統一を祝した記念建築物)の前にあるカフェでお昼にしました。

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黒のベストを着た年季の入ったボーイさんがカウンターの中と外に4、5人いて手早くお客さんをさばいています。

須賀敦子さんの「リペッタ通りの名もない牛乳屋」というエッセイの冒頭には、イタリアのカフェのことについてふれた文があります。

もともとイタリアのカフェは、立ったまま、ぴかぴかに磨かれた真鍮のバーに片足をのせ、カウンターに片ひじをついてからだのバランスをとりながらエスプレッソをぱっと飲んで、じゃ、また、といった方式が主流である。

たしかにイタリアのカフェテリアでは、テーブル・チャージを取られるので、カウンターで立ち飲みしていく地元のお客さんもたくさんいました。何やら忙しく井戸端会議のようにしゃべりまくって、さっと帰ってしまう―須賀さんいわく、“近所のカフェにコーヒーを一杯やりに行く―その様は、ワンショットバーのよう。そして、その飲み方は、おしゃべり付き。イタリアのオペラって朗々と一息で歌うイメージですが、おしゃべりもどこで息継ぎをしているかわからないほど、途切れなく一筆書きのようにしゃべっていきます。

さあ、お次はどこへ?夫は、出張でイタリアに来た時に訪れたパンテオンがオススメだと言っているのでそちらへGO!

おっと、その前に偶然見つけたのが、イエズス会創始者の聖イグナティウス・デ・ロヨラの教会。写真にある"Ego vobis Romae propitius ero"の文字は、「 ローマで皆に好かれるだろう(you will be favored in Rome)」という意味で、聖イグナティウスが神から受けたお告げだそうです。天井画の色が鮮やかで荘厳でした。ここは、日本に伝来したキリスト教のイエズス会、教科書に出ていたフランシスコ・ザビエルの顔を思い出しますね。

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と、寄り道はこのくらいにしてパンテオン。ここは、「テルマエ・ロマエ」に出てきたハドリアヌス帝が建てた惑星の神々を賛えた神殿。

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訪れたのは午後2時頃で、中に入って天井を見上げると光が斜めに降っています。須賀さんの本によれば、正午には丸天井の天窓から差し込む陽光がまっすぐ真下の色大理石敦子に降り注ぐそうです。彼女は、その光のことを”円形の光の池”と表して、人はその中で神の恩恵を賜るように両手を広げるといっています。光が天に通じる、目に見えるものとして、こんなに明白に感じられる建物は、はじめてのような気がします。直径9メートルの天窓が厳かに見るものを包み込みます。

「あの天窓って、ガラスの窓がついているのかしら?」という私の疑問に、夫は「それは窓がなきゃ、雨が降って水浸しになtっちゃうでしょ」と最もな意見。でも、この光の透明さは、直接天から降り注いだものに思えて窓など遮るものが一切ないみたいだと、何だかしっくりこないでいました。調べてみたら、同じような疑問を持った人がいたのでした。

石井善一さんという方のブログ「絵と旅のエッセイ」が、しごくシンプルに疑問を解決してくれました。

長年の疑問(窓があるか?なければ雨の時どうするか?)を中にいたスタッフの男の人に聞いてみた。
「雨のときはどうなるのですか?」
「雨は上から落ちてくるけど止んだら拭けばいいのですよ。
たとえ横殴りの雨でも中では上から落ちてくるだけです。」
スタッフの方は私の疑問を理解して当然のように明確に答えてくれた。

イタリアの雨の降り方は、きっと日本と違うのでしょうね。“濡れたら拭けばいい”という単純さがいいわ~。

ここからまたてくてくトレヴィの泉を目指します。

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じゃーん、有名なトレヴィの泉でお約束の”コイン投げ”をしました。またこの地にこられますように♡ コニコは○十年前に大学卒業旅行でこのトレヴィの泉にやってきていますが、肩ごしに投げたコインの威力はありましたね~。今回は、家族揃って再訪できました。

さて、次に訪れたのは、ローマ観光のハイライトのひとつ、ボルゲーゼ美術館。続きは次回!

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2012年8月27日 (月)

ローマまるかじり~イタリアの旅④

ローマ2日目の早朝、足がつって目が覚めました。とほほ、久々によく歩いたせいか足の筋肉が悲鳴を上げたようです。ひたすらマッサージ。だって、これから歩く旅は続くのですから。

朝はホテルの中庭で朝食ブッフェでした。

Residenza Di Ripettaホテルは、もと修道院を改造して出来たホテルで、廊下や中庭がどことなくミッションスクールの校舎を思い起こさせます。この日は、エスプレッソが出てこないようにカプチーノを頼みました。日本の朝食ブッフェよりシンプルなものでしたが、さすが生ハムが美味しい!メロンと一緒に頂いて満足です。と、コニコが舌鼓を打っている間に、娘はイタリアの蚊の餌食になってしまいました。家族のうち、刺されるのはだいたい娘です。まあ、かわいそうに6箇所も刺されて。ムヒを持ってきていなかったので、どこかで薬局を見つけなければ。

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さて、2日目の観光の目玉は、フォロ・ロマーノとコロッセオ。即席で勉強し始めたイタリア語講座のテキストに、観光シーズンだから、チケットをネットであらかじめ取っておいた方が安心と書いてあったので、日本で券を買ってプリントアウトしていきました。これが大正解。コロッセオに入る券を買うのに猛暑の中、長蛇の列が出来ていました。ふう、危なかった。こんな列に並んだら、1時間じゃすまないわ~。

ともかく、まずはホテルからバスに乗って古代ローマ遺跡のフォロ・ローマへ。遺跡って日陰が少なくて、もろロースト状態。元老院を目指して中に入り、体を休めました。ここで「ブルータス、おまえもか」事件があったのね。

自分を棚に上げてですが、本当に観光客が多いこと。特にアメリカ人のツアーに多く出くわしました。イタリア語もフランス語もドイツ語もわからないわたしは、ひょこひょこアメリカ人の団体の後ろについて、英語のガイドを聞いていたら、娘に「みっともないからやめて」と言われてしまいました。

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こちらは、元老院の向かいにある農業神サトゥルヌスの神殿跡。この神のお祭りが12月に行われ、人々が贈り物を交換し合ったのが、クリスマスの風習になったとも言われているそうです。ここから”聖なる道”をヘトヘトになりながら歩き、コロッセオに向かいました。

コロッセオの中も外も人人人。石でいっぱい。猛獣がいたという檻をみるのに上がる階段も一段が高くて歪んでいます。はたして、古代ローマの凄惨な戦いは、この暑さ以上に熱いものだったのかしら?売店でクリアファイルでも買ってもう帰ろう、と思ったらクリアファイルがない!!

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クリアファイルって、日本の博物館美術館独特のものなの?仕方がないので英語版「ROME RECONSTRUCTED」DVD付という本を買いました。遺跡を復元してみると・・・という飛び出す絵本のようなもの。

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コロッセオの中央の舞台が大理石だった頃を思うと、本当に豪華な娯楽施設だったんですね。

朝から人にもまれてバテていると、その辺を古代ローマ兵の格好をしてカメラに写ろうとしている輩がいました。見ているだけで暑そう。なぜかスパイダーマンの格好をした人もいて、ここはハリウッドか~?!という勘違い芸人も。古代ローマ兵はいくらとられるかわからないので、ただで写真が撮れるシーザー像とパチリ。

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お昼を食べて、一息です。

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2012年8月26日 (日)

ポッポロポポロ広場とヘップバーンの広場~イタリアの旅③

空港から目指すのは、トトロ広場!じゃなくて、ポポロ広場。そしてその近くのResidenza Di Ripettaホテルにチェックインしました。このポポロ広場の門は、ゲーテもキーツもくぐったというもの。ベルニーニ(今回の旅行の注目の人heart01)が装飾したものだそうです。

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真ん中に背の高いオベリスクがあり、その向こうには双子の教会が見えます。このポポロ広場から、映画「ローマの休日」でヘップバーンがアイスクリームを食べたスペイン広場に散策です。

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スペイン広場の前にある「舟の噴水」はベルニーニのお父さんの作品だそうです。

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さすがローマの一大観光名所だけあって、人がわんさかいました。ここでオードリー・ヘップバーン気分でアイスクリームを食べるのは今は禁止されています。(゚Д゚)ノ残念。

この広場の階段をてくてく登っていくと、ピンチョの丘に行き着き、ふたたび丘の上からポポロ広場に戻れました。

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な~んとこの丘には子供向けのミニ遊園地があり、どことなく上野公園の趣きがあります。夕暮れの散歩で訪れる現地の人も多く、イタリア人老夫婦が仲良く手をつないでいる姿は微笑ましかったです。

この丘からローマの街が一望できました。

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初日の散歩は、3時間ほど。歩き疲れて午後7時過ぎ。お腹もすいて「オ~ファ~メ」。ポポロ広場のカフェテリアで夕食にしました。夕暮れでも暑いのに皆テラス席でお食事ですね。白ワインに隣の人が食べていたムール貝のズッパ(スープ)を頼んで、ご満悦です。

おっと、斜向かいに有名なカフェ・カノーヴァを発見。ここは、大好きな映画監督フェリーにも常連だったというお店。

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こういう店を街角に見つけたりすると、まさにイタリアにいるのだな~という気持ちで胸が高鳴ります。

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2012年8月25日 (土)

ローマ空港では…イタリアの旅②

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成田空港を朝9時頃出発して、機内で再度「テルマエ・ロマエ」を観て笑い、「「ALWAYS 三丁目の夕日'64」を観て泣き、ローマ空港に着いたのが現地時間の午後3時過ぎ。

空港の到着ロビーでは、人待ち顔のイタリア男性がスーツ姿で並んでいました。おお、映画の一シーンみたい。「テルマエ・ロマエ」ではありませんが、イタリア人の濃い顔を見ていると自分がとっても”平たい顔”族に思えてきます。

イタリアは、日本との時差が遅れて7時間ありますから、日本時間だと午後10時過ぎ。これからひと観光と、眠気覚ましに空港のカフェでコーヒーを飲むことに。

空港のカフェだから、英語は通じるだろうと思ったら、残念。イタリア語でまくしたてられ撃沈。

”Coffee”を注文したら”Espresso”が出てきました。それも日本のエスプレッソよりも一段と小さいのです。しかも味が今ひとつなのでした。もとからエスプレッソは飲まないコニコなので、実は味はわからないのですが…ああ~、ドトールのブレンドが飲みたい!でもくじけずローマをエンジョイです。

空港からタクシーに乗る前にトイレに行ったら掃除中。なんと女性用のトイレを男性が掃除していたので、一瞬男性トイレかと間違えてしましました。ふう~、ドンマイドンマイ。

気を取り直して、ローマの街へGOup

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2012年8月24日 (金)

ひたすら歩く旅 ~ イタリアの旅①

ボンジョルノ!旅から戻りました。

ご報告の“プロローグ”は、須賀敦子さん流に

 きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私はこれまで生きてきたような気がする。(「ユルスナールの靴」の冒頭

といきたいところですが…わたしの場合は…出発前に“きっちり足に合って軽くて、どこまでも歩いていける靴を探して、キティ模様のクロックスを購入。


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この靴を履いて、イタリアの街をひたすら歩いてきました。石畳の道が時には幅広く、時には肩が寄せ合うほど狭くどこまでも続いていました。あの道、道、―すべての道はローマに続く道―を実際に歩いてみると、須賀さんが“どこまでもいける完璧な靴”がほしくなった気持ちがちょっとわかる気がしました。

わたしのキティ・クロックス靴は、ふとっちょのわたしを引き連れてよく歩いてくれました。ご苦労さま。

今日は、時差ぼけのボケ・コニコの洗濯日和。靴もお洗濯しましたsun

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2012年8月14日 (火)

お出かけしてきます!

皆さま、お盆休みをいかがお過ごしでしょうか?

コニコは、明日から1週間ほどお出かけしてきます。

また帰ってきたらいろいろおみやげ話を書きますね。

では、行ってきますnote

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2012年8月12日 (日)

「へえ~」の商品

この夏の暑さをただ発汗だけに使うのはもったいない!と思うのはわたしだけではなかった!!

などとおおげさですが・・・7月27日の日経新聞夕刊の記事をみると「へえ~」と思わずメモりたくなる商品が出ていました。折り畳み式のソーラーパネルで、600グラムと軽量な上、お天気なら3~5時間でスマホを2回充電できる電気がためられるモバイル・キットがあるといいます。

ガイド10プラス モバイルキットという商品で、価格は9800円。災害時の備えとして充分使用価値があると思うし、すごく二宮金次郎的な地道さのある充電スタイルで、エコって感じです。

脱・原発を目指して、太陽電池を背負って通勤、通学する日がやってくるかも。コニコ、興味津々です。

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2012年8月11日 (土)

夏の文学教室 2012 ④

「夏の文学教室」も終了してもう一週間経ちました。最終日の講演は、今回のシリーズの中でも期待していたものでした。

特に1時間目がお目当ての磯崎憲一郎さん。去年のドゥマゴ賞受賞の対談で、小説の魅力を語ったお話が魅力的だったので、またお話が聴きたいと思ったのでした。なんと、今回の講演依頼は、このドゥマゴのお話を聴いた「夏の文学教室」の主催者が、もう少しお話を聴きたくてお願いしたものだったというのです。

テーマは「小説を駆動する力」。「夏の文学教室」の通しテーマ「文学・『土地』の力」とは、少しずれていましたが、企画の方も、「好きなようにお話をして下さっていいです」という感じだったみたい。去年の対談では、メガネなしのスーツ姿でしたが、今回は、黒縁の眼鏡にラフなシャツ姿、どこか書生さんのような若々しさがある姿で登場されました。

さて、本題の「小説を駆動する力」――磯崎さんの場合は、はじめにこう書こうとか、こういう展開にしていこうという意図がなく、一文一文を書き重ねていくという形をとっているそうです。あるのは、書き終えたその一文、それが推進力になって、その書いた文と相談しながら文をつなげていく、そんな書き方で小説が出来上がっていくといいます。

「その創作の過程で、予期しない、自分で思ってもみない流れになっていくのが楽しい」といっておられました。さらに、先日、将棋の羽生さんとお話しする機会があったそうで、彼も「勝負の勝ち負けも大事だが、自分で思ってもみなかった手を指す展開になると楽しい」と、同じようなことをいっていましたよ、というのですから、びっくり。

この書いた一文を踏まえながら、つなげていくという鎖のような書き方は、書かれた文がどんなものであれ、それを全部受け入れて進んでいくという過程であり、その行程は、“夢”を観る過程と似ていると仰っていました。たしかに、“夢”はどんなに荒唐無稽でも、自分の意志とは関係なく「何これ、なんでこうなるの?」という疑問を容赦なく振り捨てて進んでいったりします。磯崎さんの小説も、“夢”の持つ不思議な力を感じさせます。

今回の講演では、カフカの「変身」と、ボルヘスの短編「南部」を“夢”が起源の小説として紹介されていました。

2時間目は、高橋源一郎さんの「『根なし草』であること」でした(ご自身は、超引っ越し魔とか)。高橋源一郎さんには、2年前に内田樹さんとの丁々発止の対談を楽しませていただいたので、こちらも楽しみにしておりました。今回は、単独講演です。2年ぶりのお話ですが、ちょっと白髪もだいぶ増えてお歳をめしたみたい。

お話の中心は、映画『ミツバチの羽音と地球の回転』の舞台になった祝島を訪ねたときの心情でした。この島は、「土地」を守り続けてずっとずっと暮らしてきた歴史があることに、はたと気付かされたといいます。土地の人々のしなやかさと逞しさは、ふと我が身にはないものだと気付いたとも。

実は、団塊の世代の自分たちは、故郷の「土地」の呪縛から逃れようとして、進んで「根なし草」になって生きてきた世代とも言っておられました。新しい時代を作るために、古いものを壊し、故郷を捨ててきた世代というわけです。それが、去年の3.11で、はたと思うところがあったというのです。祝島の脱原発のデモは、おじいちゃんやおばあちゃんばかりで、高橋さんも参加して「自分は、2番目か、3番目に若い方だったんですよ」と苦笑い。これからの時代に「独自の場所」=「土地」というものが必要だと思うようになったとまとめられていました。

ただ、お話としては、絆の深い故郷の共同体は、素晴らしくみえるし、訪れれば、皆、善き人々だと思うのですが、暮らしていくとなると、しんどいだろうな~と感じてしまいます。今年の高橋さんは、ちょっと覇気がなかったかしら、と心配になったり。対談の方が乗れる方なのかも、などと思ったりしました。来年のテーマはわかりませんが、是非、対談を期待したいところです。

3時間目は、今回最後の授業でしたが、疲れがたまっていたせいか、まとめはなしです。

ということで、今年も「夏の文学教室」終了です。来年は、なんと50周年とか。どんな先生方がいらっしゃるか楽しみ。暑い中でもまた通います。

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2012年8月10日 (金)

待望のLA MERE POULARDレストラン

ラ・メール・プラール - 外観写真:レストラン入口は創業者プラールおばさんが目印!(「食べログ」サイトから)

先日の「夏の文学教室」は、東京国際フォーラムのすぐ近くで行われていました。そこで前から行きたくて、でも予約でいっぱいのオムレツの店「LA MERE POULARD」を、だめもとで覗いてみました。

そうしたら、なんと運よく予約なしで「最後のひとテーブルが残っております」とのお店スタッフのことば。入り口に近い席でしたが、ラッキーでした。

オーダーしたのは、ランチAのオムレツセットです。ラ・メール・プラール伝統のオムレツ+季節の野菜(オードブル)+ジャガイモのクリーム煮(パン付き)で1500円(外税)。なんだか、去年から値上げしたみたいです。食後の飲み物が別なのと、ランチでもサービス料が別途とられました。食後にカプチーノをつけると2310円になり、ランチとしては、ちょっと割高感はありますが、一回は楽しみたいオムレツです。

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まずは季節のオードブル、地鶏のくんせい。前菜とはいえないくらいのたっぷりボリューム。


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そして、こちらがメインのオムレツです。な~んと大きくてふわふわなんでしょう。運ばれてきて、思わず「わ~っ」と声が出ました。こちらは、卵と塩、バターのみで作られているそうです。このスフレ状になったふっくらした断面、見応え、食べ応えありました。

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店内全体は白い色調で、赤がアクセントで使われ、おしゃれでした。入り口近くの壁には創業者のプラールおばさん(Madame Annette Poulard)の写真がかけてありました。この方が1888年、フランスのモン・サン=ミッシェルに宿屋を開き、名物のオムレツのレシピを完成させたとのことです。

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予約してからお出かけになるのが確実のようですよ!

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2012年8月 8日 (水)

ひまわり

立秋を過ぎたと思ったら、ちょっと涼しくなって、ひとごこちですね。

「夏の文学教室」のレポート、最終回はまたにして、今日は近所で見つけたひまわりの写真を載せますね。

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お日様に向かって真っすぐ顔を向けている夏の表情はまぶしく光っています。

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2012年8月 7日 (火)

原発、原爆

昨日は67回目の「原爆の日」でした。福島の原発の事故の映像が、わたしには広島の原爆ドームと重なることがあります。

野田総理は、「脱原発依存の基本方針の下、中長期的に国民が安心できるエネルギー構成の確立を目指す」と述べたといいます。政治家のことばの信頼性が本当に問われるこの問題、いまの状況をしっかり私たち自身が見つめていきたいものです。

広島市の式典には、原爆投下を命じたトルーマン元アメリカ大統領の孫、クリフトン・トルーマン・ダニエルさんが初めて参列したそうです。来日は、平和記念公園の「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子さんの兄、雅弘さんの招きで実現したということです。招いた佐々木さんも素晴らしいし、それに応えて来日したトルーマンさんも素晴らしい。67年という時間を越えた有難い出逢いに胸打たれます。

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2012年8月 6日 (月)

夏の文学教室 2012 ③

先週の土曜日に終わった「夏の文学教室」ですが、4日目の講演をたどってみたいと思います。

1時間目の稲葉真弓さんの講演から参加。タイトルの「志摩半島―地霊との出会い」の“地霊”という言葉が気になって、やっぱり行ってみようということにしました。講演を聴くにあたって、稲葉さんがお書きになった「海松(みる)」を読んでもみました。彼女の場合は、生まれ故郷でもなく、育った環境でもなく、出会った志摩半島の土地で、なんとも美しい雉をみたことが、その土地との運命的な出会いになったそうです。どこか、濃密な懐かしさを感じられた土地―そんな土地は、もしかしたら前世から関わりがあるのかもしれないとも話されて、「土地の力」というものが、空間だけでなく、時間との奥行き、つまり人の歴史とも関係するということを感じました。

2時間目の藤田宜永さんの授業は、今年で3回目です。テーマは「三島由紀夫の場所(トポス)『沈める滝』を中心に」でした。コニコが覚えている限りでは、三島由紀夫という作家は毎年、どなたかが取り上げたくなるテーマのようなんです。一昨年は横尾忠則さんが、去年は平野啓一郎さんが三島由紀夫を取り上げていました。三島由紀夫という人は、作り手にとって、なんとも刺激的な書き手なんでしょうね。

今回、藤田さんは、三島作品の中でも、どちらかというと評価の分かれる「沈める滝」(昭和30年)という作品を解説しながら、小説で描く土地というものをどうやって三島氏が選んでいったかを話されました。面白かったのが、1時間目の稲葉さんと真逆で、土地との運命的な出会いなど三島氏の念頭にはなく、「今回の小説に、例えばダムが必要だから、条件に合うダムを見繕って調べて、現地に行ってみる」という具合に、合理的に決められたようです。ある意味、土地があって作品が出来上がる、というよりも、三島氏の場合は、まず芸術ありきなのでしょう。「沈める滝」の前年に書かれた「潮騒」は、三島氏の描きたい芸術性と土地との整合性がぴったりだったので、読み手にしっくりする形でトボスの力も感じられる作品になっているともいえるとも指摘されていました。

作家がどういう経緯で描く場所を獲得していくか、こうして考えていくと千差万別。

そんな感慨に耽っていると、3時間目の町田康さんが長髪、ジーパン、黒Tシャツのおじさんバンドっぽい格好で登場。テーマは、なんじゃの「めっさ、むっさ、げっさ」。この意味は、「めっちゃ」を崩していって、韻を踏んでみた、みたいなものだそうです。パンクミュージシャンだけあって、ノリのいい講演でした。しかも関西人。小説で描かれるその土地でなければならない必然性ってあるのか?という疑問からお話は始まりました。紹介された小説は、筒井康隆氏の「「夜を走る」と、山崎豊子さんの「どてらい男」。はたして、これらの小説が大阪以外で成り立つかという問いが出されました。こういった、ぴったりの土地の雰囲気は、読み手が読んでいて「気分」が乗るという場合が多いにありです。うん、「やっぱり関西弁じゃないと、たとえば『夜を走る』は悲惨な話だけれど、主人公が大阪弁で独白しているところにおもろさがある」というんですね。この、舞台がその土地でないとお話が成り立つか成り立たないかという問題も、考えてみると結構深い問題です。

いやいや、この日の講演でもあれもこれもと、つらつら面白い話題が出て刺激的でした。

町田さんの話は、もう少し聞きたいところでした。この方、「くっすん大黒」で1997年のドゥマゴ賞(選者は筒井康隆氏)をとっているんですね。読んでみたいわ。来年も来てくれるといいな。

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2012年8月 2日 (木)

7月の新・復興読書

ちょっと「夏の文学教室」の話題を置いておいて・・・

8月に入ったので、7月の読書をまとめてみました。

読んだ本は、9冊、読んだページ数は2082ページでした。
読友から頂いたナイス数は81です。

去年からやっていた復興読書は、読んだページ数を寄付しようとするものでした。暗算が苦手になっているコニコは、ページ数を足していくのが大変。今月からは、読んだ冊数 x 100円で続けていこうと思います。来年も継続していきたいチャリティーランチの桃柿基金に寄付を目指そうと思います。


(030)影 (百年文庫)(030)影 (百年文庫)
この「百年文庫」シリーズも5冊目。ロレンスの短編「菊の香り」は、イギリスの厳しい炭鉱の暮らしと忍び寄る死の気配をひたひたと描いていた。永井龍男は初めて読む作家だった。淡々と流れる日常会話が主人、登利の心の影を深めているような気がした。この本の中で一番気に入ったのが、内田百閒の「とおぼえ」。あの世とこの世の境界線に鬼火の影がゆらいで見えた。
読了日:07月31日
著者:ロレンス,内田百閒,永井龍男

ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) (新潮文庫)ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) (新潮文庫)
第2巻では、ローマの歴史をイタリア半島統一まで大局的な見地に立ってひも解いていた。滅びゆくギリシアと、ケルト人の来襲で存亡の危機にあっても隆盛していったローマの比較が興味深かった。2カ国の著しい違いをローマ人の“開放的な性向”としている塩野さんの洞察力は、見事。「ローマは一日にして成らず」、ローマ街道を着実につくり、「すべての道はローマに通ず」るようにした先見性が一日一日の計を偉大なものにしていったのだろう。この先を読むのも楽しみだ。
読了日:07月29日
著者:塩野 七生

決断力 (角川oneテーマ21)決断力 (角川oneテーマ21)
「考える」という行為を強くするアイデアがあった。“情報をいかに捨てるか”、”新しい発想のために頭の中に空白の場所をつくるか”、など常識にとらわれない姿勢が新鮮だ。7割が正しいという直感も彼のたゆまぬ努力から出てくるものだということが伝わってくる。さらりと書いているようでとても練られている文章だった。
読了日:07月28日
著者:羽生 善治

ヴァイオリンは語る (白水uブックス)ヴァイオリンは語る (白水uブックス)
ロン=ティボー国際コンクールに名の残す、フランスのヴォイオリニスト、ジャック・ティボーの伝記というより、叙情的なエッセイ。音楽一家の中でも薄幸の音楽家だったイッポりット兄を語るくだりは、切なく胸が締めつけられた。彼との最後の演奏は、シューベルト「変ロ長調のトリオ」〈アレグロ・モデラート〉。その時の彼の“暗い火花”をジャックは《コルトー、ティボー、カザルス》のトリオの18番とし、生涯弾き続けたという。
読了日:07月23日
著者:ジャック ティボー

それでも三月は、またそれでも三月は、また
今年の3月11日に出た本で、日本、アメリカ、イギリス同時刊行された本でもあります。私が読み終わったのは、日本版。同時刊行された本書の著者印税相当額/売り上げの一部は震災復興のため寄付されるそうです。 「あの日」から一年後に17人の作家たちそれぞれが“真摯なことば”で綴ったアンソロジー。イギリス版も手に入れたのでぜひ読み比べてみたいと思います。
読了日:07月16日
著者:谷川 俊太郎,多和田 葉子,重松 清,小川 洋子,川上 弘美,川上 未映子,いしい しんじ,J.D・マクラッチー,池澤 夏樹,角田 光代,古川 日出男,明川 哲也,バリー・ユアグロー,佐伯 一麦,阿部 和重,村上 龍,デイヴィッド・ピース

道化師の蝶道化師の蝶
文藝春秋の芥川賞発表号で読んでみた。共に掲載されている「共喰い」とあらゆる面で対称的な作品だった。翻訳ものを読んでいるような、言葉自体の並びが一回パラパラにして並び替えられたようなイメージ。そして、発想、着想、奇想のコレクション。語り手も、ひとりではないのだろうエピソードの数々。 “わかる、わからない”というよりも、網を持って探すことばの遊びのようだった。 川上弘美さんのこの作品の選評が読み応えあり。
読了日:07月10日
著者:円城 塔

共喰い共喰い
話題作「共喰い」を読んでみる。17歳という設定も地方が舞台なのも、どんよりした舞台の描写も「ああ、一昔前の私小説っぽいな」と、まず感じた。それでいて、印象に残ったのが、巷でいわれる父親と息子の暴力、セックスというよりも、二人と関わる女たちの力強い生命力だ。琴子がすっと姿を消し、仁子が義手でことをなすのが天晴れ。
読了日:07月08日
著者:田中 慎弥

弥勒の月 (文芸)弥勒の月 (文芸)
久々の時代物を堪能した。あさのあつこさんの本もはじめてだ。江戸の町を舞台に繰り広げられるミステリー。同心、小暮信次郎とその相棒、岡っ引きの伊佐治、そして、謎めいた商人、遠野屋清之介と役者がそろっている。第1章「闇の月」から始まり、8章をさまざまな月夜にたとえて描いている。タイトルの「弥勒の月」がなかったのが、ちと残念。伊佐治は、遠野屋の若妻、おりんの笑みが上野山の桜のようだという。最後の「終の月」を「弥勒の月」として、もう少しカタルシスがほしかった。
読了日:07月08日
著者:あさの あつこ

憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談
黒のタッチで独特の世界を描くゴーリー。彼のセレクト怪談は、大いに恐く憑かれました。毎夜、一編ずつ読む一人怪談ごっこのような密やかな楽しみ。これからの寝苦しい夜にお薦めです。お話の魅力、翻訳の読みやすさの他に、なんといっても短編ごとのゴーリーの扉絵がすばらしい!黒の線だけで織りなす画なのに、そこに絶妙の光が感じられます。「八月の炎暑」と「十三本目の木」が特にわたくしのお気に入りです。
読了日:07月07日
著者:A・ブラックウッド,W・F・ハーヴィ,C・ディケンズ,L・P・ハートリー,R・H・モールデン,R・L・スティーヴンスン

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2012年8月 1日 (水)

夏の文学教室 2012 ②

毎日の暑さで、今年は皆勤をはなからあきらめています。

中休みしながら、ぼちぼち紹介していきますね。黄色でマークした講演に行く予定です。

Img
さて、2日目は、桜庭一樹さんと中沢新一さんの講演を楽しんできました(3時間目の高橋睦郎さんはさぼり)。

桜庭さんは、以前に「赤朽葉家の伝説」を読んでスケールの大きな作家だと感じていた方――今回のテーマは「故郷を書くために、故郷を離れるということ」でした。

冒頭で話されたのは、「本で書かれた場所に実際にいってみると、自分が思っているのと違っていてがっかりすることがある」ということでした。もちろん、描かれた「土地」が物語のオーラを放って、訪れた人に紡ぎ出された息吹を感じさせることも多々あるのでしょうが、私も、確かに「あれっ、ちょっと違和感!?」なんて感じることがあります。

桜庭さんは、ジェイムズ・ジョイスの「ダブリナーズ」の例を上げてテーマに迫ります。ジョイスのこの秀作短編集の中でも「エヴリン」―ダブリンの街から出ていけない人―を取り上げていました。なんと、この作品は「コニコの英語喫茶―読書会」で読んだ作品。ふむふむと、思いながら、話に引き込まれていきました。この短編集の後に、さらにジョイスが書いたのが、「若い芸術家の肖像」、そして「ユリシーズ」。2冊ともに、ジョイスがダブリンを離れ、外国で自分の故郷について書いた小説です。

桜庭さんも、ジョイスと同じように、「赤朽葉家の伝説」を故郷を離れて、故郷を舞台にして書いたものだそうです。それは、現実の故郷、街を書くというよりも、“故郷からいろいろな素材を抽出したものを再構成した箱庭”を描いたものかもしれないというのです。「あっ、箱庭といえば、河合隼雄さんの“箱庭療法”!」と、連想ゲームのようになっていき・・・実は、作家が抱えている、故郷から出られないという潜在的な意識が、小説を書くことで箱庭化し、故郷を疑似体験することで、自分の中で相対化しているのではないか、という考え方が、ひじょうに魅力的でした。

こんな刺激的なお話を聴くと、桜庭さんの小説を読んでみたくなります。

さて、3時間目は、がらりとかわって中沢新一さんの登場。テーマは「谷崎潤一郎と織田作之助と今東光―大阪アースダイバーから」です。

東京の記憶を縄文時代まで辿った「アースダイバー」は、6,7年前の話題作でした。今回は、その大阪版。東京よりもずっと海に沈んでいた大阪の成り立ちは、大陸ともつながっていたりでエキサイティング。いまの大阪弁は河内弁と誤解されていて、実は船場のことばが大阪弁の神髄だとか、「へえ~」のお話がたくさんでした。

本題は、3人の大阪を描いた作家たち。一番傑作だったのが谷崎潤一郎の「阪神見聞録」です。谷崎が阪神電車に乗った時のエッセイを抜粋して朗読して下さったのですが、「まさか」の電車内、小便大便の垂れ流し。びっくりです。ここで中沢氏は、「この風景は、若い頃に行ったインドでの情景と同じだ」と言っていました。なんと、谷崎は、こんな関西が大好きになり住むことにしたというのです。やあ、谷崎、恐るべし。彼の本も読みたくなります。

実は、私、大阪駅を通過するだけで、一度も降りたことがないんです。中沢氏のお話を聴いて、まるで外国の文化を聞いているようでした。いつか行ってみたい外国、それは大阪かも!

桜庭さんも中沢さんも、お暑い中、ありがとうございました。コニコの夏の合宿、行った甲斐のある、脳イキイキで、こころウキウキな講演でした。

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